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記憶の殺し屋  作者: 吉田兵
2/20

発端

朝、目覚めると俺は学校の支度をし学校へと向かった。


(そういえば今日は依頼があったな…)


なんて考えながら学校につくとすぐさま席についた。

俺の席は一番後ろの窓際である。

この席はいい! なんせ誰ともかかわらず過ごせるからな。

すると白神が教室に入ってきた。

しかもこっちを見てる。


(…こっち来るんじゃねぇぞ)


と思っていたら来てしまった。

しかも元気に朝の挨拶なんてしてきやがった。


「おはよう! 才覚君!」


学校一の美少女が学校一の地味男に話しかけてきたもんだからクラス中の視線がこっちに…。


(やりやがったな。俺の高校生活が台無しじゃねぇか。)


「おはよ」


俺はとりあえず挨拶をし小さく会釈した。

そして小声で白神に言った。


「あとで屋上に来い。」


そう言うと白神は赤面しながら頷いた。


(なんだあの顔。告白でもされると思ってんのか?)


なんて思っていたら先生が入ってきて授業が始まった。

いつも通りの授業風景。

ただ違うのはクラスメイトのヒソヒソ話。


(さっき白神さんと話してたよな。)

(てかあんな人クラスにいたんだ。)


いつもは気にもしないのに白神が関わるとこれだよ。

なんならクラスのやつ全員の記憶を消してやりたいぐらいだがめんどくさいからやめておこう。

授業が終わり屋上へと向かう。

途中何人かにつけられていたがそんなの知ったこっちゃない。

屋上で白神を待つ。

十分たっても来ない。

諦めて帰ろうとした瞬間白神は来た。


「ごめん! 待った?」


遅い! と言いたかったが

「いや、別に」と言った。


「才覚君の事友達にいろいろ聞かれちゃった。」


聞かれちゃったじゃねぇよ。

お前が余計なことしたからだろ。


「それでなんていったんだ?」


この答えによって俺の高校生活が決まる。


「え? 友達って言ったけど?」


終わった。

俺の地味でぼっちな高校生活が!

白神と友達だなんて広まったら…いや想像するのはやめよう。

この際だからはっきり言っておこう。


「いいか! 俺がお前と話すのは依頼があったからだ。依頼が終わればただのクラスメイト! だから話しかけてくんな!」


俺の高校生活を守るため言ってやった。

するとちょっと間があき。


「それは無理! せっかくの高校生活だよ? 誰とも関わらず過ごすなんて楽しくないよ。だから私は才覚君に話しかける。友達だもん。」


さすが優等生。俺が先生だったら褒めていただろうな。

もうすぐで授業が始まりそうだったので再度忠告をし、教室に戻った。

白神は少し怒っていた。

午後の授業はヒソヒソ話に加え、白神の睨みつける攻撃があったが、何事もなく終わった。


「さてここからが本番か。」


決して難しい依頼ではないが依頼人がめんどくさいやつなので気合を入れた。

校門の前で見慣れた奴が待っている。


(いつも通り帰れって言ったはずだよな?)


そう。

校門で待っていたのは白神だった。

白神は俺を見つけるなり手を振りこっちに走ってきた。


「才覚く~ん」


やめろ。

そんな笑顔で走ってきたらまたざわつくじゃねぇか。

新しいいじめの方法か?


「いつも通り帰れって言ったよな?」

「うん! でもその前にもう一回頼んどこうと思って!」


(余計なことばっかするんだな)

俺の心の声である。


「じゃあ才覚君。よろしくお願いします!」

「わかったから早く行け!」


白神はしぶしぶ帰って行った。

その後を追う俺。


(これじゃあ俺がストーカーじゃねぇか)


壁の影に隠れていたら逆の壁にも男の人が。


(あいつが本物のストーカーか)


意外にもストーカーをするようには見えない男だった。

ゆっくりとその男性に近づこうとした瞬間目があってしまった。


(しまった!)


男は俺を見るなり走りだした。

しかも白神の方に。


「逃げろ白神!」


そう言った瞬間男は宙を舞った。

白神の見事な背負い投げで。


「嘘だろ?」


思わず声に出してしまった。

男は地面に倒れ、白神はこっちに向かってVサインをしていた。


「こんなことができるのになんでうちに来た?」



「暴力的な解決は良くないでしょ?」


記憶を奪う方が良くねぇだろ。


「まぁいいとっとと記憶を消して帰るぞ」


俺は男の頭に手を当てた。


「なんなんだお前は!?」


男はやけにびびっている。


「俺は殺し屋。記憶のな。お前の頭にある白神の記憶その他もろもろを消させてもらう。」

「やめてくれ。お前には関係ないことだろ!」

「関係ない? 大有りだ。俺は記憶の殺し屋で今回のターゲットはお前だ。残念だったな。」


そう言い残し記憶を消した。

それにしても久しぶりにかっこよく決まった。

これで白神ともおさらばだ。


「じゃあ依頼は終わったから」


手を白神にだした。


「何? 握手?」

「ちげぇよ。金だよ! 今回の依頼十万な。」

「えー、お金はもうちょっと待ってもらえるかな?」

「だめだ! 今すぐ払え。こっちだって生活があるんだ。」

「わかった」


白神は手をポンと叩いた。


「私、才覚君の助手やるよ。さっきも見てたとおり柔道やってたし役に立つよ?」


「ふざけるな。お前なんかに助手をやられたら俺の高校生活が終わっちまう。」

勘弁してくれこれ以上白神に関わったら…


「じゃあタダでいい? 嫌でしょ? だから私が助手で決まりね!」


考える暇もなく勝手に決まってしまった。

さすがにタダでは嫌なので認めるしかない。


「わかった。お前を俺の助手にする。そのかわり俺の言うことはちゃんと聞け。それが無理ならすぐに十万払ってもらう。」

「任せてください!才覚さん!」


白神は敬礼しながら言った。

今日の出来事が俺の高校生活をガラリと変えるきっかけだった。

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