狼娘の名と二つ名
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「ゆーちゃん!」
黒いフードは、ゆーを追いかけてグルグルと回っている。・・・俺の周りを。
「ゆーちゃん!」
「ゆー」
ゆーは、捕まりそうになると速度を上げる。黒いフードから逃れたゆーは、俺の背中に飛びついてきた。
「うわっ、おい、ゆーやめろ」
「ゆー!」
ゆーは、力をさらに込める。どうやら、離れる気は無いらしい。
「す、すいません。ゆーちゃん、離れなさい!」
「いや!」
「こらっ、ゆーちゃん!す、すいません。いつもはこんな子じゃないんですけど」
「ああ、怒ってないから気にすんな。それより、ここじゃ何だから向こうに移動しないか?」
俺はテーブルの方を指差す。
「っ、す、すいません。気を使わせてしまって」
「気にすんな」
俺と黒いフードとゆーはテーブルの方へと移動する。
俺らは、椅子に座って話し合う。黒いフードは俺の目の前に、ゆーは何故か俺の膝の上に座っている。
「すいません、すいません。本当にすいません」
「いや、いいって。えーとっ・・・名前は?」
「あっ、はい、カータルナと言います。そしてあなたの膝の上に座っているのがゆーと言います」
「了解、カータルナ。俺は、ウォル=オルトリアだ。好きに言ってくれ」
「わかりました、ウォルさん」
「さんは、やめてくれ。気持ちが悪い」
「なら、ウォルでいいですか?」
「ああ、それでいい」
俺は、カータルナに聞いてみた。
「カータルナ、聞きたいことがある」
「はい、何でしょうか?」
「何で、お前はフードを被ってんだ?後、何でゆーみたいな奴をこんなとこに連れてきた?」
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私はウォルの質問に答える。
「それはですね、私の髪の色が珍しいからあまり見られたくないからですね。そして、ゆーちゃんを連れてきたのはゆーちゃんが私の使い魔だからです」
「は?カータルナ、お前今なんて言った?」
「私の髪の色が珍しいって言いましたね。ほら、珍しいでしょ?」
私はフードをあげて、私の黒髪を見せる。
「おお、確かに黒髪は珍しいな。って、ちげーよ!ゆーの事だ」
「ゆーちゃんが私の使い魔って事ですか?」
「そうだ、こんな奴が魔物なわけがないだろうが!」
「落ち着いてください、ウォル。本当ですから。ゆーちゃん、腕を伸ばしてみて」
ーープイッ
ゆーちゃんは、そっぽを向く。
「ゆ、ゆーちゃん、もう私は怒ってないから、ねっ?お願い、後で言う事一つ聞いてあげるから、ねっ、ゆーちゃん?」
「・・ゆー」
ゆーちゃんは渋々腕を伸ばした。後で、しっかりと怒らないといけないようだ。
「・・・・・まじかよ」
ウォルは、驚いている。
「分かってくれましたか、ウォル?」
「ああ、分かった」
「では、失礼しますねウォル。行きますよ、ゆーちゃん」
私は椅子から立ち、ゆーちゃんに声をかける。
「いや!私は、リアと一緒がいい!」
「リア・・・ウォルの事ですか。駄目です、ウォルにも色々用事があるから駄目です。行きますよ、ゆーちゃん」
「いや!リアといたい!」
ゆーちゃんは、ウォルから離れようとしない。
「駄目です!ウォルも迷惑だと思っているはずですよ、ゆーちゃん!」
「・・・・・駄目、リア?」
ゆーちゃんは、上目遣いでウォルに聞く。目を潤ませて。
「えっ、そりゃーー」
「・・・グスッ、だめ、・・・リア?」
ゆーちゃんは、目に大粒の涙を浮かべた。
「そっ、そんな事ないぜ、ゆー。全然大丈夫だぞ!」
「ゆーー!」
ゆーちゃんは、満面の笑みを浮かべた。
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私達は、アータルマトン付近の森の奥地へと向かっている。
「すいません、ウォル。私達のクエストを手伝ってもらう事になってしまって」
「気にすんな、カータルナが悪いわけじゃないからな。それに、俺のクエストもここだったしな」
「すいません、ゆーちゃんが無理を言ったばっかりに」
「いいって、お前が気にすることじゃない」
その原因のゆーちゃんは、少し前をはしゃぎながら森を進んでいってる。
「それにしても、ウォルって有名だったんですね。二つ名があっただなんて私、知りませんでしたよ」
「ああ、あれな。全く、アミさんめ余計なことを」
「いいじゃないですか。カッコイイですよ?《孤女狼》でしたよね?」
「あんまり、言わないでくれ。俺はあまり好きじゃないんだ」
「そうですかね?私は良いと思いますけど。それにBランク冒険者なんですもんね」
「まぁな」
私達が話していると、ゆーちゃんが話しかけてきた。
「カナーーー、リアーーーー、はやくーー!」
「はぁ、あの呼び方どうにかならないかな」
「リアですか?」
「ああ、あんな呼び方をされたのは生まれてから初めてだからな」
「良いと、思いますけどね」
「そうか?」
「ええ、可愛らしいですしね」
「えへへ、そうかな?」
「ええ、良いと思いますよ」
「はーーーやーーーくーーーーー!」
「はいはい(わかってるって)」
私とリアは、ゆーちゃんが待っている場所まで急いで向かった。




