小悪魔の笑顔
すいません、遅れました!ストックが切れたので、更新が遅れるかもしれません。
ブクマ評価ありがとうございます。
「じゃあ少し待っててね、ゆーちゃん」
カナはそう言って、紙が沢山貼られている所に行った。
「ゆー」
私は、キョロキョロと周りを見る。様々な人達がいる。耳が尖っている人や頭に耳を尻付近に尻尾を生やした人、普通の人達がいる。
(エルフ!獣人!ネコ耳、イヌ耳!尻尾!)
私は興奮した。特に獣人に。キョロキョロと周りを見ていると、私の視界に犬っぽい尻尾が見えた。私は、ハーメルンの笛吹きに操られるようにその尻尾についていく。
「じゃあ、コレを頼む」
「はい、かしこまりました。こちらのクエストを受諾しました。お気をつけください」
尻尾が何かを話しているけど気にならない。尻尾が話している間、尻尾がゆらゆらりと動く。
(触っちゃダメかな?・・・・いいよね?うん、いいはず!)
私は意を決して尻尾に触った。
「ああ、わかっーひゃあん」
尻尾をニギニギとしたり優しく撫でたりする。
「えっ、ひゃん、や、やめ、やん」
楽しい。尻尾はふさふさしていて飽きない。
「やっ、やめろーーーーーーーーーーー!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺が怒りながら後ろを振り向くと、今まで俺の尻尾を触っていた犯人を見た。
その犯人は、身長が100メルトあるかどうかだろう。髪は腰位まで伸びていて、一切の枝毛や癖っ毛などがなかった。顔は幼い割に整っている。目は少し垂れ目な感じがその犯人の可愛らしさを際立てている。服はシンプルな白のワンピースだ。
犯人、いや幼女はこちらを見ている。その目は少し見開いている。
「・・・尻尾が喋った」
「尻尾じゃねーよ!俺が喋ったんだよ!」
「ゆー」
「ゆー、じゃねーよ!おい、お前人の尻尾を何で触った!」
「そこに尻尾があったから!」
幼女は言ってやったという感じで、笑顔になる。
(くっ、可愛い。って、そうじゃねーだろーが俺!)
「尻尾があったからじゃねーよ!俺らの尻尾を触ったら駄目なことは、知ってんだろ!」
「ゆー」
幼女は首を横に振る。嘘はついていないようだった。
「知らなかったなら今回だけは、許してやる。けどな今後、俺らの尻尾を触ったら駄目だからな!」
「・・・ゆー」
幼女の目に涙が浮かんでくる。
(えっ、ちょ、ど、どうすればいい俺!)
俺は辺りを見渡す。周りの奴らは、あーあー泣かしたー的な目で見てたり、俺に敵意を向けてくる。おい!何で俺が悪いみたいな感じになってんだよ!それにお前ら!俺と同族だろーが!何で、この鬼畜がっみたいな目で見てんだよ!おかしいだろーが!助けて、アミさん!アミさんは、カウンター越しにオロオロしている。くっ、あてにならない。
「な、泣くな!なっ?」
俺は幼女の頭を撫でた。なんでかって?泣き止みそうな気がしたんだよ!別に、触りたかったからではない、断じて違う。
「・・ゆー」
俺の予想通り、幼女の目に浮かんでた涙が収まっていく。
(よ、よかった)
幼女は、俺の方を見ると目をキラキラとさせた。正直嫌な予感しかしない。
「ゆーー」
幼女は、多分耳を見ているんだと思う。だって、目線が俺の頭付近を見ているから。
「だ、駄目だからな!」
俺は耳を手で隠す。
「・・・ゆー」
幼女は、また泣きそうになる。
「わかった、わかったから。だから、泣くなってば」
おかしい。何で俺が謝ってる感じになっているんだろうか。
「ゆーー!」
幼女は、はち切れんばかりの笑顔になる。くっ、この笑顔は反則だろ。何というか、この幼女の言うことを出来るだけ叶えたいと思ってしまう。周りの奴らも、この笑顔の虜になっている。
「その、強く触るなよ?」
俺は、しゃがんで頭を幼女に向ける。
「ゆー!」
幼女は、俺の耳を触る。
「えっ、ちょ、もう少し、ひゃん」
幼女は、ニギニギと触ってくる。
「やっ、だ、だめ!」
俺は幼女から、頭を離す。
「ゆーー」
幼女は、ジト目で俺を見ている。
「も、もう、駄目だからな!」
「ゆー」
幼女は、残念という感じに答える。
「はぁ、お前一人なのか?」
幼女は首を横に振る。
「じゃあ、お前の保護者は何処にいるんだよ」
「ゆー」
幼女が指を指した先に、黒いフードを深く被った奴がいた。黒いフードがこちらに気づくと、近づいてきた。
「ゆーちゃん!私、じっとしててねって言ったよね?ゆーちゃん!」
どうやら、幼女はゆーと言うらしい。ゆーは俺の後ろに隠れた。
「こらっ、ゆーちゃん!」
どうやら、ゆーはこの黒いフードに逆らえないらしい。俺はそんな事を考えていた。