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『道案内』

 俺は矢印に従って部屋に戻り、ベッドに横になって能力について考えた。


 マップは行ったことのない場所も表示されている。つまり行ったことのない場所にも案内してもらえるわけだ。

 頭の中にナビが付いたようなものだ。旅をするにはうってつけだな。

 ……なんだか本当に、勇者の従者としては喚ばれたような気がしてきた。

 なんか落ち込んできたな。


 やめやめ! 暗くなるようなことは考えるな!


 俺は嫌な考えを振り払って、楽しいことを考えることにした。


 異世界といったら、やっぱ冒険でしょ。もう受験も進学も関係ないんだから、好きなことして暮らせばいい。

 冒険者ギルドに登録して、女の子たちとパーティー組んだり。

 でも『道案内』って、なんか下っ端ぽいよな……。

 ……。

 ……。

 そうだ!

 信頼できる、強い仲間を集めよう!


 お願い、ナビさん。信頼できる強い仲間の所へ案内して!


 そんな都合の良い話があるわけないとは思ったけど、驚くことに頭の中のマップに目的地と矢印が浮かび上がった。


 ……え? ホントに!?


 何度見直しても、目的地と矢印が浮かんでいる。

 ――これはもう行くしかない。

 俺は支度をととのえるとすぐさま部屋から飛び出した。

 しかし、建物から出ようとした所で止められてしまった。

 俺がいくら出て行きたいと言っても「駄目です」の一点張り。そして部屋へと戻されてしまった。


 見つからずにここを出るには、と思った所でナビさんが働いてくれた。矢印に従って行くとすんなり外に出られた。

 そこで俺ははたと気づいた。

 まだ何にも説明受けてないじゃん。


 いつでも出て行けるのだから、もう少しここに居てこの世界のことを知るべきだろう。

 ナビが便利過ぎて、つい浮かれてしまった。


 とりあえず、ティアさんに話を聞きに行くとするか。


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