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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
17章 わたしに何ができたかな?

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第978話 瘴気のお勉強③術の基本

「編むとはすごいことですね。確かにイメージ補強で使う方が楽ですが、魔素を集めた時の方向と、したいことの角度に関わりがあるとは思っていませんでした。そこを意識するだけでも、効果があがりそうです」


「イメージでは魔素を集めているところは省略されますからね。編むことの素晴らしさのひとつは、瘴気でも魔力でも内と外との燃料の消費を指定できるところです。イメージではほぼ内なる魔力を使うでしょう? 魔法を使う時は自分の魔力を使うって刷り込みもありますしね」


「トルマリン先生、魔法士に術を編むことを教えていただけませんか?」


 イザークが頼み込んでいる。


「いえ、私はしがない呪術師ですので……」


「〝編む〟ことが廃れている今、この教えは本当に貴重です。〝編む〟を知ることは絶対に魔法も発展していきます」


 イザークが本気だ。トルマリンさんはその迫力に押されている。


「この絵柄や記号は馴染みのないものですね。どこかの古代語からきてるんですかね?」


 ルシオがおっとりと言った。

 わたしも思った。

 火はね葉っぱの形の外枠に、半分よりちょっと上の中央に黒丸。そこから尻尾が生えている。

 水は3本の斜め緩やかS字に定められた場所に3つの黒丸。

 風はふた角まで90度の2辺でそこから渦を巻く。2つの黒丸。

 土は凸凹のデコの天井を塞がず、左右に開いたような形に4つの黒丸。


「エンダーの絵文字だそうですよ」


 エンダー? どっかで聞いたような。

 ガタンと椅子を倒してアダムが立ち上がった。


「エンダー、ですか?」


「え、あ、はい」


 アダムが頭を抱えている。ど、どうした?


「エンダー、どこの大陸の国ですか?」


 イザークが尋ねる。


「もうありません。古代にあった国です。第四大陸だったかな?」


 トルマリンさんにお礼を言って、授業は終わった。


「アダム、どうしたの?」


「僕は馬鹿だ!」


「アダムが馬鹿だとすると、それ以下のわたしの立つ瀬がないんですけど」


 静かに突っ込んでおく。


「ゴット殿下が〝ヒント〟を残してくれていたのに。エンダーのことは調べなかった!」


 あ、エンダー。どっかで聞いたことあると思ったけど、第一王子が言ってたんだ。グレナン語と似ている言語から導き出して理解したって。


「もう滅びているんだよね? けれどグレナンより情報があったってこと?」


 ルシオの疑問はみんなの疑問だ。

 グレナンの情報は表に出なかった。そして滅びた時、民も散り散りになり住んでいたところは焼き払われ、書物などもほぼ残らなかった。それでグレナン語を知るものがほぼいない。

 第一王子はエンダー語とグレナン語の類似点から、グレナン語を読み解いた。ってことはエンダー語のアンチョコがあるってことだ。こちらも滅びた国なのに、現代語の意訳が残ってたのかね? きっと、そうなんだろうけど。両方滅びた国というところで、腑に落ちない何かがある。


「悪い、先に失礼する」


 ホストのアダムが先陣切って出て行ってしまった。

 わたしたちは顔を見合わせ、みんなで学園の寮へと帰ることにした。

 わたしはアラ兄とロビ兄と同じ馬車だ。


「リー、瘴気のことどうするんだ? リーは瘴気を編めそうもないだろう?」


「魔具を作ろうと思ってたんだ。けれど瘴気が術師を見定めるなんて想定外だった。魔具でもできなさそう」


 グッと唇を噛む。

 わたしができないとなると……。でもバレていい人は限られているから、玉に瘴気を込めることをお願いすることになる。それは家族にしか頼めない。

 アラ兄、ロビ兄、喜んで協力してくれるだろうけど。

 瘴気は危険なものと知っただけになー。

 もうちょっと考えよう。


 明日はナムルに講師をしてもらう。

 彼をとことん信用しているわけではないので、地下基地には連れて行けない。

ゆえにお城で、ロサもいるところでの講習となる。明日は兄さまも参加するとのことだ。

 そこで何かいい案が出ないかを待とう。

 呪術師とグレナンの瘴気の扱い方には随分と違いが出るものだな……。

 それに瘴気の方が扱いは難しくても、やれることの幅は広い気がする。

 魔法だと編むのだとしても属性に縛られる。

 でも瘴気は魔法陣を勉強すればどんなことでもできてしまう。

 魔法でいう無属性全般ってことだもん。

 わたしが推理している通り、ツワイシプ大陸以外の人は魔力ではなく瘴気量が多かったら。そしてみんなが瘴気を編むことを覚えたら。めちゃくちゃ脅威になる気がする。


 寮に着いた。ドーン女子寮前まで双子兄たちが送ってくれる。手を振ってお礼を言う。背中を見送ってから扉を開けた。


「リディア!」


 待ち構えたように玄関にいたのはライラとケイトだ。


「ど、どうしたの?」


「ちょっと教えて欲しいことがあって」


 わたしは一緒に5階まであがり、ふたりを部屋に招き入れた。

 失礼してよそ行きから部屋着に着替える。

 王宮の外れに行くとしても一応お城なので、服は選ぶことになる。

 制服は正装でもあるので、制服で行ってもいいし楽ではあるのだけど、かえって目立つんだよね。学園生が王宮に行くと。だから結局ドレスで行くことになる。

 今日は王宮の外れへだったから、よそ行きドレスで済ませられた。


「お待たせ」


 と、お茶とお菓子を運んでいく。

 ライラとケイトの間に座ったもふさまは、ふたりからもふられていた。


「こっちこそごめんね。帰ってきたところに」


「あのね、私たちお茶会に呼ばれたの」


「お茶会に?」


「クラブで仲良くなった子にぜひ来てって言われて。でも私たちお茶会なんて行ったことないから。貴族のお茶会ってどんなのか教えてもらおうと思って」


「何をするの? どんなふうなの?」


 ライラもケイトも目が輝いている。とても楽しみにしているみたい。


「何か言われた? たとえば外でやるとか、部屋の中だとか。どんな人を呼ぶとか」


「仲のいい子を呼ぶ小さなものだって言ってた」


「私たちお呼ばれした時に行くような服はないって言ったら、それなら制服で来てって」


「あちらが制服でいいって言ったのなら制服で問題ないよ。仲間内で集まるぐらいなら……どちらの令嬢?」


「ユリーさまよ。3年C組のユリー・ポットさま」


 ポット家、男爵令嬢ね。そこまでの格式高さは求められないはずだ。


「お呼ばれして、親しいのなら、ちょっとしたお土産を持っていくといいわ。ユリーさまのお好きなものとか知ってる?」


「「甘いもの」」


 なるほど!


「お茶会はいつなの?」


「来週」


 来週かー。口で説明するの難しい。


「いく前に、うちでお試しのお茶会してみる?」


 ふたりの鼻の穴が膨らむ。


「「本当ーーーーっ??」」


「わたしもお茶会にそこまで参加してないから、基本的なものになるけどね」


「やったー!」


「リディア、ありがとう!」


「じゃあ、今度の休息日にね」


 ふたりは元気よく頷いた。


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― 新着の感想 ―
アンドレさまもっと素直にヒントくれ。 リディアはエンダー絵文字も翻訳出来るんでしょうか? 瘴気の玉込め、瘴気のエキスパートなレオたちに頼んじゃ駄目なんだろうか? あと家族だけじゃなくて地下基地仲間に…
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