表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストルゲー・フォレスト殺人事件  作者: 北村 清


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/23

裁判の後

その後まもなく。

サイキはジェラルドと結婚した。


「僕の父方の叔父さんが、オーストラリアで大牧場を経営しているんだ。とても優しい良い人なのだけど、以前からこっちに来て一緒に仕事をしないかと誘ってくれていたんだ。サイキ、一緒に行かないか?綺麗な海や美しい空、可愛い動物達に囲まれて暮らしたら、きっと恐ろしい事や哀しい思い出を、忘れる事はできなくても薄めて行く事ができると思うんだ。どうか、真剣に考えてくれないだろうか?」

と言ってジェラルドがサイキにプロポーズしたらしい。


人々の悪意やら噂話やらにもみくちゃにされたサイキには、自分を知っている人が誰もいない土地。というのが魅力的に思えたのだろう。


だけど、それより何より。ジェラルドに感謝していたのではないだろうかと思う。


ジェラルドはエメラインが、「斧が」「正当防衛が」と言い出す前から、サイキの無実を信じていた。

「サイキがそんな事をするわけがない!」

と声を大にして叫んでいた。

実際、そう叫んでいたのはジェラルドだけだったのだ。


そんなジェラルドを愚かだと思いつつも、サイキは感謝していたのではないだろうか。


それは同時に、全然かばわなかった僕には失望した。って事だろうけれど。ま、別に良いけどね。


そして二人はすぐにオーストラリアへと旅立って行った。



しばらくして、二人から僕に手紙が来た。封筒の中には手紙と共に一枚の写真が入っていた。


ジェラルドとサイキは牧場で、たくさんのモフモフした羊達に囲まれていた。

サイキはコアラを、ジェラルドはウォンバットという動物を抱っこしていた。美しく晴れ渡った青い空。彼方の地平線をエリマキトカゲが爆走していた。幸せそうな表情の二人が写った写真だった。




話は裁判の日に戻る。


裁判所を出た僕は、裁判所を取り囲む群衆の中からエメラインとハーグリーヴス伯爵を探した。

裁判が始まる前は見つけられなかったが、いないなどという事はないだろう。くじ引きは外れてしまったのか、裁判所の中にはいなかった。

サイキが無罪になった。正当防衛で。という事を伝えたかった。でき得ることなら、僕の口から伝えたかった。


群衆は男女が入り乱れている。背の低いエメラインをなかなか見つける事ができない。


「どうされたのですか?ハウル様。」

とアーチーボルトに聞かれた。父親のクレイン卿が近くにいる為、今は敬語である。

「誰かお探しですか?」

エディスとキャロルはすでに、アーチーの側にいる。


「エメラインを探しているのだけど・・・。」

「エメライン・・とは、まさかレディー・ハーグリーヴスの事ですか?」

アーチーボルトが首をかしげる。

他の誰だって言うんだよ!


「探してたら、悪いか?」

「いえ、ただレディー・ハーグリーヴスは、御父上のハーグリーヴス伯爵と一緒に、遺跡を発掘しに遺跡のある外国の地へ昨日行かれたと聞いたものですから。」

「んええっ!」

思わず大声が出た。


「というか、誰に聞いたんだよ⁉︎」

「父です。父はレディー・ハーグリーヴスにも裁判での証言をお願いしたいと頼んだのですが、裁判の頃には王都にいないので無理だと断られたのだそうです。というか。」

アーチーは声をひそめて言った。


「知らんかったのか?」

「知らねえよ!」

「まるでストーカーのように毎日会いに行っていたのに?」

「毎日は会っていない。昨日は行かなかった。というか、何故エメラインを止めなかったんだ⁉︎」

「何で止めないといけないんだ?」

「・・・何でって、そりゃ。」

「彼女は大学を卒業済みの一社会人で、遺跡の発掘は彼女の職業だ。誰かに止められる事じゃないだろ。」

「・・・・。」

「自分は婚約者なのだから、何でも報告、連絡、相談しろ!僕がやめろと言った事はやめろ。っていうのはハラスメントだぞ。」

「わ・・わかっている。」


と一応言ったが。


何か納得いかん!


僕が知らなかった事を、アーチーが知っていたって事をだ。


「彼女と会って話がしたい。」

「やめとけ。」

「僕はもう成人している大人だ!何で止めるんだよ!」

「知っているのか、ハウル。彼女が掘っている遺跡のある場所は、船で一週間、馬で三日、更にロバに乗り換えて二日もかかるド僻地にあるんだぞ。途中マトモな宿も無いのに、おまえが我慢できるかよ。おまえ絶対 BandBベッドアンドブレックファーストな民宿で、知らん奴と大部屋に雑魚寝とか無理だろう。」


・・・無理かもしれん。

と思ったが、そう言いたくなかった。だって、エメラインはそういう状況を我慢しているのだ。


それに、彼女に会いたかった。裁判について伝えたかった。僕の口から伝えてあげて、傷ついたり苦しんだりしているなら寄り添ってあげたかった。

先日植物園で、暗い目をして竹を眺めていた彼女の事が心配だった。


「行くならきちんと準備して行け。ハワード氏に相談したら護衛とか案内とか、いろいろ相談に乗ってくれるはずだ。遺跡の発掘場所は治安もあんまり良くないって聞いているぞ。」

とアーチーが言う。


そういえばエメラインもそう言っていたな、強盗殺人や誘拐殺人が日常的に起こるって。


それでも彼女に会いに行こう。僕はそう決意した。


拙い文章をここまで読んでくださって本当に感謝します(^_^)


次話が最終話となります

ラストはなんとなんとエディス視点になります

どうかよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ