第77話 上手く出来ないのは銃砲刀剣類所持等取締法の所為
ロッド トマホーク 両刃 片刃 逆刃ナイフ 光線銃 忍者刀
…色んな武器の前で正座させられてまーす、アラやだ今から1つ選んだらヤられちゃうのかしら☆な、阿久津ヒロムでーす。
相変わらず剣殺陣で、斎藤先輩の頭をうっかりゴッスン唐竹割りしちゃう俺は、練習終了後居残り授業と称してイビり…センパーーイ両頬を伸ばすのは、まだ目でしか語ってないんでやめてくださーい。
せめて俺が「陰険ワーカホリック斎藤め☆」とか口頭に出してからにシテクダサーイ。
「…ヒーロームー、まぁ武器に関しては新人が毎回通る道だから仕方ないっちゃ仕方ないんだが。
兎に角お前壊滅的に武器の扱いが下手だ、木刀の殺陣で相方したくねぇ位に刀がバットと同じ動きで斬れてねぇ。
な の で、基礎のおさらいすんぞ、コレやらねぇと今度の[忍戦隊甲賀マン]のキャスティング見直さないといけないんだ。非常にめんどくさ…もとい、お前の成長の為には必要だと思ってる。」
…先輩最後の本音で色々台無しですコンチクショウ。
ジト目で先輩への評価が駄々下がりなのがツータワレ♪と念を送ってるのをガン無視して話は続く。
「いいか、目の前にある様に和モノ洋モノ歴代連者シリーズの多種多様な武器…。
洋武器は叩き付けて斬るに対し和武器は包丁の原理だ、敵に当ててからの「引く」動作が入る。
基本的にショーの立ち回りはどんな武器でも和武器の設定で立ち回りは構成されてる。」
此処まではOK?と聞いてくる先輩に頷く俺。
「んじゃ、まぁ腰に差してー…ってヒロム、その時点で間違ってる所があるぞ。」
先輩に言われて自分を見直して見るが、何が駄目なのか分からない。…先輩?右利きだから刀は左で間違い無いですよね?
「そこじゃない、刀の向きだ。お前の差し方は刃が下向きで太刀の差し方、俺等は打刀の方。反った刃が上じゃないと、抜いた時に足スパーンと逝っちまうぞ。
分かってると思うが右手右足の同側型動作…所謂「ナンバ」だからな。普通に「殴り」みたく右手左足うっかり出してみろ、足にザックゥウウウブッシャアアァァだな。
因みに戦国時代は馬糞や尿を塗ったり飲んだりして止血してたそうだ。それを踏まえて戦国モノのゲームをやると中々に考えさせられるよなー。」
うををぅ、それは勘弁なので慌てて刃先を上に向ける。あれぇ、漫画で下向きなのって間違いだったんかなぁ?見た目重視?…アレか、いもけんぴがお弁当状態で髪の毛に付いてるぞってヤツか。若しくはM4アサルトライフルをバズーカみたいに担いでワッショイ。
「刃の向き直したな、ーで、簡単に言うと手の甲が右向いてる状態で柄を持て。
んでもってそのままスーッと抜くと…自然なカタチで敵に切っ先が向くだろ?1動作でそのまま攻撃ザシュゥッ☆だ。
一旦納めて今度は手の甲が左…そう、がっつり柄を持って抜いてみな?」
言われた通りにやってみる…あ、抜いたら刃が自分向いてる。不殺か、不殺の浪人剣士漫画か。
「そ☆そーなるから2動作必要になってくる。敵は待っててくれねーぞ、持ち直す間にサクッとやられちまう。はーい、んじゃ次の行程行こう次の。
本当は剣の16の型をみっちりやって仕込みたいんだが、時間が無い&面倒なので攻めの手9つで今回は何とかなるだろ。」
「ほれ構えろ」と言うので正眼に構える。剣道で言うトコロの所謂中段の構え。
「行っくぞ~ちゃんと着いてこいよ~☆」
唐竹・袈裟斬り・右薙・右斬上・逆風・左斬上・左薙・逆袈裟・刺突
「ちゃんと目標物を見ろ!「引いて斬る」を忘れんな!刃先まで自分の腕だと思って角度気を付けろ!
因みに余談だが、この9つを同時に出せる事が出来たら龍が天を翔る閃き的な技を使える様になるそうだぜぇ。」
「頑張ってみるかヒロムー?」なんて寝言ほざく先輩へ、「悪即斬っ」と思わず左片手一本突きをかました俺は何も悪くないと心の日記に赤色マジックで書いといてやろうと思う。
ーえ?忍戦隊甲賀マン?
………演ったよ青忍者。
剣の持ち方は逆手で、ほぼほぼ習った事無意味な上に剣は忍者刀で鞘は背中に差してるタイプ。
…決めポーズで抜いた後どう頑張っても鞘に収められなくて、控えテントに戻るまでずっと片手で背中の鞘と刀を持ったまま演ったけどさ(泣)