表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/21

失敗と救いの声

 翌日。俺とキースは材料の薬草を求めて森の中を歩いていた。もちろん、最大戦力のピーコも一緒なので安心安全な道中だ。

 しかし、何事も慎重なのが一番。ナビさんには危険な魔物は避けた道順を示してもらっている。ちょっと遠回りになるけど狩りが目的ではないのだし、せっかく狩っても解体している暇も重い荷物を持ち運ぶ余裕も無い。

 こんな時、アイテムボックスがあれば便利なのにと思うのだが、無いものねだりをしても仕方が無い。俺の能力でも充分役に立っている。



「あった!」


 目的の薬草が見つかった。

 俺はナビさんの示す薬草を根ごと採取して大切に袋に入れた。そしてほかにも探すためナビさんに頼んだ。


「次はもっと森の奥だなあ……」

「遠いの?」


 俺の呟きにキースが訊いてくる。


「割と遠いな」

「じゃあ、ここで昼飯食べて行こうよ」

「そうだな」


 近くに危険な魔物もいないし(ナビさんに確認済み)、俺たちは急いで昼食を摂ることにした。




◇◇◇




「萎れてるね」


 街に戻って、ディーに聞いていた信用できる薬師に薬草を見せたとたん、そう言われた。


「でも上級ポーションの材料にはなるから買い取るよ」

「神の雫の材料には……」

「摘みたてじゃないと」


 そんなことを言われても。薬師持参で行けってか。

 ああ本当にアイテムボックスが欲しい。


「マジックバッグがないとダメか……」


 キースが呟くと、薬師が「ちょっと待ってて」と言って奥の部屋に入って行った。

 そして戻って来たと思ったら、彼はキースにバッグを差し出した。


「これ貸してあげるから、また二ーティア草を採ってきてくれない?」

「もしかしてマジックバッグ?」

「そう。だから萎れないように採って来てね」

「わかった! 今度こそ神の雫の材料になるように採って来るから!」


 キースがバッグを持って喜んでいるが、俺はこんなことなら採取する前にここに来て詳しく聞けば良かったと落ち込んでいた。


「ヤマト、元気出せよ」

「そう言っても……ディーに何て言うんだよ」

「あ……」


 ディーは俺たちの泊まっている宿屋に明日の朝来ることになっている。

 俺が落ち込んでいるのは、今日一日が無駄になったことだけじゃなくて、期待しているだろうディーになんて言おうかと考えると気が重くなるからだ。

 そんな俺に救いの声がかけられた。


「なんか事情があるみたいだね。良かったら聞くよ?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ