第61話 魔女見習いいろは4年生
BAN×2☆BAN×2☆教えてマホウのい・ろ・は~♪
表からは魔女見習いいろはのOP曲にのせてMCのお姉さんが物販の説明やら注意事項やら、控え室なテントにはいろはちゃん達5人とDr.ウィッチーに…げんなり顔の俺。またもや社長の陰謀どすえ、どちくしょう。
開きなおれヒロムー!!もう何も聞こえなーい怖くなーい、1度入っちまえば内臓が男だろうと他所の星からやってきた種族の最後の生き残りだろうと関係ないのさぁぁぁぁあ。
そう、俺は立派に演ってみせるぜ!!
…ルーズソックスのナース役をっっ(血涙)
はーい そんな訳で阿久津ヒロムでーす、今回の現場は[魔女見習いいろは4年生]
魔法薔薇から産まれた次期女王の赤ん坊「華ちゃん」を、色々な運命の悪戯によって1年間ママとして育てなくてはいけなくなったいろは達による華ちゃんスクスク健康診断なショーです。
で、俺はDr.ウィッチーの助手のナース役。因みにナースは役職名では無く名前、膝上何センチだこのやろうなミニのナース服が眩しいぜ☆
余談ですけどもいろはちゃん役の近藤さんからは、「ヒロム君、全身タイツから脛毛出てたら『布ガムテ脱毛下から上へ』の刑よ☆」ととても良い笑顔で言われたのでトゥルトゥルです☆
「さぁ、大きな声で呼んでねー!魔女見習ーい?」
「「「「「「いろーはちゃーーーん!」」」」」!!
さ、本番始まるよーよろしくお願いしまーす。
健康診断に魔法界へやってきたいろはちゃん達、何時もなら容易く出来てる華ちゃんを寝かしけや嫌いなものを食べさせるのも何故か失敗続き、…何故ならナースな俺が裏で邪魔してるから☆
「…いろはちゃん達ったら全然ダメダメですねぇ~☆」
「元々人間なんかに任せようとしたのが間違いなんだ、女王様も何をお考えなのか…。あんなに反対したと言うのに…。」
ぐぬぬぬ状態のいろはちゃん達、さぁ最終検査は華ちゃんじゃなくていろはちゃん達が対象。
「さぁ次で最後、あなた達の体力審査☆私を捕まえる事が出来たら合格でーっす♪
あ、魔法は使っちゃ駄目だからね。」
いろははプリティ&キュアと違って戦ったりしないから、この鬼ごっこは何度もリハーサルして俺の1番の見せドコロ。
行くよっ、せーのっ☆
突っ込んで来るいろはちゃんの足引っ掻けてプププーって笑って、それに気を取られた音符たんの腰をガシッと掴んで「良いではないか」のお代官様ごっこの様に回してダウンさせて先ずは2人撃沈。
「頑張るの頑張るの私、しっかりしなきゃ」なんてステージの端でブツブツ自己暗示を呟いてる葉月ちゃんの後ろから「ワッ!」と驚かし、最後に亜依子ちゃんの突進を闘牛士みたいにかわして転んじゃったのを「うわぁ…痛そう☆」って見ながら一仕事終わったと言わんばかりに手をパンパンとはたく。
埒が明かないと4人で飛び掛かって来るのはたまたま横に居たDr.ウィッチーを盾にして避けたら全員ばっかもーんと怒られて…うん、こんな感じの好きだな☆アクションショーでもこんな感じの演れたらいいのになぁ~、立ち回りはどーしても格好良さ重視だからにゃー。
そんなこんなで鬼ごっこは時間切れ、座り込んでゼハゼハ言ってるいろはちゃん達にDr.ウィッチーは冷たく言い放つ。
「フン、…不合格だ。
宣言通り赤ん坊は我々の手で育てる、女王様には私からお伝えしよう。お前達はとっとと人間界へ帰れ。」
その言葉にハッと顔をあげる5人、鬼ごっこの間預かってたDr.ウィッチーから華ちゃんを受け取ってステージセンターで言い放つ。
「それじゃあ、華ちゃんは此方にいただきますね☆ほーらバイバイしてー♪」
「…とられちゃった。」
「大事な華ちゃん…。」
「頑張ったのに…。」
うちひしがれる4人…、それを無視してDr.ウィッチーの元へ。さぁ帰りましょうかーなんて言ってると…。
「ママァ、いろはちゃん可哀想だよぅ」
「駄目ぇー!返して華ちゃん!!」
「いろはちゃん達はママなの!華ちゃん連れてっちゃ駄目!」
うわっ!なにコレ…!
今まで座って見てた子供達が、立ち上がって泣きながら俺に抗議してる。
泣かせちゃった事に感動しちゃって俺が泣きそう…!
まるでそれに合わせたかの様に華ちゃんが泣き出す、うわわ☆雰囲気に呑まれてる場合じゃないや。
「よーしよし、よーしよし、あれれれ?ドクターどうしましょう華ちゃん泣き止みませんんん~。」
「ええい、貸せっ。………駄目だ、泣き止まん。…マズイぞ、赤ん坊とは言え次期女王様である華の魔力は強力すぎる。…このままだと」
ズズン!ズズズズズズ…聞こえる地鳴りの音ー、突き上げられる様な衝撃!地震!?
「ドクター、何が起こってるんですか~ぁ!?」
「華の負の感情による泣き声が原因だ、泣き続ければ…まずいぞこのままでは魔法界が崩壊する。強制的に眠らせようにも我等の魔力では太刀打ち出来ん。」
ええぇーー!?どうしましょうどうしましょうなんて華ちゃん抱えて狼狽えていると…
「華ちゃんを抱かせて下さい!!」
いろはちゃんがキリリと此方を見てました。
ドクターを見ると小さく頷いたので、そっと華ちゃんを渡す。
いろはちゃんを真ん中に4人が円になりー
聞こえてきたのは何時も歌っている子守唄。ゆったりゆったり、4人が華ちゃんの為に想いを込めて歌う。そんな中俺は地震で転がりまくってる演技してます☆
気が付けば地震は収まり、いろはちゃんの腕の中ですやすやと眠る華ちゃんー。それを見たドクターは俺に「帰るぞ」と言い放ち踵を返す。
「あのあのっ、ドクターいいんですか?華ちゃんはー」
「構わん、人間なんぞと思っていたが…見てみろ、立派に母親だ。女王様には健康診断は合格だとお伝えする。…どうせお前が邪魔してたんだろう?」
「ありゃ、バレてましたか☆人間界とは関わらない方が幸せ、なーんてドクターがおっしゃってたんで つい☆」
そんな事言いながら我等退場。
「…華ちゃん寝ちゃったね。」
「うん、ドクターもナースさんも居なくなっちゃった。」
「うちらの事認めてくれたんかな?」
「居ないって事はそうなんじゃない?」
「今回の健康診断はダメダメだったケド華ちゃんも1歳、私達もママ1歳…お互いもっともっと頑張れるって事だよね。」
4人は顔を見合せて
「「「「「帰ろう、人間界へ。私達のおうちに。」」」」」
鳴り止まない拍手の中控えに戻ってくる4人。
俺等はすぐにでもサイン会の準備に移るべきなんだけど、今日だけ!今回だけごめんっ!MCさんちょっとだけお楽しみ袋の宣伝とかで繋いでてっ!
面を外した4人に飛び込む様に抱きつく、いろはちゃん演ってた近藤さんは涙でぐっちゃぐちゃな笑顔だった。
「見た見た見た見た!?」
「見ました見ました見ました!すっっごい気持ち良かった、俺凄ぇ感動しましたもんっ!」
「「「「「演ってて幸せだったー!!!!」」」」」
無意味に全員で円陣組んできゃいきゃい言いながら回る、どうしようどうしよう!こんなに嬉しいなんて感じたのは生まれて初めてで表現しようにもあぁぁぁあとにかく凄くて嬉しくて泣きたくて笑いたくてー
「ヒロム!!気持ちは分かるけどブルーシート畳むの手伝え!サイン会の列作れ!働けやっ!」
沖田さんに怒鳴り込まれたのは言うまでもない。