俺とわたしと私
ブクマ評価ありがとうございます。
何で、カナが泣くの?私は、カナに傷つけた奴らを痛めつけて殺そうとしてるだけなのに。何で?なんで、向こうから襲ってきたのに殺しちゃ駄目なの?なんで、人を殺すことなんかが駄目なの?
なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで、なんでなんでなんで。
なんで、・・・・・いや『俺』は何を言っているのだろうか。人を殺す事は駄目じゃないか。
ーーちがうよ?やらないと、わたしが、かなが、やられる。だから、やる。これ、じょうしき。
確かに、やらないとやられるのは分かる。けど、無闇矢鱈と殺すのは駄目じゃないか!
ーーなんで?あのときは、あなたも、りょうしょうした。だから、あなたは、わたしに、ちかづいた。あなたは、わたしで、わたしは、あなたと、いうように。
それは、分かってる。あの時、行動したのは俺だ。けれど、お前も行動した。だから、あの時体を止めることができなかった。お前が体のコントロールを奪ったからだ。
ーーうばってないよ?あのからだは、わたしのもの。あなたが、わたしの、いしを、しこうを、うばった。だから、いままで、なにも、できなかった。けど、あのときは、うごかせた。あなたが、わたしを、もとめた。かなを、たすけるために。あいつらを、ころす、ために。
確かに、あの時はカータルナが傷ついた事に苛ついた。あいつらを殺したいと思った。けれど、思っただけだ。確実に殺そうとは、思わなかった。
ーーいや、おもっているはず。わたしに、その、かんじょうが、ながれてきたから。だから、ああした。かなに、なかないで、ほしかったから。けど、かなは、ないた。なんで?
カータルナが泣いたのは、俺も分からない。けど多分、俺やお前に人を殺してほしくなかったんじゃないか?
ーーなんで?なんでなの?あいつらは、ああしないと、だめ!
知らない、俺はカータルナじゃないから。そんな事はカータルナに、聞けばいい。
ーーだめ!かなに、きらわれる!かなに、また、なかれたら、わたし、いやだ。わたしは、きらわれたくない!
大丈夫だって・・・多分。
ーーたぶんじゃ、だめ!
大丈夫だって、スライムだった俺に接してくれたんだから。だから、大丈夫だろ。
ーーほんとう?
ああ、大丈夫だ!
ーーそれなら、はやく、かなに、きく!
ああ、早く聞こうなカナに。
ーーうんっ!私はかなに聞く!
じゃあ、戻ろうか。
ーーうんっ!
俺は、わたしは、ゆっくりとひとつの存在になっていく。
「ゆーー」
変な夢だった。私が二人いて、二人で話し合っていた。内容は憶えてないけど、大事な事だったと思う。多分、私が生きていく上で必要な事だったと思う。
「ゆ、ゆーちゃん?」
「ゆー?」
カナの声が聞こえた方を向く。カナは、部屋の入り口に立っている。
「ゆーちゃん!」
カナは私に抱きついた。
「よかった、よかったよーー!」
カナの目から涙が溢れる。
「心配したんだからね、ゆーちゃん」
「ごめんね、カナ」
カナは、それから泣き続けた。