敵地に乗り込む
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「皆さん、聞いてください!アータルの森の奥地にてオーガ達の群が確認されました。その中にはオーガジェネラルの他、鬼人がいることが判明しています。これは由々しき事態です。すぐさまに討伐する事が望まれます。よって、緊急討伐クエストを発注します。Bランク以上の冒険者は直ちに討伐に向かってください。Cランク以下の冒険者は、街の守護に回ってください。もちろん、報酬は弾みます。健闘を祈ります!」
アミさんは、よく通る声で冒険者達に言う。
「・・・・嘘だろ、鬼人って言えば五十年前、国を滅ぼしたって言う」
「ふざけんな!俺達に死ねって言うのかよ!」
「そうだ、そうだ!」
「黙れ、雑魚どもが。話を聞いてなかったのか?Cランク以下は、街の守護に回るだけだろーが」
「そうそう、あんた達は街で待ってるだけじゃない」
「それに、《剣姫》や《爆炎》が討伐に向かってるって話だしね」
「そうだよねー。命を賭けるのが冒険者だっていうのにさー」
今回ばかりは、ギルド内が荒れている。いつも喧嘩などをよく見るが、今回はいつも以上だ。見渡す限り、至る所で言い争ったり、殴り合ってたりしている。
「リア、こっちに来てください」
「はいはい」
アミさんまでリアと呼び出した。いや、いいんだけどさ。
「これ、情報料です」
「えっ、こんなにもいいのか?」
「ええ、それぐらいが妥当だと判断しました。リアのおかげでオーガ達の群が早く見つかりましたから。・・・気をつけてください」
「ああ、わかったよ。じゃあ、行ってくる」
「いってくるー」
ゆーが俺の真似をして、俺に続こうとする。
「ゆーちゃん、ダメだってば。私は、まだDランクなんだから行けないんだってば」
「いーくーのーー!絶対に行ーくーのーーー!」
ゆーは俺に抱きついて離れない。
「いや、そんなこと言われてもな・・・」
俺はアミさんの方を見る。どうにかしてくれと思いながら。アミさんは、俺の意思が通じたのか口を開いた。
「・・・構いませんよ?ゆーちゃんがリアより強いのでしたよね?」
「・・・いや、そうなんだけどさ」
「ただし、カータルナさんをリアが守ってくださいね。もし、カータルナさんがやられた場合ゆーちゃんが敵になりますしね」
「・・・わかったよ。じゃあ、行くかカナ、ゆー」
「ゆーー!」
「・・・お願いします、リア」
俺達はギルドを後にした。
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「ゆーー、コッチ」
私達は森の中をゆーちゃんの直感を信じて進んでいく。ゆーちゃんが進む道は、草や木々が生い茂っていたりして、進む度に小さな切り傷などができそうだ。
「いやさ、ゆー。もうちょっとマシな道はないのか?」
「知らない!けど、コッチであってると思う」
「・・・大丈夫かよ」
「ゆーー、リア私を信じて!」
「・・・おう」
リアは、なにも言えなくなる。ゆーちゃんはリアが納得したのを見ると、木々が険しい所を進んでいく。
「カナ、あまり俺から離れるなよ」
「う、うん」
私は、リアの後に続く。それから、どのくらい歩いただろうか。ゆーちゃんが急に歩くのをやめた。
「どうしたの、ゆーちゃん?」
「どうした?」
「見つけた。・・・ほら、アッチ」
ゆーちゃんが指さす方を見る。私は、距離がまだあるからわからないけど、オーガらしきものが見える。
「おお、凄いなゆー」
「偉いよ、ゆーちゃん」
私はゆーちゃんを撫でる。
「ゆーーーー」
「・・・で、どうするんだ?」
「・・・どうするの、ゆーちゃん?」
「ゆー、まかせて」
ゆーちゃんは、そう言うと両手を伸ばして私とリアを巻いた。
「えっ、これって」
「・・ゆーちゃん?」
「少し口を閉じててね、カナ、リア」
ゆーちゃんは、跳躍をしてオーガ達の中心に飛び込む。
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「んんっーーーーーーーー」
空中にいる間は、体が落ち着かなかったです。ゆーちゃんが着地する時、その振動が私達に来ることはなかったです。
「ゆー、ごめんね、カナ、リア」
ゆーちゃんは、いたずらが成功した子供みたいに笑った。その顔は、憎たらしくも愛おしかった。
「っっーーーーーー」
「はふぅ」
ゆーちゃんから解放された私達は地面に座り込んだ。リアは口をパクパクとさせている。私は生きていたこと喜んだ。
「お、お前達は何者だ!」
ここが敵地の中心という事も忘れて。




