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記憶の殺し屋  作者: 吉田兵
6/20

早起

今日は日曜日。

そう、仕事が休みである!

なのになぜ俺は朝飯をみんなで食べている?いつもなら昼まで寝ているはずだ。時計を見ると今は8時を回ったところだ。俺はこの状況をつくったやつに文句を言ってやった。


「おい白神! 今日は日曜だぞ! なんでこんな早くに起こしたんだ!」


そう、昨日からこの家に住みついた白神に叩き起こされたのである。


「見てみろ、志帆なんかこんな早く起きることなんてほとんどないから寝ながら飯食ってるじゃねぇか。」

「ムニャモグ、ムニャモグ。」


おまけに変な効果音までついてる。


「朝早く起きるのはいいことじゃない。早起きは三文の徳っていうでしょ?」


白神はトーストにマーガリンを塗りながら言った。


(何が三文の徳だ。早く起こされた時点で一文損してんだよ。)


なんてことを考えながらトーストにかじりついた。

朝飯を食べ終わりもう一度眠りにつこうとしたが、昨日志帆のハンバーグ攻撃に負け事件のことについてまとめてないのを思い出しやることにした。

俺一人では大してわからないので寝ている志帆を起こすことにした。


「志帆起きろ! 昨日の事件についてまとめるから手伝ってくれ。」


そういうと志帆の鼻にあった鼻ちょうちんが割れ目を覚ました。


「わかった。」


場所が変わり俺の部屋。

資料やらでぐちゃぐちゃに散らかっている。


「志帆、昨日の犯人があの男に会っていると言ったがどこで会っていて何を話してる?」

「よくわからない。暗い路地裏みたいなところで話してる。何を話しているのかもわからない。」


そう、志帆の能力には欠点がある。それは、触れたものの記憶を見ることができるが、それは記憶が何枚もの写真のようになったのを見れるだけで音声などは聞こえない。


「そうか、まぁあの男に会っているとわかっただけ収穫ありだ。しょうがないからあとはあの女に任せるか。」

速攻でまとめが終わった。

俺はもう一度寝る準備をした。


「あの女って誰よ? もしかしてまた能力者?」


まさにベッドに入る瞬間であった。


「お前いつからそこにいた?」


俺は半分キレていた。


「何言ってんのよ、最初からいたじゃない。ね、志帆ちゃん! って志帆ちゃんが消えた!」

(くそっ!あいつ俺に白神を押し付け寝に行ったな)

「あの男については俺らの問題だ。

これ以上首を突っ込むのならお前の記憶を消すぞ!」


もちろんハッタリだ。むやみやたらに人の記憶を消すと後々面倒だからな。


「いいわよ。やってみなさいよ。その代わり私があなたに払わなければいけない10万はなくなるわよ?」


…それは困る。白神を脅すつもりがこっちが脅されてしまった。


「わかったよ! 教えてやるよ。あの女の名前は綾っていうんだがお前の言うとおり能力者だ。たまに手伝ってもらってんだよ。」

「ふーん。でどんな能力なの?」

「人の記憶を映像にすることができるんだよ。」

「そんないい能力を持っているなら最初からその人に頼めばいいじゃない。志帆ちゃんを危ない目に合わせなくてすむんだから。」


確かにそれができるのならとっくにしている。

それをしないのはできない理由がいくつかあるからだ。


「綾の能力を使い記憶を映像にするには時間がかかるんだ。例えば10分の記憶を映像にしようとすると10分間映像にしたい記憶の持ち主の頭に手を置いていなきゃならない。長ければ長いほど映像にするには時間がかかる。その点志帆は3秒くらいで記憶が見れる。犯人を見つけるだけなら志帆の方が何倍を使える。」


白神はなるほどという顔をしていた。


「場面によって使える能力と使えない能力があるのね。その点才覚君の能力はどこでも使えるわね。」


なんかバカにしたような言い方だな。と思っていると白神が話を続けた。


「何で綾さんは志帆ちゃんみたいにここに住まないの?」

「よくぞ聞いてくれた。その質問の答えこそが綾を連れて行けない一番理由だ!」


白神はゴクリとつばを飲み込み答えを待っていた。

俺はその様子を見て質問に答えた。


「綾は引きこもりなんだ!」




俺の部屋は30秒くらいシーンとなった。

白神はぽかんと口を開けた。


「へっ?」


そうなるのは確かにわかる。

なんせ最大の理由が引きこもりだからな。


「だから引きこもりなんだよ。記憶を奪われてから2年間ずっとな。事務所で引きこもればまだいいのに、自分の部屋から出ようとしないんだよ。」


白神は開けた口を閉じまた開けた。


「確かに記憶が全部なくなったら外になんて出れないわよね。普通に生活したり、犯人を突き止めようとする方がおかしいわよね。」


堂々とバカにされた。


「まあいい明日学校が終わったら綾のとこ行くから覚えとけよ!」


白神の閉じた口がまた開いた。


「なんだよ。何驚いてやがる。」


理由はなんとなくわかったが聞いてみた。


「いつもなら才覚君、私が行くの嫌がるのに誘ってきたから。」


思った通りだった。


「断っても無理やりついてくるだろ?行く行かないのやりとりがめんどいから誘ったんだよ。ほらわかったら俺の部屋からでてけ。」


俺はドアを開け白神を追い出した。


「わかったから押さないで!」


そう言った白神の顔は少し笑っていた。

俺はベッドに入りもう朝の10時過ぎだが寝た。

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