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第68話 16歳の引き出しって何だかんだ言っても少ない

「プニプニちゃんったら立ち方すらもへっったくそねー☆」


おっふぅ…言葉のナイフがとっても鋭利ですぜ村上さんたら☆

そんな訳でリハーサル中の阿久津ヒロムでーす、駄目出しの嵐で涙目でござるぅ。


「プニプニちゃん、いくらなんでも「ビーンジャムとして立つ」すら出来てないってどゆ事?

アレなの?今回は「周りをガッチガチの経験者で固めて割りと重要視されない主役(ピン)を新人にやらせる」パターンのヤツなの?なら納得なんだけど☆」


え う あの え?


「まぁ無難にこなせてたから別にいいわー☆着替えも今んとこ問題無いみたいだし、本番トチらない様にね。でーはっ、終ー了ーーぅお疲れー。」


言い終わるやいなやクルリと背を向けられてしまった。…ビーンジャムとして?何ソレ、俺ちゃんと出来てる筈だよね…?


「さ・て・と☆お待たせーぃ、土方さん。ぎぃやぁぁぁあ相変わらず何着ても似合うわぁぁあ、この完璧超人めが♪順番はノーマルの獅子舞を地元の保存会が演りーの、三増獅子演りーの、トリで中国風の獅子舞3連星ジェット気流でアタックってなってるから派手にヨロシクねーン☆」


なんて言いながら土方さんに抱き付こうと両手を広げた所に…あ、がら空きのボディめがけて一撃…てかアソコ心臓じゃないかな。


「ヒロム君よーく覚えておきなさい、『ハートbreakショット』と言います。お前なぞ山崎さんに完膚なきまでに失恋した挙げ句心臓も止まってしまえと言うお(まじな)いを、心の底から込めてみました☆拳を痛めないように掌底打ちなのがミソです。」


「酷い私女優なのにっ! 」「嘘つけ」「女はみんな女優なのっ!」「お前男でしょう」「心はいつまでも乙女よ!!」「何故に親は権三郎とか田吾作とか股乃進とかって命名しなかったんでしょうか…チッ」


…なんて漫才が繰り広げられてます、村上さんに色々聞きたいけど獅子舞のリハもあるし、何よりあと2時間程でショー始まっちゃうし…、近藤さんに聞いてみよ。えーと、あ 俺の衣装を袋に詰め直してくれてる。そっか、舞台袖で着替えないとだから衣装持って移動するんだっけ。


近藤さーん俺やります、やらせちゃってすみません。…あの、村上さんが言ってたヤツですけど。俺の何処がいけなかったんでしょう?よく分かんなくて…。


「んー佇まいかな?あ、落ち込んだウソウソ(笑)ウソじゃないけど嘘。

あの人何でもない様な事を、さも重要な風味にして醸し出すのが得意だったからねぇ。そんなに気にしなくていいと思うよー。

ただ単に「演技しすぎてうるさい」って言いたかったダケだと思われる。」


言葉に理解が着いていかなくて首を傾げる。

その様子を見て近藤さんが話を続ける。


「ヒロム君さぁ、斎藤に「台詞のない場面は自分で考えて話を作る」って教わってるじゃない?あー大丈夫大丈夫間違って無いから。斎藤あんな子だけどあの指導はキチンと出来てたから。」


近藤さん、然り気無ーく斎藤先輩をディスってますよね…気のせいですか?


「気のせい気のせい木の精の所為☆ーで、ヒロム君は話を作りすぎちゃってんの。他のキャラが喋る毎に「うんそうだね」の相槌とか「何て酷いことを」とかの反応してるじゃない?全力で、そのシーンの主役を力業で奪っちゃってるのよ。そのシーンで注目されるべきなのは誰?


要は押さえなさいって事。ビーンジャムってアニメの雰囲気もまーったりした勧善懲悪モノでしょう?やり過ぎた演技の結果、ネズミーマウス並のビーンジャムになってて周りの雰囲気と合わずにちぐはぐになっちゃってんの。

前言われたでしょ、あの動きは素人がやるとただ五月蝿いウザいって☆もーちょっとどっしり構えてなさい、「何もしない演技」も必要よー。」


言われた言葉に思わず項垂れる。あぁぁ俺ってば「やるぜ、俺はやるぜ」的な猪突猛進状態で周りが見えてなかったのかぁぁぁ。


「ーで、村上さんだけど。

あの人のモノの言い方は、私がちゃんと後輩の面倒見てるのかも確認したかったからだと思うのよ。

引っ掻き回すだけ引っ掻き回した挙げ句の果てにの言動と行動だから、どんなに良い事だとしてもマイナスイメージしか残らないってのがあの人らしいっちゃらしいんだけどねぇー。」


悪い人じゃ無いのよ嫌わないでねー、なんて頭わっしゃわしゃ撫でてくれた近藤さんに返答しようと顔をあげると…。


「なぁに勝手に人を分析しながら語ってんのよぉ小娘の分際でぇ~」


羽交い締めにした近藤さんの頭に顎のせてグリグリやってる村上さんがおりました。


「こーんーどーぅー?何余計な事言ってんのよぅ、アンタのあーんな事とかこーんな事とか恥ずかしい過去暴露してやろぅかしらー☆

プニプニちゃーん?近藤ったら魔女見習いいろはでさー、衣装の一部丈パンツ掃き忘れてた挙げ句に盛大にスッ転んでお客の1部の1部分がひゃっほ!…おおおおおおおぅ」


「ヒロム君これもよーく覚えておきなさい、敵が密着して自身が人質にとられている場合、足の甲を踏みつけるのが有効だと緊急対策特命係の方が言ってました。近藤、躊躇なく踵でやりましたねナイスですよ。」


わぁお互いのサムズアップがキラキラしてて素敵ですぅ。


倒れて唸ってる村上さんを放置しつつ、「ビーンジャム班は衣装運んで小休止しましょうかねー。」なんて指示を受け控え室を出ようとすると…。


「…ふっふっふっふ、そんな安息な一時なんてアンタらには無いわよ。てか与えるモンですか。」


床に突っ伏した筈の村上さんがゆーっくりと笑いながら立ち上がろうとして…あ、土方さんに足払い喰らった。…でも村上さんまだ笑ってる。


「後でビックリどっきりサプライズで発表しようと仕事発注の時に言わなくて良かったわー、土方さん不思議に思わなかったの?

何故にpm11:00なんて良い子がおねむの時間帯にショーなのか…。ヒント☆年明けおめでとam0:00から豪華景品のビンゴ大会が開催よ。当然ビーンジャム・ウィルスン・バクテリア子はアシスタントで出てもらうから。」


それは答えと言うんです馬鹿村上。

なんて言いながらストンピング乱舞してる土方さんは、絶対零度の空気を纏ってて我等には止められませんでござるガクブル。


「…チッ、担当が村上の時点で何かあると気付くべきでしたね。

ーヒロム君達3人、大変でしょうがビンゴ大会よろしくお願いします。幸い1日の早朝は獅子舞のみですからゆっくり寝て…」


「あ、リハ中にメール入ってて『獅子舞保存会の演者が骨折した』って言うからプニプニちゃんと近藤貸してよ。因みに朝6時☆」


「むーらーかーみぃぃいー!この阿呆がぁぁあ!」


あぁぁ!土方さんソレ駄目なやつ、本気で首を捩りあげるのは本気の本気で駄目なやつですからぁぁぁあ(泣)大丈夫です、俺頑張りますからぁぁあ離してあげてよお!


「 …ハッ、フフ…、ほ 本人が  言ってんだ から  問題 無いでしょっ。ッゲホ、…トドメににショーとビンゴ大会の間に時間が無いからpm10:00から撮影会とサイン会やるわよ。」


「ヒロム君、新しい技を教えてあげます。まずこうやって立たせた村上の背後から左手で掴んだ右腕を引っ張るとー、そう勢いで体が向き合いますよね?

そこに自身の右腕を村上の喉元に向かって、様々な思いを込めて叩き付ける。こんな風っ!にっ!」


…今人間からしちゃいけない音がした上に畳なのに人体が有り得ない位跳ねますた。


「所謂ショートレンジ式のアックスボンバーです。『魔女狩り』と名付けようかと考えてます。あぁ、技に入る前に天を仰ぐように両手を広げます。」


…土方さん、ソレ多分絶対金の雨が降るぞーの人の必殺技です。


「さぁさぁ、誰かのおかげで時間がありませんからチャッチャと仕事行きましょうかね。

今年最後の仕事です、「どんな(しごと)でも子供に夢を」で頑張りましょうね。

忘れ物ありませんかー?電気消しますよー。」



あのアソコで倒れてる村上さ…



「消ーしまーすよー☆」




はぁーい…










長かったよぅ…(泣)村上が勝手に暴走するんだよぅ。もう出さねぇぞー…多分

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