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記憶の殺し屋  作者: 吉田兵
20/20

追跡

変な二つ名を付けてから早二日。

俺たちはあの男と会った廃工場に来ていた。


「志保どうだ? あいつの通った記憶見れそうか?」


「ん、ちょっと待って。」


そう言い志保は地面に手を置いた。

俺らの能力は基本的に人以外にも使える。

だから志保は廃工場の記憶を見てあの男がどっちに行ったのかを見る事ができる。

だが逆にあの男が廃工場の記憶を操作してしまえば消すこともできるし嘘を植え付けることもできる。


「分かったよ。あっちに行ってるみたい。」


とりあえず消してはないようだ。

あとはこれが本当の記憶かどうかだな。

こればかりはどうしよもないな。


「よし、じゃあ行ってみるか。」


この道の記憶があの男の罠かもしれないがこれに頼るしかないのでとりあえず志保についていくことにした。

志保についていって歩くこと30分。


「何ここ?」


前回同様バットを持った綾が聞いてきた。


「何って、病院だな。」


普段は医者を偽ってるということか。

「そうね、名付けるなら記憶の治療者とかね。」


白神はすぐに名前をつけた。


「能力的には記憶の改造者だけどな。」


「確かにそうね、ただお医者さんだし私のでいきましょ。」


そうだな。


「さて、どうしようか。さすがに休日の昼間に乗り込むわけにはいかないし、出直すか。」


と言い終わった頃には3人で病院の自動ドアを通っていた。


「すいません。診察のお願いをして欲しいんですけど。」


バットを持った女性が言う言葉ではないぞ綾。

お前はもっと大きい病院で一回頭を見てもらってこい。


「申し訳ありませんお客様。」


受付らしき女性の人が出てきた。


「本日は予約のお客様のみとなっておりまして…。」


丁重にお断りされた。

ちなみにバットにツッコミはなかった。


「どうします才覚さん。こいつ殺っちゃいますか?」


「殺っちゃいますか?」


綾がチンピラ風に聞いてきたのだが無視した。

あと志保そんな汚い言葉真似してはいけません。


「こちらこそすいません。また後日予約とってきます。」


そう言い残し俺たちは帰ろうとした。

だが止められた。


「何を言ってるんですか。ちゃんと予約は取れてますよ才覚さん。」


俺たち4人は一斉に声の方に振り向いた。

あの男の声だと分かっていたから。


「そうですか先生。それは良かったです。じゃあ今すぐ診察してもらってもいいですかね。」


俺は怒りを隠すことはできず、かなりキレ気味だった。


「まあまあ、そう焦らず。さあこちらへ。あ、あと患者さんはこの人たちで最後だから君達は帰っていいよ。」


俺たちの話を聞かれないようにと従業員達を全員返した。

そして全員帰るのを見計らい俺たちは診察室へと通された。


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