最高と最凶
焔聖火にとって、幼馴染の創造誠也は運命の人だった。
最初の出会いは、私が彼の家の隣に引っ越してきたとき。
黒髪で、気弱そうな人間の男の子。
そんな幼い彼を見て、私は心を奪われた。
一目惚れだ。
それから私は積極的に創造誠也にアピールした。
一緒に公園に行ったり、買い物に行ったり、お泊りもしたな~。
しかし……彼は振り向いてもらえない。
だから私は振り向いてもらえるように努力した。
勉強ができる子になった。
運動ができる子になった。
誰とでも仲のいい女の子になった。
幸い私には、なんでもできるくらいの才能はあったよ。
そして気が付いた時には……私の周りにはどうでもいい人が集まっていた。
どうでもいい人と友達になって、どうでもいい人が私を称賛する。
そんなもの……いらないよ。
私が見てもらいたいの創造誠也だけ。
他の人なんてどうでもいいの。
自分が望んだ結果にならないことに、腹を立てていると……事件が起きた。
モンスターの大群が、私の故郷を襲ってきたのだ。
私は両親を見捨てて、誠くんを連れて逃げた。
生き残ったのは、私と誠くんだけ。
「あ…ああ……」
故郷と家族を失った彼の顔は今でも忘れられない。
だって、
人生の最大のチャンスだと思ったから。
絶望した誠くんの心を癒せるのは私だけ。
そう思うと、死んだ家族や滅んでしまった故郷なんてどうでもよかった。
私は誠くんの心を癒した。
ご飯を食べさせ、一緒にテレビを見て、どこかに出かけたりもしたよ。
そのおかげで誠くんは少しずつ元気になった。
そして元気になった彼は仕事を始め、友達を作り、一人で生活を始め、
恋人を作った。
頭がおかしくなったよ。
頭の中が黒く染まって、全てを壊したいと思った。
誠くんは私だけのもの。
私だけの……誠くんなの。
だから私は――――、
誠くんを殺して、私も死んだ。
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「ん……んん……?」
閉じた目をゆっくり開く聖火。
彼女は目を擦りながら、キョロキョロと周りを見渡す。
「あれ……寝てた?」
「お目覚めですか?お姫様?」
「!」
声が聞こえた方向に視線を向けると、そこには聖火の恋人であるボサボサの黒髪少年—――創造誠也がいた。
彼は作業服を着ており、金属と汗の臭いが聖火の鼻を刺激する。
「誠くん……ここは?」
「寝ぼけてるの?ここは工房だよ。聖ちゃんの専用神器を作るって言ったら、それを見たいって言ったんだぞ?」
「あ…ああ、そうだったね」
「まったく……とりあえずいいとこまでできたから、今日は終わりにしよう」
「待って、誠くん!」
「ん?」
聖火は少し不安そうな顔で、誠くんに問い掛けた。
「私たち……恋人だよね?」
「そうだけど?」
「誠くんは……ずっと、ずっと私と一緒だよね?」
「……なにを言ってるんだ」
誠也は聖火の手を優しく握り、彼女の目を見つめた。
「俺は……聖ちゃんが好きだ。ずっと……ずっと一緒だ。絶対に離れないよ」
「本当?」
「ああ……本当だ」
「なら……キスして」
「ええ!?……いや、今の俺は汗と金属で臭いよ?」
「いいから」
「……わかった」
恥ずかしそうに頬を赤く染めながら、誠也は聖火の唇にキスをする。
一度、離れようとすると、聖火は誠也の身体を強く抱き締め、彼の唇を喰いつくようにキスをした。
乱暴で、情熱な口付けに、誠也は混乱する。
「ちょ、聖ちゃん!」
「ダメ、離さないで」
愛する男の唇を奪いながら、少女は瞳を真っ黒に染める。
(誠くんはもう二度と他の女になんか渡さない。そのためなら私はなんだってする。そう例え―――)
(何百回やり直すことになっても)
読んでくれてありがとうございます。
他の作品を集中してやりたいので一時休止します。
申し訳ありません。
投稿できるようになったらすぐに投稿します。




