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召喚の理由

 ティアさんの所へ向かっていると途中で止められたので、「ティアさんに詳しい話を聞きたいんですけど」と言ったら部屋で待っているように言われてしまった。それで仕方なく戻ったけど、いくら待ってもティアさんは来てくれない。

 ……どうせ俺は従者だからザコ扱いなんでしょ。

 そう思ってふて寝してたらいつの間にか本当に寝ていた。

 なんか今日はやけに眠いなと思ったけど、よく考えたら学校の帰りに召喚されたから今は夜のはずなんだよな。ここは時間が違うのか、まだ明るいけど。

 それともこの世界は夜でも明るいのかな。だったらやだなあ。


 そんなことを考えていたら、ノックの音が聞こえた。


「はい!」


 俺が慌てて返事をすると、扉が開いてティアさんが現れた。


「お待たせして申し訳ありません」


 ティアさんともう一人若い男が部屋に入って来た。

 この部屋には椅子が一つしかなかったからどうしようかと思ったけど、若い男は「お気遣いなく」と言って壁際に立ったので、とりあえず俺はティアさんに椅子を勧めた。

 ティアさんはためらうことなく椅子に座ったので、俺はベッドに腰掛けて話を聞くことにした。


「まずはこちらの都合で来ていただき、申し訳ありませんでした」


 ティアさんが頭を下げるので、居心地悪くなった俺は「いえ!そんな」と何を言っていいのかわからずオタオタしてしまった。

 その後はティアさんから、魔物が増えすぎて討伐が追いつかないので、勇者には戦力として協力してほしいというようなことを言われたが、正直、そんなしょうもない理由で召喚なんかすんなよと心の中では思っていた。しかし黙って立っている若い男がなんとなく怖くて、俺はただ頷いてティアさんの言葉を聞くだけだった。

 しかしこれだけは言っておかなければと口を開いた。


「あの、俺には戦うのなんて無理だと思うんですけど……」


 するとティアさんも頷いて、「タケル様に戦いを強いたりはしませんから安心してください」と言ってくれた。

 ところがホッとして力が抜けた俺にティアさんは、「ですから、勇者様の従者として頑張ってください」と言った。


「そのために彼に来てもらいました」


 そう言って、ティアさんが壁際に立つ男を示す。


「彼はトゥーイといいます。従者の仕事は彼に教わってください」


 は? 何それ?

 何で異世界来てそんなことしなきゃなんないの?


 俺はフツフツと湧き上がる怒りを抑えて言った。


「帰れないなら、せめて自由にさせてください」

「異世界の方は神殿で保護する決まりなのです」


 ティアさんは申し訳なさそうにそう言うけど、本当に申し訳なく思ってるなら従者として働けなんて言わないよな。

 俺はすぐに出ていくことを決意しながら、言葉では「わかりました」と答えたのだった。


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