そんな気がした。
「それでいいんだよ」そう聞こえた気がした。
僕は小説を書いていた。といっても趣味でだけど。誰にも見せたことはなかった。人によっては胸を張って「できた」といえるのかもしれないけれど、僕はそういう人にはなれなっかった。むしろとても恥ずかしかった。いつもエディタで適当に遊び適当に書き適当に消していた。満足がいく作品など作ったことがなかった。当たり前だった。
もしも僕がいつか小説でも短編集でも詩でも、夢の中でも満足のいく作品ができたとしてそれは多くの人に評価されるのだろうか。今評価されなくても百年後の未来、僕が死んだ世界で昔の偉人のように評価されることがあるのだろうか。わからない。わからない。わからないけど「それでもいいんじゃない」
「誰かの目を気にする必要なんてないんじゃない」「やりたいようにやればいいんじゃない」そう聞こえた気がした。
「お腹すいた」そう呟いた。今日は何も食べてない。冷蔵庫を覗くと何もない。彼が食べてしまったのだろうか。彼はここのところゲームばかりしている。唯一の救いは仕事をしてることだけど、まあでもそれでもいい。私は私で読みたい小説が溜まっていた。でも最近ハマってるのはこれ。「小説かになろう」という小説投稿サイト。プロの作家さんもいるし、アマチュアの自由な発想も面白い。私は読むことに専念してるから、書きはしないけど。でもいつか自分でも書いてみたいな。他人の評価はとても怖いけど、でも、書いてみたい。でも私は読んでばっかりいるからきっとあの好きな作家さんのセリフの使いまわしばかりするんだろうな。それでもいつかは書いて、書いてみたいな。二次創作でもいいな。あの好きな主人公をあの好きなヒロインとくっつかせて...それでもいいのかな。なんて。その時「それでいいんだよ」そう聞こえた気がした。
僕は小説を書いていた。といっても趣味でだけど。段階は最終章が迎えられようとしていた。今だに小説を書く理由がわからないけど、もしかしたら中学生のころ作文コンテストで入賞したからかもしれない。たぶんその上には銅、銀、金って続くのかもしれないけれど今の僕には関係ない。もしこの作品が誰にも読まれなくても、百年後の未来でネットの中に沈んでも、完結しなくても。一度アップロードすることに意味があるのだと思う。逃げた理由を作りたくなかった。せっかく僕が決めたことを他人の圧力に屈服してしまうのを認めたくなかった。
これでいいんだよなと僕は問いかける。「それでいいんだよ」そう聞こえた気がした。
初登校です。他人の評価がとても怖いです。お手柔らかに。。。