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彼女たちの記憶を共有した俺の異常な日常  作者: るでコッフェ
第一巻
22/94

第22章 最後の防衛線(2)

 最初のページ。


 最初のページには、五角形の黒いスタンプが押されていた。


[これは…?] ナイラとリネアは同時に安堵の息を吐いた。このスタンプの意味は重大すぎた。


 人員移動命令:

 機密レベル:極秘

 実行時期:即時

 命令内容:本日付をもって、我が局所属職員リネアの指揮権及び管轄権をXXXXXX部へ移管する。原本人事書類は本命令と同時にXXXXXX部へ転送済み。


[そのクソ部署の名前は何だ? なぜ書いてないんだ?] 俺はつい口を挟んでしまった。


[ハジメ!うるさいぞ!]


[悪い、つい…。こんなの初めてでな] リネアの視界を借りて覗き見しているだけなのに、まるでスパイ気分だ。


 …気をつけよう。リネアに迷惑をかけちゃいけない。


 これでリネアは、目の前の「姉さん」が味方だと確信できた。だが、この人事異動は明らかに不自然だ。


「申し訳ありません、ご存じなかったようですね」


 姉さんは胸の谷間からもう一つの書類を取り出し、リネアの前に置いた。


[ちくしょう!なんでそこに保管するんだ!? まさかリネアの目を通して覗いてる俺に気付いて、わざと挑発してるのか?] 俺の集中力がまた乱される。


[少なくともFカップはあるわ] リネアとナイラも小さくはないが、それほどのサイズと対面すると、やはり劣等感を覚えるらしい。


「ここにサインを」姉さんは再び胸からペンを取り出し、署名欄を指さした。


[もうコメントするのも疲れた] いつまでこの手を使う気だ?


「機密内容は?」書類には秘密保持契約(NDA)しか記載されていない。


「申し訳ありません、署名後にしか閲覧できません」


 姉さんの柔らかな笑顔に、何やら怪しい光が宿っていた。


「拒否したら?」リネアがつんけんと聞く。


「どうなると思う?」姉さんは悪戯っぽい笑みを浮かべ、肩をすくめた。


 リネアは追い詰められた。…ああ、俺はただの観測者だ。


「分かりました。署名します」リネアはイラついたように息を吐き、サインをした。


 それを見て、姉さんの笑みがさらに深まる。再び胸の谷間から書類が現れた。


[胸の谷間って…四次元ポケットか? どんだけ収納できるんだ? 深さはどれほどなんだ?]


 リネアが警戒する間もなく、その谷間に頭ごと押し込まれる。


「あ、あんた! 離してよ――!」


「近づかないで…っ!」


 リネアは必死で姉さんを押し返し、息を切らした。


「何するんですかっ! 私には恋人がいるんだから、変なことしないで!」リネアの思わず出た言葉に、ナイラと俺は頬を染めた。


[ナイラのことじゃないわよ!] リネアが慌てて否定する。


[じゃあ…俺のこと?] 俺は苦笑を隠せない。


[違う!そういう意味じゃないの!] リネアはますます慌て、顔を真っ赤に染めた。


「ごめんね、妹ちゃんが可愛すぎてつい…」姉さんはリネアをきつく抱き締めた。「あら、彼氏がいるんだ?」


「いい加減に!早く秘密情報を出しなさい!」


「はいはい…」姉さんはため息をつき、ファイルバッグから書類を取り出した。「これがあなたの任務書よ」


 任務書内容:

 氏名:特殊連絡員軍曹 リネア

 階級:中尉

 コードネーム:雪虎一号

 所属:第十レンジャー偵察隊

 配属:ラスト・ディフェンス・ライン

 直属上官:M嬢


 ラスト・ディフェンス・ライン概要:

『時計の針が真夜中を指す刻、数え続けるのは、ただ我らのみだ。』

 第二次大戦後設立。人類存亡の危機に対処するため五大国が認可。グローバル軍の動員権及びレベル1危機時の核兵器掌握権を保有。英雄でも悪役でもない——人類と滅亡の間の防壁。


 主要部門:

 1. 第十レンジャー偵察隊

『我々は輝きの庭で挑まぬ——光の根源となり、混沌の闇を貫き砕く』

 ・超人的能力を持つ者で構成された戦闘部隊

 ・虎耳を持つリネアに最適

 ・高危険任務担当:超人テロ組織本部への潜入、時間歪曲地帯での諜報活動、秘密研究所から逃亡した実験体の鎮圧


 2. スカベンジャー部隊

『世界は爆弾を恐れるが、その残毒を忘れている。我々が解毒剤だ』

 ・IQ200以上の天才集団:化学者、物理学者、兵器技師

 ・ナイラは前部隊から異動

 ・危険地帯浄化任務:チェルノブイリ2.0汚染地域の除染、冷戦期生物兵器の永久封印、反乱AI制御原子炉の停止


『人類最後の盾』

「感謝など望まぬ。ただ、あなたが安らかに眠るその裏で、我らが絶望の淵にて見張り続けていることを願うのみだ。」

 我々の任務は文明の命運を決する——歴史は我々を脚注か墓標に刻むだろう


 読み終えたナイラとリネアは同時に書類を閉じ、青ざめた表情を浮かべた。


[これ…想定の範囲を超えてるわ]


[え? じゃあ俺だけ取り残されたってこと?] 思わず呟いてしまう。


[ち、違う!今の言葉は無効よ!] 俺は慌てて前言を撤回した。


お疲れ様です!第22章、いかがでしたか?


今回の姉さんキャラ、書きながら「四次元谷間は便利すぎる…!」と一人でツッコミを入れつつも、なぜか羨ましさも覚える矛盾した気分でした(笑)。


秘密組織「ラスト・ディフェンス・ライン」の設定、実はコーヒーこぼしながら深夜3時に「人類存亡とか核兵器掌握権とか…これやりすぎでは?」と悩みつつ書いてました。


いつも応援ありがとうございます!


(現在AM2:45。姉さんの谷間描写が脳内ループして寝不足気味)。


(※追記:次回予告の「M嬢」、実はメガネっ娘です。絶対)

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