第73話 歌のお兄さんやら何やらかんやら
苺花ちゃん「い」が付く♪
「いけない娘だね…オシオキされたい?」
ごっ吾朗君「ご」が付く♪
「ごめんよ…君を独りにして」
…聖子ちゃん「せ」が付く♪
「せっかちだなぁ…、慌てなくても俺はずっと此処に居るよ」
友香子ちゃんっ「ゆ」が付く♪
「夢の中で…逢おうね、待ってる」
ふんだらばぁぁぁぁぁあ背中が痒いわぁぁあ(怒)
「をー、どーしたヒロム頭抱えて。体育の課題の新作コンテンポラリーダンスか?高校生は大変だな☆」
沖田さんからの能天気な質問に思わずイラリッチ☆阿久津ヒロムでっす。そんな事より沖田さん、この童謡「君の名は」の歌詞の台詞が超絶寒くて怖い。
「あ、ソレ土方用の大きいお友達しか来ないようなイベント時限定の台詞。作詞俺☆
吾朗君の歌詞で微かな腐臭を漂わせる事によってあざとい位に乙女のハートは鷲掴みだね☆」
まぁそんな予定は永久に無いから安心したまへー☆と笑う沖田さんに「おなごはそんなに簡単ではござらん」と、軽く膝カックンして当初の目的へ。
当初の目的…そう、「依頼が来たぜ☆初めての歌のショー、キャスティングやら曲目はどうするー?会議」。
…いやただ単に暇人が事務所に集まって珈琲飲みながらピックアップされた曲の歌詞見つつウダウダやってるだけなんですけどね。因みにメンバーは山崎さん(社長だしね)・沖田さん(倉庫整理してた)・俺(沖田さんの手伝いしてた)
…で、キャスティングですが
・歌のお姉さん→MCさん
・歌のお兄さん→ここ議題
・バックダンサー動物2体→その日空いてる人(特に誰が演っても問題無し)
…歌のお兄さん、歌のおにいさん…おにいさん。何でだろう、そんな響きに合う人物がわが社には居ない…。
そうか、この依頼は実は夢で「失礼な☆そんなお前に~、てぃっ♪」…ぐぅっ、こっちにピースサイン出してきてフレンドリーさを表してるかと思ったら目潰しとは卑怯なりぃぃい。斯くなる上は俺の最終奥義…
「…2人共~、そろそろ戻っといで。
じゃないとキャスティングは社長権限で歌のお兄さん2人で君達にしちゃうぞぅ☆」
なんて恐ろしい事を言う山崎さんの笑顔に、なんか黒さを感じたので大人しく席に戻る。
「…んじゃ続けるよ~、依頼先は修羅の国オートレース場での新春ファン感謝祭だね。前回レースとレースの間にやったミニショーが、結構評判良かったみたいで我が社ご指名☆ありがたやー
…だから今回もショーの時間は約10分弱位だねぇ、曲の指定は無し。
さてどうしようか?ヒロム君、意見をどーぞ☆」
・歌のお兄さんのイメージがみんなに無いのが致命的、すげー譲って安定のイケメン土方さん。
・冒頭の童謡「君の名は」は、お友達に名前聞いたり大きな声で返事したりと歌のショーには合うと思う。
・連者モノのエンディングダンスは、みんな踊れるから楽しいんじゃ無いかと。
・先週のダンス練習で踊った「僕のミックスジュースの言う通り」だと全員踊れるのでちょっと楽☆
ふんふんと聞いてくれてる山崎さんの横で、此方の意見を鼻で笑ってる。
「甘いぜヒロム、国営放送のイメージでやっても本家には勝てないんだからさー。」
・お兄さんは、ヒロムもオススメ国営放送とは真逆な金髪イケメン土方。若しくはオッサン山崎さん。
・童謡「君の名は」は、ステージから降りなきゃいけないから今回は無理じゃね?
・連者モノのエンディングダンスは賛成、お友達がステージ周辺で踊ってるのは微笑ましい。
2人の意見でちょっと考え込む山崎さん、…てか会議なんて言うけど、単なるお茶請けの会話で仕事の方針決めて大丈夫なんだろうか…。
そんな思考を読んでか沖田さんが「大体こんなモンだぞ☆」と笑顔。ちっくしょう俺等は毎週末、キャスティング表の前で一喜一憂してんのにな。
「ちゃんと考えてるって~、多分☆」と無責任な発言しながら頭ガシガシしてくる沖田さんをジト目で睨んでると、漸く思考の海から脱して来たのか山崎さんが口を開く。
「ん~じゃあ、曲目は「僕のミックスジュースの言う通り」を採用しちゃおう。」
「あぁ、あの朝はおろか昼も夜もミックスジュース飲んで俺等大人には糖分が心配な歌詞のヤツですか。」
「はっはっは、沖田君は童謡相手に見も蓋もないね~。
まぁまぁメジャー曲だし、先週のダンスそのまんま使えるってヒロム君の意見は良いよね☆
後は、親御さん達の子供の頃に流行ってた「だんご4家族」と、連者モノエンディングは「全員連結☆ダイナソーズバッテリー」でどうかな?あのダンス分かりやすいし可愛いし。」
「ふんふん、なる程…無難でいいんじゃないすかね?初回だし会社のサイトで宣材写真アップでダイナソーズのダンスシーンなら盛り上がってる感出ますし。」
んじゃその体で返信しときまさぁー☆と、ファックスで送る書類を作成しだす沖田さん。ああ見るとちゃんと大人に見えるから不思議だ(失礼)
じゃあこれで「依頼が来たぜ☆初めての歌のショー、キャスティングやら曲目どうするー?会議」は終了ですね☆「うん頑張ってねヒロム君♪」
…へ?ガンバッテネ?
……あぁ、これから練習ですもんねー。今日は剣殺陣だから斎藤先輩の頭割らないように頑張りまーす☆てっへぺろりーん
明後日の方向見ながら練習場へ逃げようとする俺の両肩を、山崎さんがガッツリ掴んで放さない。
「やだなぁ、言ってなかったっけ?「会議と言う名の打ち合わせ」って。
いやぁ、この現場の日は土方君てば別現場にどうしても入らなきゃいけなくてねぇ~歌のお兄さん、僕がやるしかないんだ☆
尚且つ着ぐるみの1体は沖田君、そしてまだキャスティングの決まってないヒロム君。
…はい、これらを纏めて導き出た答えは?」
…俺がもう1体?
「フフフー、着ぐるみの方なだけまだマシだと思おうねー。…拒否るならお兄さん処か「歌のお姉さん」としてキャスティングしちゃうぞぅ☆うちはMCさんに衣装代が出る会社だからね、お金を出す=何を着るか口出し出来る だからね。」
そんな事言われたら、首降り人形の如く頷くしか無い訳で…。うぅぅ、前例の無い仕事は何があるかが分かんなくて怖いけど頑張りますからぁー、両肩砕け散る前に放してくださーい(泣)
余談だけど当日の山崎さんは真っ赤なジーンズで何処の80年代アイドルだよぅとした服装だったので、嫌がらせに村上さんに写メっておいたのは言うまでもない。そんなのどこに売ってるんすか。