魔物達の宴は儚き夢
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「おいおい、何だよこれ冗談だろ」
俺たちはあれから森の奥に奥に進んでいった。そして、俺たちは数十の魔物達に遭遇してしまった。少なくとも三十はいる。
「おい、お前達は逃げろ!俺が時間を稼ぐ」
俺はカータルナ達に言う。
(ああ、多分俺はここで死ぬよな)
俺は腐ってもBランク冒険者だ。ゴブリンやオークの群れなら勝てる。けど、相手が悪い。オーガ亜種にハイオーガとオーガの群れにはどう足掻いても勝てない。俺が出来ることは、二人を逃す時間を稼ぐだけだ。
「で、でもーー」
「いいから!俺が一発特大のをぶち込むから、その間に逃げろ!」
「っーー、・・・わかりました。ウォルの行動は無駄にはしません」
「ああ、それでいい」
これでいい、これでいいんだ。俺が犠牲になれば、カータルナとゆーが助かるんだから。
「ゆー、大丈夫だよリア、カナ。こいつらなんて、唯の雑魚だから私一人でかたがつくよ」
「なっ、何言ってんだゆー!状況をよく見ろ!」
「そうだよ、ゆーちゃん!いくらゆーちゃんが強くてもこの数は無理だよ!」
「大丈夫だよ?だって、私はこいつらより強いからね」
「ホウ、イッテクレルナ。チイサキオナゴヨ」
「なっ!オーガが喋っただと!」
「ワレハ、オーガデハナイ。ヒメノ、チュウジツナルゲボクノ、オーガジェネラルナリ。イケ、オマエタチヨ!」
「「「「ガァァァァァァァ!」」」」
オーガジェネラルの言葉と共にハイオーガとオーガ達が一斉に襲いかかってきた。
「くっ、死ねるかぁぁぁぁぁ!」
俺がオーガ達に飛びかかろうとしたその時、オーガ達は何かに切られたように崩れていった。
「ねっ?言ったでしょ。私は強いって」
その声は、すごく小さく細かった。けれど、その声は俺達にハッキリと聞こえた。
「う、嘘だろ・・・」
「えっ、ゆーちゃんってここまで強かったの?」
「ミゴトナリ、チイサキオナゴヨ。ワレノ、チカラヲモッテ、オマエヲセイアツシヨウ。オマエヲ、テキトシテミトメル。イザ、ユカン」
「無駄だよ?私の方が強いんだからね」
ゆーは、両手を血で染めている。白いワンピースも赤に染まり、ゆーの顔や髪にも血がついている。そして、ゆーは笑っている。
他の奴がこの状況で笑っていたら、頭がいかれたか殺しでしか快感を得ない殺人鬼だろう。けれど、ゆーだとその姿に見惚れてしまう。その何とも言えない妖艶さに。
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オーガ達が襲いかかってきた時、私は弾跳に段階を使ってオーガ達を屠っていった。両手を剣に変形して、オーガ達を切り刻んでいった。返り血が私に飛んできたけど私は気にしない。
「ミゴトナリ、チイサキオナゴヨ。ワレノ、チカラヲモッテ、オマエヲセイアツシヨウ。オマエヲ、テキトシテミトメル。イザ、ユカン」
私はそれに答えた。
「無駄だよ?私の方が強いんだからね」
「ソンナコトハ、ワカッテイル。ダガ、シンダナカマタチノタメニ、ワレハ、タチムカウ。タトエ、シヌトワカッテイテモダ!」
オーガジェネラルは、私に向かって走ってくる。その速さは、凄まじいものだ。オーガジェネラルが走った後には、地面がえぐられている。だけど、私には関係ない。
「・・・分かったよ。私もあなたを敵と認め、全力を尽くそう!」
私は敵の信念に感服した。私は、笑顔になる。魔物にもこんな奴がいる事に嬉しくなって。私も魔物だけどね。
「カンシャスル。チイサキオナゴヨ、イヤ、チイサナブジンヨ」
「いいよ、私がやりたかっただけだし」
「ヌァァァァ!」
オーガジェネラルは、その勢いのまま私に突進してきた。私以外なら、確実に死んでいたと思うほどだ。
「「ゆー(ちゃん)!」」
「ユゥゥゥゥ!」
私は突進してきたオーガジェネラルに衝撃を放つ。勿論、段階で力を溜めてからだ。
ーーパァァァァァァン!!
私の拳とオーガジェネラルの間に衝撃波が生じる。
「・・・カンシャスル。・・・・・アナタト・・・・・タタ・・カエタ・・・・・コ・ト・・・・・・ニ」
オーガジェネラルは、そう言うとゆっくりと倒れていった。