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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
17章 わたしに何ができたかな?

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第962話 パンドラの希望②シミュレーション

 とりあえず、わたしはそのメモの言葉を、そのまま書き写しておいた。


 乙女ゲーってあれよね?

 女性をターゲットにしたシミュレーションゲーム。

 思い出していた。この世界はある異界の箱庭を模倣したもの。ルシオはそれが物語だと言った。それが乙女ゲーだったってこと?


 見習い神って本当の創造神のことよね?

 7分の1の奇跡って、その数字から7分の6が失われることだろうなぁ。どうしても失う方に目がいくけど、7分の1は助かるんだから、確かに奇跡だ。

 ん? 見習い神さまは7分の1助かることを知らなかったってこと?


 原因と結果? 必ず理由がある、そりゃそうだろうけど……。


 〝吹き込まれた命の紡ぎだす未来への介入は、何者も許されない〟

 何言ってんの? サッパリわからないんだけど。


 相応の罰がくだる? 誰に? 介入した者にってこと?


 これが希望になるわけ?

 どこらへんが??

 わかるように言って! 口語訳をつけて! プリーズ!

 っていうか、希望を形にしてとまでは言わない。けれど、希望を教えてくれるなら教えてくれるで、わかるように言ってくれなきゃ意味ないし。

 ズバリ言っちゃいけない規定でもあるわけ? 希望の箱なのに???


 取り乱しかけたわたしは、大きく深呼吸をした。


『リディア、どうした?』


「あー、実はね、〝希望〟を開けてみたの」


『希望を開ける?』


 みんながベッドからホップステップジャンプで、わたしの机の上にやってくる。もふさまはわたしの膝に乗ってきて、正面から顔を出し、小箱の匂いをかいだ。


『魔の匂いがする』


 みんなも一斉に小箱に集まってクンクンしてる。

 か、可愛い。……そうじゃなくて。


「すっかり忘れていたんだけど、記憶をなくした時に収納箱の中のリストを見たの。〝希望〟ってあって、すごく不思議だった。記憶が戻ってから、それがなんなのか思い出したの。空っぽダンジョンの108階、ボスを倒したときの報酬だって」


「報酬があったんでちか?」


「そうなの」


『希望ってなんだったんだ?』


 レオがワクワクした瞳で見上げてくる。


『希望って甘いかな?』


『希望はおいしいかな?』


「食べ物じゃないから」


『えー、希望なのに、食べ物じゃないの?』


 そうか、アリとクイにとって希望は食べ物なのか……。


『アリとクイは食いしん坊ですねー』


 ベアが上品に笑っている。


「希望ってなんだろうって思って鑑定をかけたら、その時、一番の希望となることが入っているって出た。それで、わたしは小箱を開けた」


『中身は?』


 レオが全身で身を乗り出す。


「なんだったでち?」


『なんだったのだ?』


「メモに書いてあったのは

〝この世界は乙女ゲー

 見習い神は見習い故に、7分の1の奇跡を知らない

 原因と結果、物事には必ず理由がある

 吹き込まれた命の紡ぎだす未来への介入は、何者も許されない

 相応の罰がくだる〟」


 みんな揃って大きな目をパチクリさせている。


『おとめげーって何?』


「女性向けのシミュレーションゲームのことだと思う。わたしが知ってるのは恋愛に特化してるやつだったけど」


『しみゅれーしょんげーむ?』


 みんなが声を揃える。


「うーん例えばね。レオがプレイヤーね」


 わたしは言いながら紙に書きつけていく。1問目、赤、青、黄色。赤を選んだらそこまで。青か黄色を選んだら2問目にいけると線を下ろす。2問目はドーナツ、アイス、クッキーから選んでもらう。クッキー以外を選べれば3問目。といった感じで5問まで設問を作る。


 レオにわたしと向き合ってもらって、レオ以外はわたしの方にきてもらう。

 あ、アオ以外、字が読めないか。ま、文字のところを手で追っていけば多少は何かやってる気になるか。


「レオにはこれからいくつかのことを選んでもらいます。シナリオに沿って最後まで行き着ければベスト、のシミュレーションゲームです。例えば、5問の設問全部に行きつけたら、このスーッとする飴をあげちゃいます」


 ミントの飴なだけで、みんないつも食べているものなのに。

 ご褒美をちらつかせたら鼻息が荒くなっている。


「今はどんなものかを体験してほしいから仮で作ったの。脈絡なく、何が正しいとかないから、勘で答えてね」


 レオは頷く。


「では第1問。赤、青、黄色。どれか1つ色を選んでください」


 わたしは赤、青、黄色と言った時に、紙に書いた色のところを指さす。

 レオはうーんと唸ってから


『黄色!』


 と元気に言った。わたしは黄色の下に書いた垂直の線を指で辿る。


「では2問目。ドーナツ、アイス、クッキー、どれを選ぶ?」


『もちろんアイス!』


『アイス!』

『アイス!』


 アリとクイも反応する。いや、おやつの食べたいものを聞いたわけじゃないからね。

 はーい、と垂直の線を辿り


「では、第3問……」


 レオは4問目でハズレを選んでしまった。


「こういうふうにね、選ぶことで結末が変わっていくゲームなの。今のは仮だから意味がない設問だけど。そういったゲームでは目標がある。その目標を達成するために何か選んでいくものなの。何通りも道があって、何を選ぶかプレイヤー次第」


 面白かったようで、わたしはいくつかのシナリオを作らされた。

 アオ以外字が読めないから、下手な絵を描かされるハメになる。

 脱線しているうちにお風呂の時間になり、食事をして、寝る時間になった。

 そこでやっと静かな時間が訪れる。


 乙女ゲーか、なんで気づかなかったんだろう?

 アイリス嬢のアカシックレコードリーディング。その力でアイリス嬢が小さい頃に見たという何人もとの恋愛物語。あれなんて、まさに乙女ゲーそのままじゃん。

 主人公がアイリス嬢というのも符合するし、攻略対象者が生徒会メンバーだ。

 まさに、まさにそうじゃん!


 アイリス嬢があの中の誰かを選べば、そうなっているはずだった?

 でも学園に通う前から……未来が変わっていったようだけど。

 思い出せ。ゲームの中はどうなるのが筋だった?

 世界の終焉なんてワードはなかった気がする。

 アイリス嬢が聖女になって……。

 と思っているうちに寝てしまったようで、気がついたら朝だった。


 見せてもらってから時が経ってるし、あの時はただ映像が始まって驚いていたから、流して見てただけだ。これはアイリス嬢にお願いして、もう一度見せてもらおう。あの時はロサとイザークだけだったけど攻略者全員分見せてもらわないと!

 わたしは朝っぱらから迷惑も考えずに、アイリス嬢と至急会いたい旨をルシオに伝達魔法で送った。


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― 新着の感想 ―
ラストレッド殿下は攻略対象じゃないんでしたっけ? 生徒会だけで隠しキャラ√とかないのかな? 7分の1が滅びのことなら見習い神は全て滅ぶと考えてるんだろうけど…そうすると見習い神は終焉に関係してるっぽ…
シアターの回を読み返してみると生き残るのは7分の1ってアイリス嬢が言ってましたね。 改めてアカシックレコードリーディングを見たら何か発見があるでしょうか。
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