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記憶の殺し屋  作者: 吉田兵
7/20

学校

月曜日。

今日は綾のところに行く日である。

俺はいつものように学校へと向かっていた。

違うのは隣に白神がいることだ。


「もう少し離れて歩けよ」


そう言うと白神はもっと近づいてきた。


「一緒の方向に向かっているんだからいいじゃない。」


何もわかってないな。

このまま白神と登校してしまったらカップルだと思われてしまう。

それだけじゃないそんな噂が広まったら男子生徒の反感を買ってしまう。

なんとかして学校に着く時間をずらさなくては!


「あ、そうだ! 俺、今日昼飯持ってきてないからコンビニで買ってから行くよ。だから先行っといてくれ。」


いつもは学校の購買で買ってんだけどな。


「その必要はないわよ。才覚君の分の弁当作ってきたから!」


そう言うと白神は鞄から黄色の布で覆われた弁当箱を出し俺に渡してきた。


「今日から毎日作ってあげるからね」


なんだこの漫画みたいな展開は。

確かに弁当はありがたいが別々で登校する手段を失ってしまった。

こうなりゃ強行突破だ!


「弁当は後でもらうからしまっとけ。じゃあ俺は先に行くな!」


俺はそう言いダッシュした。

家から学校は割と近い。

というか近いからこの学校にした。

歩いて15分程度。

自転車で行けばもっと早く着くだろって?

…その通りだ!

ただ自転車を買う金がない。

説明するやつがいるわけでもないのに一人で説明してるうちに学校に着いた。


「はぁはぁ、さすがに疲れたな。だがもう大丈夫だ。」


俺は靴から下履きに履き替え教室に向かった。

教室に入り、席に着き、授業の準備をし、机に伏せ寝たふりをした。

こうすれば誰にも話しかけられないから楽である。

そう思っていたが話しかけるやつが一人だけいた。


「ちょっと才覚君! 先に行くなんてひどいじゃない!」


白神だ。しかも一緒に登校する約束してたみたいな言い方したもんだからクラスがざわついた。

この前といいどんだけざわつくんだよ。

俺は無視して寝たふりをした。


「このまま無視するんなら今日の夜ご飯抜きにするわよ。」


さすがに反応するしかないと思い俺はガバッと起きた。


「それだけは勘弁してください。」


とりあえず晩飯抜きはきついので謝っておいた。


「よろしい。で、何で先行ったのよ?」


「えっと〜それは、その…」


なんて答えたらいいんだ。

素直にクラスの奴らにバレるのが嫌だと言えばいいのか?

でもそれだと「気にすることないじゃない」とかなんとか言って結局毎朝一緒に登校しなくてはいけなくなってしまう。

どうしたらいいんだ! と思っているとチャイムがなりみんなが席に着き始めた。

俺はラッキーと思い白神を席に座るよう促した。


「ほら、チャイム鳴ったから席につけ。この話は後でだ。」


白神はふてくされたように席に向かった。


「ふぅ。助かった」


俺は小さく呟き眼鏡をはめ授業の準備をした。

知らないだろうが俺は授業中眼鏡をはめている。

もちろんちゃんと度も入っている。

授業中ちょいちょい白神が俺の方を向き睨んでくる。

白神の席は俺の席の隣の列の前から2番目である。

1限目から4限目までで10回はこっちを見た。

そして昼休みになり白神が弁当を持ってこっちに来た。


「はい。弁当! 残さず食べてね。」


もういちいち白神との関係を隠すのがめんどくさいというか、さっきの休み時間に白神がクラスの奴らにペラペラと喋っていたので(もちろん仕事などについては喋らないように言っておいてある)普通に弁当を受け取り食べた。

美味かった。

午後からの授業はほとんど寝ていて記憶がない。

放課後になり、俺は教室を出る前に白神のところに行った。


「校門のところで待ってるから早く来いよ。」


白神は頷き、友達のところへ行った。

さすがに覚えていたようだ。

校門に着き、ちょうど学校名の書かれた表札のところにもたれかかった。


「はぁ、これから毎日これが続くのか。」


大きなため息をつき白神を待った。

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