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第76話 ふわふわと沖田さんと名探偵と言うよりはとんちんかんちん一休宗純

松原さんがドーム内の安全確認をしてた時。

「ヒロム君、中に指輪落ちてたんだけどー。」

この一言が、あんな事件になるなんて思いもしなかったんだ…。


なーんて、思わせ振りな言い方したら何かのフラグになるんじゃないかなーと愚考してまーす阿久津ヒロムでーす☆


松原さんの掌には、リングに大きな翡翠を1粒爪留めしてあるお姫様とか出てくる童話にありがちなデザインの指輪。

…うーん、バルーンドーム内にあったって事は持ち主はお子ちゃま?って事はコレ玩具?


…まぁ俺等真贋を見分ける目なんて無いから何とも言えないけど。第6感とか阿頼耶識とかおでこに一瞬のパルスが走ったりとかしたら分かるんだろうか…。


なんて、阿呆な事を言いながら2人で管理事務所へ届けようかって結論が出た頃…


「それ、おれの。」


と、松原さんの洋服を引っ張ってる小学…2年生?位の男の子。


「あーそーなんだ。良かった気を付けてね☆」


と、松原さんは男の子に指輪を渡す。受け取ると男の子は、直ぐ様踵を返して走っていってしまった。


「ちぃぃ、坊っちゃんめ、有難うが言えないといい大人になれないんだぞぅー、でも問題が片付いて良かったねぇ☆」と松原さんが笑う。


…うーん、何だろうなーんかこう気持ち悪い。俺のゴーストが何かしら囁いてて…「松原さんんん!ヒロム君ンン!仕事オオオオ!!!!」あ、忘れてた(酷)

大野さん、すみませーん!すぐ行きます!松原さん行きましょう最後尾お願いします。


ちょっと離れてた間にバルーンドームの周辺はお子ちゃま達がワラワラワラワラ…、ごめーんみんな俺の前に1列に並び直してー!


わっちゃわっちゃ列を整えてお子ちゃま入れて…降ろして…、ふと気付くと向こうから草まみれの沖田さん達。うわー憑き物が取れたかの様な笑顔っすね、土方さんに散々集ってた夏祭り以来ですその笑顔見るの。


此方の目線ビームに気付いたのか手をブンブン振ってる沖田さんに手を振り替えそうと…あれ?腰に誰かしがみついてる。

沖田さんの腰でぐずってる子が顔を上げる…をやまぁ可愛いお嬢ちゃん。迷子なら管理事務所に連れてくだろうからー



沖田さんに子孫が居たとは知りませんでした。



そんな可愛いボケに沖田さんは眉間にチョップを返しやがった、ちょっと痛い。


「をう、こんだけ可愛いと俺の嫁にしたいのは山々だが年齢差がとんでもない程に犯罪級だからな。残念ながらお客様だ☆


ほらお嬢ちゃん、この兄ちゃんに聞いてみな?」


お子ちゃまと話す時はしゃがんで目線を合わせる、ふふふふん基本ですね、そして敵意は無いよ~と笑顔キラーン☆


「お祖母ちゃんから貰った指輪を落としたの。」


   なん…だと…っ!


指輪? ゆびわ? YU☆BI☆WA☆


「緑の大きな石が付いてるの。ずーっと遊んでた所探して来たから、後はくまちゃんの中だけなの。お兄ちゃん見なかった?」


はい確定~、あの変な感じはコレかぁぁぁぁぁと頭を抱えて座り込む。しまった、確かにあの坊っちゃんにキチンと確認もせずに渡してしまってた。


沖田さんの耳に口を寄せて斯斯然々。


「…ヤバイな、公園は広いしその坊っちゃんが去って?…30分位か。親御さんと車で来てたらアウトだな。よし、残りの奴等をバルーンドームに回すからヒロム達は捜索にー。」


ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ


空気を読まないキッチンタイマーが鳴る。

沖田さん取り合えずお子ちゃま入れ替えしてから行きますから。


はーい、時間だよーゆっくり出るよ~!


1人ずつ安全に注意して降ろしていく、8人9人…次の子で最後。


はーい、気を付けて降りるよ「おれひとりでおりれる!」をををををを!?


最後の1人は何と探そうとしてた坊っちゃん、思わず腕を掴みそうになるけど手をギュッと握って逃がさない様にする。


僕ちょっといい?聞きたいことがあるんだ。


疑問符を浮かべながらも従ってくれる坊っちゃん、沖田さんに目線で合図してバルーンドームの裏側へ。


面子は俺・沖田さん・松原さん・お嬢ちゃん・坊っちゃん  お嬢ちゃんは松原さんにお願いして少しだけ離れた所へ。


警戒させない様に目線を合わせて笑顔笑顔…。


あのさ、キミの忘れ物って言ってた指輪なんだけどさー


「おれが落とした緑の石のゆびわ?それが何?」


…うーん、あのねもう1人指輪を落としたって子が居てね。


「そいつのゆびわだってしょうこは?」


…えーとその子はお祖母ちゃんから貰った大事な指輪だって


「おれは母ちゃんからもらった大事なゆびわだけど?」


……えーと


「そいつ嘘つきだ!!おれのなのに!」


「嘘じゃないもん!!」


大きな声を出したから坊っちゃんとの話の内容がお嬢ちゃんに聞こえたらしく、顔を真っ赤にして反論する。


「お祖母ちゃんからの大事な指輪なの、返して!返して!」


「ウソつき嘘つきうそつき!おれのなのにお前とろうとしてる!嘘つきはドロボウなんだぞ!!みなさーんここにウソつきなドロボウがいま~す!!」


あぁぁ、子供の煽りって何であんなに苛つくんだろう…。

小さな子が物騒な言い争いをしている所為で、少し遠巻きにお客さん達が此方を見ている…。どうしよう、心情的と言うか何と言うか…お嬢ちゃんが持ち主で間違いないんだろうけど確かに証拠は無いし…。

沖田さんは難しい顔して何か考え込んでるし…。


あぁぁぁ今すぐ気絶して気が付いたら異世界に居たらいいのに…なんて、言い争う2人を宥めつつ途方にくれていたら…


「静香!」「武志!」


うわわわわわ親御さんだ…。不味い揉める、絶対揉める…事が大事になったら山崎さんの大謝罪行脚が始まる…どどどどどうしよう。



「ヒロム、松原とで2人をちょっと離して落ち着かせておけ。親御さんと話をつけて来る。」


アワアワしてる俺の肩をポンと軽く叩いて、スッと親御さん達に向かって歩いてく沖田さん。


我に返って2人を引き離し、お互いを視界に入れない様に背を向けさせる。もう帰ると不貞腐れる坊っちゃんに、うちの上司(おきたさん)が親御さんに話してからね、もぅちょい待ってて~ところでそのTシャツと靴獣神者じゃん?流行ってんの?俺マスクドライダー野郎好きなんだけどさーと、怪しまれないように軽めに謝りつつ話を振って会話を続ける。


沖田さんの方を見るとー、2人の親御さんーお母さん方に声を掛けて…?「静香!」…あ、お嬢ちゃんのお母さんが松原さんの方に駆け寄って行った。ボロボロ泣きながらお母さんに抱き付くお嬢ちゃん。うーん、何とか返してあげれたらいいけどなぁ。坊っちゃんの言う通り決定的な証拠が無い。


沖田さんに視線を戻すとー、坊っちゃんのお母さんと会話中。こっちのお母さんは…笑顔だ。今現在は、自分の子が指輪持ってるからなぁ…このまま帰れば自分達の物だもんなぁ。


……ん?お母さんの顔がひきつって…?

…っっ!?こっち睨んでる!「武志!こっち来なさい!」他人からしたら恐ろしい声音なのに坊っちゃんは嬉しそうに走り寄る。


聞こえないけど何やら1言2言話して…ヒィイッ!?坊っちゃんまで此方睨んでる!


此方を睨み付けたまま、坊っちゃんはズンズンと足音高く近寄って来て…通り過ぎ…て?

…え!?そっちはお嬢ちゃんとお母さんっ「くれてやるよ!こんなモン!!」


お嬢ちゃんに投げ付けたのは…指輪!!返ってきたのはいいけど痛いっ、至近距離でアレは痛いっっ。

「うちの娘に何するの!」って号泣するお嬢ちゃんを介抱するお母さんを悔しげに顔を歪めて「ばーーーか!!」と罵った坊っちゃんは、お母さんの後ろを追っかけて去って行った。えと…無事解決?


沖田さんはお嬢ちゃんのお母さんと話をして…頭を深々と下げた。きっとあれは俺等が下げなくちゃいけない謝罪の筈、慌てて走り寄って俺も頭を下げる。どうやら横で松原さんも頭を下げてるみたい。


「無事に返ってきましたし、元々は遊びに行くと言うのに持ち出したこの子も悪いのですからあまりお気になさらず…。」


なんて言って2人は帰って行った。…はぁぁぁぁぁあ良かったぁぁぁ、何とか解決したぁぁぁあ


思わず松原さんとその場にへたりこむと、沖田さんが前にヤンキー座りで話しかけてくる。


「まぁ、クライアント側には報告しなきゃいけないからどっちみち山崎さんは出てくるけどな☆」


「まぁ、一応は解決したから良しとしますかな☆」と笑う沖田さんに、坊っちゃん側のお母さんに何を言ったのか訪ねてみた。


「んー?証拠だなんだと言い出したら下手すりゃ警察沙汰になるからさぁ、大事にしたくないし?しても良いけど次の仕事頂けなくなるしー。お母さんに「坊っちゃんに指輪をあげましたか?」って聞いた。」


え?それって是と答えたら終わりじゃ…


「チッチッチ甘いぜヒロム。

それでお母さんが笑顔で「ええ、あげました」って答えたから「ルビーの?」「ええ、」ってまた肯定すんのね。


で、「リングはダイヤモンドで埋め込んでるタイプの?」って聞いたら「ええ、ええ」ってニッコニコ。


「貴女が坊っちゃんにあげたのは[真っ赤なルビーで、リングにダイヤモンドが埋め込んである物]で間違いないですね?」って笑顔で聞いたら「はい、ルビーの指輪で間違いないです♪」ってあっちも笑顔で返すから、笑顔止めて「では坊っちゃんの持っている指輪は、貴女の証言とは全く違う別物ですので、お嬢ちゃんに返すように指導お願いします『その指輪は、あのお嬢ちゃんの物だから返してあげなさい』と。って真顔で伝えたら一瞬ポカンとしてたけど、直ぐにハメられたって気付いたらしくて怖ぇの何の☆


まぁ、話が聞こえてる範囲の人からは注目されてたし、母ちゃん側が居たたまれなくなったんでない?


ヒロムと松原は、次からは落とし物は直ぐに管理事務所へ届けろよ?お客さんだって先ずは其処に尋ねに行くモンだからさ☆」


素直にサーイエッサーと答える俺等に満足げに笑って人の頭をぐちゃぐちゃになる様に撫でる。


「この御礼はコンビニで、自分の金じゃ絶対買わない金額のアイス全員分でいいぞ☆」


  全 員 分 ?


固まる俺等に見向きもせず、沖田さんはバルーンドーム表側へ「野郎共~、ヒロム達が帰りにアイス奢ってくれるってー拍手~☆」と走り去って行く。


「「「松原さんヒロム君ごっちでーーす♪」」」


なんて残りの3人の声で堪らず俺等はひっくり返って天を仰ぐのでした…。あれだよね?コンビニで自分で買わないレベルのアイスって言ったら、冷凍食品置いてる所にある400円以上するでっかいパフェ型の…はぁぁぁぁぁあorzせっ、せめてハゲーンダッツのご家族様パックで勘弁してくれませんかねぇええええ!?










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