第2章 我々の記憶
我々は夢もなく、動きもなく、もちろん不眠症にも悩まされず、深く眠りについていた。俺が目を覚ましたのは、朝日が我々の体を照らした時だった。
いつからか、俺を縛っていた鎖は自ら解けていた。立ち上がろうとすると、激しい痛みが足に走った。
前の記憶を必死に掘り起こそうとする。ある影が脳裏に浮かび、続いて予期せぬ記憶の断片が次々と現れた。
記憶の中には、ナイラとゴシック系の少女――その少女たちの記録があった。
ゴシック系の少女はリネア。ロシア帝国貴族の血を引く。
ツァーリの白軍が敗北した後、リネアの祖父は東北へ逃れ、最終的に中国に定住した。ロシアの血を引くが、リネアは中国生まれ。
幼い頃からノルウェーの貴族学校に送られ、中国語はほぼ話せない代わりに、数々の欧州言語を操る。冷たい性格のため友人が少なく、親族さえも距離を置いたことで、彼女の人格はさらに凍りついた。最近はアニメで描かれるドイツ文化に興味を持っている。
ナイラはスウェーデン人。祖母がナチスの虐殺が吹き荒れた際にドイツから上海へ逃れ、中国に根を下ろした。要するに、ナイラの家族は商才に長け、瞬く間に中国の富豪の一角となった。ナイラは5歳からイギリスに渡ったため、中国語は話せるものの流暢ではない。
明るく優雅で柔和な性格で、友人――特に美少女たち――に囲まれ、いくつかの「あってはならない関係」を築いていた。
〈待て!待てよ、ナイラはレズなのか!日本の用語で言えば、百合好きってことだ!〉
俺は電流が走ったようにナイラの記憶を探索し続けた。情熱的な記憶の数々が脳を襲い、ブレーキをかける余裕もない。
ナイラは単なる百合好きではなく、ハーレムの女王だった。ロリ、お姉系、先輩、後輩、ツンデレ、デレデレ、クーデレ――あらゆるタイプの少女がハーレムに属し、彼女に執着していた。
ナイラと少女たちの様々な姿勢や場所での「記録」が脳裏に溢れ、鼻血が滲んだ。この光景は…あまりに刺激的だ。
〈リネアも十分変わり者だが、こっちはさらに極端だな〉
記憶を追いかけていると、二人も同時に目を覚ました。
明らかに、彼女たちも互いの記憶の異常に気づいている。沈黙が支配し、思考の記録に溺れていく。
〈待て、もし俺が彼女たちの記憶を持っているなら、俺自身の記憶は?まさか…!〉
心の中で叫ぶ。「やめろ!」
生まれてから暗い歴史のない人間がいるのか?風呂場で毎日のようにしていたあの行為さえも…
「なぜ他人の記憶が俺の頭に?」三人の声が同時に重なった。
〈まさかこんなことになるとは〉
俺とナイラの表情が変わる。彼女も見知らぬ声――おそらく俺の声――に驚いたようだ。
〈テレパシー?本当にテレパシー?〉 心の中で「話す」ことを試みる。
今度はリネアとナイラが奇妙な目で俺を見つめた。
三人同時に震え、一つの同じ思考が脳裏を駆け抜ける。
〈記憶の共有!〉
三人の「思考」が同期した。これはテレパシー以上の異常――記憶の交換だ。脳に蓄えられた短期記憶が完璧に他者へ流れ込み、テレパシーと錯覚させる。
〈やめ…あんた何してるの!?〉
リネアの絶望的な声が俺とナイラの思考に漏れる。彼女はパニックになり、俺を叩こうとした。
〈俺は何もしてない!〉 リネアの叩く手をかわしながら、俺は心で叫んだ。
〈私の記憶を覗かないで!!〉
記憶は最もプライベートなものだ。他人に見られるのは、裸で街を走るより恥ずかしい。
〈誰の記憶にもアクセスするな!〉
我々はこの秘密を守ることで合意した。だが無駄だった。
人間の性として、他人のプライベートを覗きたがるものだ。結局、記憶の流れは我々の抵抗を押し切り、独り歩きを始めた。
最も恥ずかしいのは、記憶の交換で互いの深層感情までも共有してしまったことだ。
記憶の洪水は止まる気配なく、我々を異なる記録で満たされた人形のように凍りつかせた。
次第に慣れてきた――と思った瞬間、次の記憶断片がすべてをひっくり返した。
冷たい印象のリネアの記憶に、衝撃的な場面が隠されていた。
浴室で湯気に包まれるリネア。体が熱を帯び、左手が左胸へ、右手が太ももの間へと滑っていく――その感覚までが俺に伝わってきた。
〈女性が本当に…あんなことをするのか〉 俺の思考がリネアの意識に侵入する。
リネアの顔が真っ赤に燃えた。両手で顔を覆う彼女も、これが青春期的に普通だと知りつつ、恥辱に耐えきれない様子だ。
ナイラも同様に混乱していた。腿をきつく交差させ、俺とリネアに身体反応を監視される恥ずかしさに震える。
三人の顔は火照り、欲望の波で思考が乱れていく。
(ナイラを除く)互いを落ち着かせようとする努力も虚しく、状況は恥ずかしさの頂点に達した。
鼻血が三人分、同時に滝のように流れ出た。
最悪なのは、快感の刺激がリアルタイムで共有されることだ。こちらの反応が相手の神経に伝わり、その反応がまたこちらへフィードバックされる。
三方向からの生理的反応が共鳴し、狂ったように増幅するフィードバックループが形成された。
この影響下で、我々の身体反応は臨界点に達しようとしている。このままでは、正気を保てるかどうか――
〈クソ…!耐えろ…!〉 俺は歯を食いしばり、思考で意志を燃やした。
〈もう…無理…〉 リネアの心の声が泣きそうに震える。
突然、リネアの記憶から解放感が流れ込み、俺は現実に引き戻された。呼吸が整いかけたその時、ナイラにとってリネアの記憶は薪に油を注ぐようなものだった。次の瞬間、ナイラの快感の波が俺を襲った。
説明など不要だ。彼女たちに何が起きているか、肌で感じている。
〈まだ…制御できる…はあ…俺が最強…は…は…〉
心の中で無理やり笑顔を作り、危機を脱したと思い込もうとする。
大間違いだった。
ナイラとリネアが隙を突いてきた。彼女たちにとって、異性に最も恥ずかしい部分を見られるのは許しがたい屈辱。最も痛いのは――俺だけが最後まで冷静でいることへの嫉妬だった。
〈ならば…〉
悪意のささやきが脳髄を這う。ナイラとリネアの目が不気味に光り、同時に自分の敏感部を握りしめた。
〈やめろ――!〉 魂が喘ぎで締め上げられる。
雷撃のような快感が神経を貫く。膝が震え、崩れ落ちそうになるのを必死で食い止める。
だが彼女たちは容赦なく強度を増す。衝動が暴走し、理性が捻じ曲げられていく。
〈畜生…!証明してやる…はあ…俺こそが――〉 思考が荒い喘ぎで寸断される。唇を噛み血を流し、痛みで快感を相殺しようとする。
痛みと快楽が矛盾しながら混ざり合う。俺は視界を泳がせ、理性を蹂躙する性のリズムに身を任せた。
数分が数時間に感じられた。ついに彼女たちの身体が疲労で崩れ落ちた。
〈見たか…はあ…勝者は俺だ…〉 喉が枯れるような声を上げた瞬間、暗黒が視界を覆った。
戦いを挑まれてもいない戦いに敗れ、俺の体は無残に地面に倒れ伏した。
やっほー!作者です!今回の章、どうでしたか?
三人の恥ずかしすぎる記憶共有シーン、書いてて自分も顔真っ赤になりました(←隠し事ゼロの脳内公開状態)
実はリネアの「あのシーン」、最初は「ロシア貴族の憂鬱な日常」にする予定だったんですが、
脳内の悪魔が囁きました――「エロティックな自己満足シーンを書け」と。
結果、読者の皆さんに鼻血タオルをお配りする事態に…ごめんなさい、でも面白かったでしょ?
次回予告:
・記憶共有の副作用で三人の身体がさらに危険な方向へ!?
・リネアがついにツンデレモード発動!「…別に気にしてないんだからね!」
PS: 次回から「R-18指定」が必要かも…という冗談です(多分)。
では、応援の★評価&「次回早く!」コメントお待ちしてまーす!