脱出は恐怖も付いてくる
おひさしぶりです。今日からちびちびと投稿を開始しますのでよろしくです!ブクマ評価が100に到達しました。ありがとうございます。ポイント評価も感謝です!
「ゆー、ちょっとごめんねー」
両手を伸ばして、右にカナ左にリアを私に括り付ける。背中から触手を伸ばして鬼人の少女を背中に括り付ける。
「ゆ、ゆーちゃん?」
「ハッ、オーガ達は!?」
「っん」
カナは驚いた様子で、リアは今頃正気に戻っている。少女は顔を赤らめて声を出した。・・・どうしたんだろ?
「口閉じててねー」
「えっ、ゆーー」
「なにゆっーー」
「はい」
脚に力を込めて弾跳を発動して、空高く飛ぶ。
「ひゃゃぁぁぁぁぁぁ」
「っっーーーーーーー」
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
上空から森を見下ろすと、至る所で冒険者達とオーガ達が戦っているのが分かる。特に二ヶ所は激しく戦っている。一つでは赤い炎が見え爆音が響き、もう一つでは武器が触れ合う音が鳴り響いている。
「落ちてる、おちてるってーーーー」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ひゃゃぁぁぁぁ、楽しいですー!」
地面がだんだんと近づいてくる。私は段階を使い力を溜める。そして地面に触れる瞬間、弾跳を使ってアータルマトンへと向かった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「・・・・・・・・・・・」
「ひゃっほー、ですーー!」
森の入り口付近に降り立つと、私は三人を解放した。
「・・・よかった、私生きてる、生きてるよぉぉぉ。・・・あぁ、地面に触れてるって素晴らしい」
カナは胸元で手を組んで、祈るように何かをつぶやいている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
リアはうん、気を失っている。
「もう一回、もう一回やりましょうよ、ゆー様!」
鬼人の少女はお気に召したようで、私の肩を掴んで揺らしている。後、私の事はゆー様と呼ぶことにしたらしい。偉くなったみたいでなんとなく嬉しい。・・・えっへん、私はゆーであるぞー・・・なんちゃって。
「うん、あとでね」
私はリアを抱っこ(お姫様)をして、アートルマトンへと向かう。
「ほら、カナ達も早く行くよー」
「は、はい!」
「ゆ、ゆーちゃん、ちょっとだけ待って。足に力が入らないんだよー」
カナは立とうとはしてるが足がプルプル震えて立てそうにもない。
「ゆーー、持ってあげてー」
私は少女に目配せをして指示を出す。
「わかりました、ゆー様!」
少女は私と同じように抱っこ(お姫様)をする。うん、いやいいけどさ。初めては私がやりたかったと言うかね、うん。いや、全然いいけどね。
「えっ、いや、や、やめて、恥ずかしいから、やめて」
カナは嫌がって手足をパタパタとする。フードがその反動で外れて、カナの赤い顔が見える。
(グッジョブ、貴女はいい仕事をしました)
カナの恥ずかしがってる顔が見れたことだし、行きますか。
「じゃあ、しゅっぱーつ」
「しゅっぱーつ」
「お願い、お願いだから、コレだけはやめてーーーー」
私達はカナを無視してアータルマトンへと、ギルドへと向かった。