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見殺しにされた私が助けるわけがないでしょう?  作者: 青空一夏
本編

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28/40

28 おかしい/ルシアン視点

 ルシアン視点


 私は今、第四騎士団に所属している。

 以前は王太子を守る近衛騎士だった。それが、とてつもない降格だ。

 仕事はつまらない。味覚も戻らない。

 それでも、腐らず仕事には出ていた。

  雑用ばかりの部署だ。周りは使えない連中ばかり。

(私はエリートだったんだぞ。ここに最初からいる連中とは違う)


 しかし最近、やけに仕事が忙しい。

「今日中にしておけ」と渡された書類が、机に山高く積み上げられている。

 王宮倉庫の在庫確認も、本来は二人一組で行う仕事だ。それなのに、誰も私と組みたがらない。


「やれやれ。“常識がないという噂”もあるが、人望もないんだな。本当にこういう人材が第四騎士団に来られては迷惑だ。雑用の多い部署だが、皆、誇りを持って働いている。お前のいい加減な態度が、誰も組みたがらない原因だ」

 第四騎士団長が、ため息をつく。


「私はクロコード侯爵家の三男なのですよ。本来なら、ここにいるような身分ではありません!」

(雑用係の仕事に誇りなど持てるか。そんなやつ、よほどおめでたいだろう。それに“常識がない噂”とは何だ。どこの誰がそんなことを言っている? 探し出して殴ってやりたい)


「三男なのだろう? だったら、条件は平民と変わらない。爵位や財産は継げないじゃないか?」

 第四騎士団長が苦笑いを浮かべる。

(私を平民と一緒にするな! そういえば第四騎士団長は平民出身だったか。……嫉妬だな)


 クズどもの嫌がらせは続いた。

 点呼の時間は伝えられない。出勤命令は最後に知らされる。王都を守る巡回ルートの変更も、私にだけ届かない。


 むしゃくしゃして、王宮の庭園の花を摘み取り、乱暴に踏みにじる。

 少しはすっきりした。だが、まだ足りない。


 ふと、近衛騎士だった頃の元同僚たちが目に入った。懐かしさに近づこうとしたそのとき、私の名が耳に入る。

「ルシアンはもうだめだな。王太子様にも見限られて……社交界の重鎮たちからも批判されているらしい。あいつとは話をしない方がいい。仲がいいと思われて、とばっちりを受けるかもしれないぞ」


(確かに悔しいが、王太子様からは見捨てられた……しかし、社交界の重鎮? 私には何の関わりもないはずだ……)

 意味がわからないまま、近衛騎士たちに声もかけられず、その場を離れた。

 

 不安が胸の奥にじわりと広がる。

(いったい、何が起こっているんだ?)





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