強い仲間
再びナビを強い仲間の所に切り替えると、さっきとは少し道順が違っていた。
「あ、そうか!」
俺は慌てて“信頼できる仲間の所に魔物に出会わず安全に”と思い直した。しかしそれでも道順は違ったままだ。でも目的地は変わらない。
……たぶん、危険な魔物が移動しているからだろう。そう考えて、俺はナビに従い歩き出した。
「ここだ……」
目的地は乳白色の温泉だった。手を入れてみると、いい湯加減だ。
しかし、まるで人影がない。
でもナビは温泉の中を指している。潜っているのだろうか?
「……」
しばらく待っても出てこない。そこで俺はハッとした。
もしかして沈んでる!?
俺は慌てて服を脱いで温泉の中に入った。しかし深さは膝丈しかなかった。
ナビの示す場所に手を突っ込んで探してみるが、人の身体らしきものは見つからなかった。
俺は湯の中に顔を突っ込んで、矢印の示す場所を丹念に探した。するとしばらくして、ナビが指しているのは卵型をした石であることに気がついた。
手に取って眺めてみると、それは石ではなく卵であった。
「温泉玉子……」
食べられる物じゃなくて、強い仲間のはずだよなぁ。
そこで俺はハッとした。
もしかして、これはドラゴンの卵ではないだろうか?
俺はニマニマと卵を見つめた。
やっぱドラゴンは定番だよな。
俺は卵を撫でて、早く出て来い早く出て来いと念じた。
するとそれに応じるように卵にヒビが入った。そしてコツコツという音と共に卵が割れて、中から黄色い小鳥の頭が出てきた。
「……」
ドラゴンではなかったようだ。




