表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見殺しにされた私が助けるわけがないでしょう?  作者: 青空一夏
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/40

34 断罪

「私はリリアーナに、自分の行いをよく反省して欲しいと思います。ですから極刑は望みませんわ」

 私は王様に向き直り、静かに告げた。

 リリアーナはあからさまに安堵の声を漏らす。


「まぁ、セシリアにこんな酷いことをしようとしたのよ? 見てごらんなさい、この子の顔を……。本来ならセシリアがこうなっていたかもしれないのよ? これは極刑しかありえませんわ」

 王妃様とエルファ公爵夫人は、目を瞬かせた。


「私は、リリアーナの死は望んでおりません。反省してくれればそれでよいのです。ですから、王宮の中庭がよく見えるような位置に、罪人を収容する塔を作ってください。リリアーナはそこで生涯を過ごすのですわ」


「え! 嫌よ……絶対嫌! 冗談じゃないわっ!」

 リリアーナが声を上げた。


「毒を飲むか、それとも塔か。選択肢はふたつしかない!」

  王様はリリアーナを冷ややかに見下ろす。


「ど、毒は嫌です! 死にたくないです……」

 リリアーナは絞り出すような声で訴えた。


「では、塔で一生を過ごしなさい。自分が何をしたのか、決して忘れないように。壁はすべて……鏡張りにしますわ」

 私は静かに微笑みながら告げた。


「なるほど……リリアーナには、とてもいい罰かもしれない」

  王太子様は当然というように頷いた。


「まぁ……それは辛いでしょうね。いつも自分の姿を見なければいけないわ。けれど自業自得ですわね」

 王妃様は優雅に微笑んだ。


「確かに王宮の中庭を見れば、セシリアと王太子様が仲睦まじく散歩している様子や、ガゼボでお茶を頂いている姿が、どうしても目に入るわね。特にセシリアは庭園の一角に薬草園がありますものね。毎日そこで薬草の世話もしているわけですから……」

 エルファ公爵夫人の呟きに、エルファ公爵は満足げに頷いた。

「ふむ、姉の幸せを常に見続けなければならない妹か……悪くない罰だ。さすが、私たちの娘――セシリアは賢いな」


 リリアーナは皆の声を聞いて、やっと理解した。

「そんなの……生き地獄じゃない! 嫌です、いやぁあー」


「では、塔ができるまでの間、リリアーナは地下牢で生活せよ!」

 王様の裁可がくだった。


 リリアーナは金切り声をあげ、私に縋ろうとした。

「お願いよぉー、お姉様。私、反省しました……二度とお姉様に近づきませんっ! だからお願いです。助けてぇ……」


「リリアーナ……無理よ」

 私は首を横に振った。前の人生でどれほど悔しかったか……毒を飲んだ体の痛みが蘇る。今生でも私を害そうとした。到底許すことはできないのよ。

(自分の犯した罪に向き合いなさい……そして、一生後悔すればいい)


 リリアーナは引きずられるように地下牢へと連れて行かれた。最後まで私の名前を呼びながら。


「セシリア、正しい決断だよ。リリアーナは懲りない性格だ。愚かだし先のことも考えられない。もし、これで許してしまったら、必ず同じことをするはずさ」

  王太子様は表情を変えず、淡々と言い切った。

 

 王様も重々しく頷く。

「うむ。そうであろうな。リリアーナのような人間は、多分一生変わらない」

   

 リリアーナが連行され、一瞬の静寂が落ちた後。

 ルシアン様が恐る恐る王様に願い出た。

「それでは、私はこれにて失礼させて頂いてよろしいでしょうか? この事件については一切関わっていませんので……」


「ちょっと待て。妻を置いて逃げるのか?」

  王太子様は不快そうに問いかけた。


「逃げるなど滅相もないです。私は実家に戻り、早々に離縁を――」

  ルシアン様はそわそわと落ち着かない様子で、この場を離れようとする。


 私は穏やかな声で引き止めた。

「まぁ、それはいけませんわ。あれほどリリアーナを大事になさっていたのに、こんなことで見捨てるのですか? リリアーナの面倒を一生見てください。塔の中に食事を運ぶなど、いろいろお世話することがあるでしょう?」


「それはいい考えだ。ルシアンはセシリアよりも、ずっとリリアーナを守ってきたのだ。ならばこれからも、責任をもって守り続ければいい」 

 王太子様は愉快そうに笑った。


「えっ……嫌です! あんな化け物……あっ、失礼……見るに耐えない姿になり、恐ろしくて、とても近くにいられません。無理だ、無理だ……絶対に無理です。酷すぎる……セシリア、お願いだから助けてくれ! 君から王様に、私だけは助けてくれるように言ってくれよ」


「……無理ですわ。だって、助けて差し上げる理由がありませんもの」


「しかし私たちは婚約者だった。以前は愛し合った仲じゃないか?」


「えっ? ルシアン様とは形だけの婚約者でした。愛されていた覚えはありませんし、大切にされた記憶もございません」


「そんな……酷い……」

 ルシアン様は膝から崩れ落ちた。


(ひどいのはどっちよ……なぜ私に助けてもらえると思うの? リリアーナもルシアン様も、自分がしてきたことを忘れすぎている……)


「ルシアン! 私をこれ以上がっかりさせないでくれ」

 王太子様は苛立ちを隠せない声で呟いた。

「このような者が、一時でも王太子付きの近衛騎士だったなんて……恐ろしいこと」

  王妃様は静かに眉をひそめた。


 ◆◇


 そして、その数日後。

 今度は私の両親が王宮に呼び出された。王様がリリアーナの起こした事件を告げ、 両親の関与をほのめかすと――


お読みくださりありがとうございます!

面白かったと思っていただけたら、評価のほうをしていただけると

更新の励みになります(*^。^*)

よろしくお願いしますー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ