「受け入れられない死」
【真エンディング条件】
“神代レンの死を受け入れよ”
その文字を見た瞬間。
白銀ユイ
の顔から、
血の気が消えた。
「……やだ」
小さな声。
だが。
その一言だけで、
世界が揺れた。
空のログが乱れる。
白いノイズ。
図書館のページが、
バラバラと暴れ始める。
アキが顔をしかめた。
白紙アキ
「ユイ!」
だが。
ユイは止まらない。
涙を流しながら、
文字を睨み続ける。
「また……?」
「またレンが消えるの……?」
レンが声をかける。
神代レン
「ユイ」
彼女は首を振る。
「嫌だ……!」
「そんな終わり、
認めない……!!」
その瞬間。
彼女の瞳が、
完全な金色へ変わった。
【白銀ユイ:覚醒率 51%】
世界が震える。
図書館のページから、
無数の光が漏れ出す。
終幕執行者たちが、
一斉にユイを見た。
【危険因子確認】
“物語拒絶者”
クロウが舌打ちする。
クロウ
「最悪のタイミングで覚醒しやがった……!」
レンはユイへ近づく。
「落ち着け!」
だが。
ユイの周囲へ、
大量のログが溢れ始める。
『終わらないで』
『消えないで』
『続きを――』
その言葉は。
ユイだけの感情じゃなかった。
レンは気づく。
これは。
“読者の願い”。
物語が終わってほしくないという、
無数の感情。
それが、
ユイへ流れ込んでいる。
アキが低く呟く。
「まずい……」
「ユイが“読者側”に近づいてる」
レンが振り返る。
「どういう意味だ」
アキは、
苦しそうに答えた。
「読者って、
物語を終わらせることも、
終わらせないこともできる存在なんだよ」
「ユイは今、
その境界に触れてる」
静寂。
ユイが涙を流しながら、
空を見上げる。
そして。
初めて。
図書館へ向かって叫んだ。
「私は認めない!!」
瞬間。
空の巨大な本が、
止まった。
ページが動かない。
終幕執行者たちも、
静止する。
世界全体が、
ユイの言葉を聞いていた。
アキが目を見開く。
「……嘘だろ」
クロウも息を呑む。
レンは、
ユイを見つめる。
彼女の背後に。
巨大な白いログが、
現れ始めていた。
【白銀ユイ】
新規権限確認:
“読者干渉”
アキが震える声で言う。
「ありえない……」
「キャラクターが、
読者側の権限を持つなんて……」
ユイは、
涙を拭わないまま言った。
「レンが死ぬなら」
「そんなエンディング、
いらない」
その言葉に。
図書館が、
激しく軋んだ。
バキィィィィッ!!
ページが破れる。
世界が揺れる。
終幕執行者たちが、
黒いインクを撒き散らしながら崩れていく。
【真エンディング条件への拒絶を確認】
【ルート分岐発生】
レンの視界に、
新しいログが浮かんだ。
【隠し最終ルート 解放】
“読者のいない結末へ”
静寂。
レンがその文字を見る。
読者のいない結末。
それは。
誰にも読まれない終わり。
つまり。
物語ですらなくなるということ。
アキが、
ゆっくり呟いた。
「……そこに行くのか」
珍しく。
彼は、
少しだけ怖そうだった。




