序章3:王都へ行こう
3.王都へ行こう。
私と彼女が出会って数十分。
彼女の仲間と思わしき数名の男達が集まった。
そこから、私の現状についての説明が始まった。
この世界は 《アルヴァン》と言い、
神樹信仰が盛んな、緑多く、空気の澄んだ世界だ。
反面、工業や医学、建築等の技術レベルは、
中世ヨーロッパぐらいであり、私が居た世界と
比べると、かなりの差がある。
しかも、魔法が存在すると言う。
なんでも、世界の中心にある神樹 《フォレルタ》
から魔法を起こす力 《マナ》が産まれている
らしい。
又、神樹の四方には8つの大陸があり、
それぞれに国があり、別々に統治されているとのことだ。
次に今、私がいるこの国は《ニーベルング王国》
と言う。神樹より北西部の大陸に位置している。
今いるのが、この大陸最南端にあると言う
《クイント平原》と言う場所らしく、
彼女達が来た王都へは、馬車を使っても数日は
かかるらしい。
私がここにいた理由としては彼女のそばにいる
ローブの男、名前をミデアと言うらしいが、
こいつのせいとのこと。
そして、ミデアが召喚した召喚者、この場合、私を王都へ連れて行き保護する命令を国王から受けて、ここまで来たらしい。
以上の情報を彼女 《ネムリア・フォーレスト》から
聞いたのだが、はっきり言って廚二乙と
言いたくなるような状態だった。
それを、口にすれば彼女達の心証が悪いうえに
このわけわからずの世界に一人ほっぽり出される
ことになる。
それだけは、避けるべく、口には出さず
「そうか、ありがとう」
とだけ伝えることにした。
「いや、礼は不要だよ。元々は、この愚兄のせいだしね。」
そう言うとネムリアはミデアの頭を抑え、謝罪でもさせるように何度も下げさせた。
ミデアも、悪いと思っているのか、されるがままになっているが、時々「痛て」や細かな怨み言が聴こえることから、深くは反省していないことが分かる。後で覚えとけ。
そんなことがあり、ネムリア達と共に馬車へ移動したのだが、そこには、私が知っている馬はいなかった。
外見的には馬のようなのだが、脛から蹄にかけ、炎を纏い鬣と2本の角を持つ姿をしていた。その姿は、《霊獣:炎駒》に酷似していた。
ネムリアにこれは何だと問えば
「この子はクエンっていう種類の魔物だよ」
と言う解がかえってきた。やはりいるのか魔物。そうなると、いよいよ、一人では対応できないな。
ネムリアの説明によると気性はおとなしく、馬力も普通の馬に比べても数段上で、長距離の移動や物資の運搬に使用されると言う。
普通の馬もいるらしいが、話を聞く限り、ポニーぐらいのサイズらしい。
「それじゃ、行こうか」とネムリア達は馬車に乗り込み、それに続くように私も乗り込んだ。
騎手の騎士を除き、他の騎士達はもう一台の馬車に乗ったようで、こちらの馬車は、ネムリアとミデア、そして私しか乗っていなかった。
そんなこんなで、二冬は何とか王都に向かうことになりました。ネムリアやミデアとの関係はどうなることやらです。近いうちに次話を上げますので、よろしければ、次話も読んでくださるとうれしいです。