少女の名と幼女
ブクマ評価、ありがとうございます。
少女がギルドの中に入っていく。その時受付の女性が少女の姿に気付いた。
「あなた、あのスライムに勝ったの?」
「いや、あの」
少女が答えようとした時、周りにいる冒険者達が騒ぎ立てる。
「おい、今の聞いたか?」
「ああ、あのスライムを倒したんだってな」
「スゲーな、俺らよりちっちゃい子供が倒したんだって」
「バカ、そんなの関係ないだろう」
「そうよ、何言ってるのよ。あのスライムが倒された事を喜ばなきゃ」
「そうだよ!あのスライムに被害に遭った人達もこれで安心できるよ!」
「けど、あのスライムが貴族の坊っちゃんをボコボコにしたのは良かったよなぁ」
「ああ、確かに。あいつ今生きてるのか?」
「生きてても、男としては無理だろうよ」
「ギャハハ、違いねぇ!」
少女は女性に言う。
「いや、倒してませんけど・・・」
「えっ、じゃあなんで無事なの?」
「無事ってどういうことですか?」
「えっ、ああ。あなたに言う前にあなたギルドを出て行ったもんねぇ」
「だから、どういうことですか?」
「あのスライムはね、自分が倒した相手の物を奪うのよ。男なら最低限の服以外を。女なら道具だけを奪って触手に体を弄られるらしいわ。気を失うまでね」
少女はそれを聞き、不思議に思う。ゆーちゃんがそんな事をする様に思えないからだ。
「で、なんで無事なの?」
「いえ、だからですね。私の使い魔にしたんですよ。私は召喚士ですからね。」
「またまたぁ。あのスライムは使い魔になる様なスライムじゃないってば。ーーあっ、報酬を渡さないと」
女性は、クエストの処理をする。
「本当ですってば。証拠みせますよ、そこまで言うなら。ほら、起きてゆーちゃん」
少女は自分のフードを揺らす。すると中からスライムが出てくる。ゆっくりと、受付のカウンターの上に。
「ゆーー(なんですかー)」
「なんですか、ゆーってまるであのスライムみたいに。えっ、あなたまだEランクな・・・」
受付の女性は、クエスト達成の処理を終え、顔を上げるとそこにスライムがいた。
「えっ、ここれって。あのスライムじゃ・・・」
「だから、さっきから・・」
スライムのゆーは、触手を伸ばしている。
「ゆー。(こんにちふぁー)」
眠いのか触手がウニョウニョと動く。それを見ていた冒険者達は、一気にゆーに襲いかかってきた。
「なんで、テメーがココにいるんだよーー!」
「しねーーー!」
「我が望むは敵を討つ風の弾なり。風バレ・・」
「友達の仇ーーー!」
ある者は剣や槍などで。ある者は魔法を駆使してゆーに襲いかかる。けれど、ゆーに近づく前に冒険者達は膝をつく。
「ゆーーー(威圧発動)」
冒険者の大部分は、ゆーの威圧に耐えることができない。けれど、耐えることができた者はゆーに襲いかかる。
「えっ、ちょっとゆーちゃん、何してるんですか!それになんで皆、ゆーちゃんに襲いかかるんですか!」
しかし、少女の声は喧騒にかき消される。
「ゆー。ゆーー!(触手を一本増やしてと。衝撃)」
ゆーは、触手を増やし立ち向かった三人の冒険者に衝撃を放ち吹き飛ばす。
「ゆーちゃん!」
怒気を孕んだ声で少女はゆーに話す。ゆーは、その声に振り返った事を後悔した。少女が怒っていたからだ。少女の背後には気の様なものが見える。まるで、スタ○ドみたいだ。
「無闇に人を傷つけないでください!」
「ゆーー(いやだって、向こうから・・・)」
「わ・か・り・ま・し・た・ね!」
「ゆー!(マム、イエスマム!)」
ゆーは、触手を一本なおして敬礼のポーズをとる。
「皆さんもわかりましたね!このスライムのゆーちゃんは私の使い魔ですからね!」
冒険者達は、こくこくと首を縦に振る。あの恐れてたスライムが従ったのだ。従わなければどうなるか分かったものじゃない。
「受付嬢さん。どうかしたんですか?」
女性は、自分に声をかけられてハッとする。
「い、いえ。なんでもありません。ただ、カータルナさんのランクに少し驚いただけです。少し、お待ちください。報酬を用意しますので」
女性は、知らず知らずのうちに敬語を使い仕事をこなす。
「はい、分かりました。ゆーちゃん、少し待ってくださ・・・ゆーちゃん?」
ゆーちゃんの様子がおかしい。体がプルプルと小刻みに震えている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カータルナが怒ったのには驚いた。もう、怒らせない様にしよう。そう、心に誓ってカータルナと受付嬢のやりとりを見ていた時あの声が聞こえてきた。
【冒険者達を倒しました。経験値を獲得します。経験値を獲得しました。レベルが上がりました。レベルが上限に達しました。レベルが上限に達したので進化します。ある特殊な条件を満たしているので進化を開始します。種族が変わるので体を作り変えます】
体が熱くなっていく。前の進化の時はこれだけだったが、今回は体が焼けるように熱くなる。それに、自分の意に反して体が小刻みに震える。
「ゆー、ゆーー(熱い熱い熱い熱い熱い熱い)」
「ゆーちゃん?」
「ゆーー(アツーーーイ!)」
体から眩い光が発せられた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
眩い光が発せられて、私は目を瞑った。
「ーーっ」
光が発せられた場所を見ると、一人の幼女が床に座っていた。・・・・・・全裸で。
その幼女の髪は一切の枝毛がなくて、髪は絹のようだ。髪は腰位まで伸びていて、色は綺麗な空色だ。顔は幼女にしては、整っている。目は大きくてクリクリとしていて、少し垂れ目の様な気がする。身長は100メルトあるかどうかだろうと思う。
幼女は私を見ると笑った。その笑顔は、なんとも言えないものがあった。魅力とでも言おうか、その笑顔に引き寄せられるのである。同性の私でこれなのだから、異性には凄まじいことだろう。
そんなことを思っていると、その幼女が鳴いた。
「ゆー」
その声を聞いて、周りの場の時間が停まった。かろうじて、気を取り直した私は幼女に聞く。
「ゆーちゃん?」
「ゆー」
幼女いや、ゆーちゃんは私の声に反応して声を出した。