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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
17章 わたしに何ができたかな?

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第931話 Get up㉒一対一

「勝ち抜き戦なら、ゴーシュさまの独壇場になってしまうわ」


 エリーがズバリ言った。

 皆の視線がアダムに集まる。負けるまで試合を続けることになるわけだけど、アダムなら永遠に勝ち残っていそうだ。

 みんな異論はなかったので、なし崩しにアダムの順番は最後になった。

 自分やみんなの強さもわかっているので、弱い順にすんなり決まる。

 わたしはアダムの次に強者と判断されたけれど、体力のないことから真ん中になった。


 最初はラエリンとライリュートン嬢の戦い。力が拮抗していたので、なかなか勝負がつかなかった。ふたりの呼吸が乱れた頃、ラエリンがライリュートン嬢に足をかけ転ばせ、剣を突きつけ終わりとなった。


 次はラエリンとイシュメルの勝負。

 剣を合わせイシュメルがパワーで圧勝。

 アマディスが挑戦者となる。アマディスがパワーの剣を避け、飛び道具でイシュメルに膝をつかせ参ったと言わせた。


 勝者アマディスがユリアさまと戦う。アマディスはやりにくそうだったけど、接近戦でユリアさまの剣をすべて払い、ついに参ったと言わせた。


 わたしの番だ。風を使ってアマディスを倒した。接近戦でも力で勝てそうになく、遠くにいると短剣が飛んでくる。だから速攻で風攻撃。うまくいき倒すことができた。


 次はニヴァさまと勝負だ。アマディスとの対戦を見られているから、風攻撃は抑えられる。なのでこちらは水魔法で足止めをし、短剣を何度も繰り出す。避けることで精一杯にさせて攻撃を封じた。風で剣を巻き上げ、降参させる。


 さて次はエリーだ。けれど息があがっていたこともあり、足がもつれてしまい、すぐに負ける。学園では〝魔力そんなない〟設定が生きているので、魔法の大技を使うわけにもいかず、個人戦となると魔法で封じ込める戦いはできず、難しかった。


 エリーとアダムの試合。

 アダムはエリーからの攻撃をすべていなす。魔法さえも。

 エリーが決めの大技とばかりに繰り出した時、剣を弾いて終わった。


 そこからアダムの独壇場だ。

 アダムは魔法は使わないと決めているようで。

 そこにちょっとムッときたが、それでも十分強かった。

 みんなの攻撃をすべて受けていなす。それで最後に勝つ。

 ひとり抜き、ふたり抜きと勝ち数を増やしていっても、息も乱れてない。


 とうとうわたしの番になった。

 先ほどの疲れはとれた。

 ちょっとワクワクする。

 アダムと戦うなんて、そうないことだからね。

 わたしとアダムの力量は天と地ほどの差がある。それはわかっているけど、一度くらい、魔法を使わせてやりたい。

 わたしが使えるとしている属性は、風と水。一番魔力を使わないそれぞれの魔法は風を起こすことと、水は出すこと。それから魔法は単体で使わないといけない。


 負けて次の挑戦者に勝負を託した人が審判となり、試合始まりの声をかける。

 ユリアさまが「始め!」と言った。


 わたしは直径50センチの水玉を作り出し、アダムの足から離れないよう操作する。歩行困難を狙った。パワーの差がありすぎて、接近戦はすぐにアウトとなるから。

 アダムはわたしの目を見て、考えたねというふうに笑う。

 水玉を出している間、風魔法は使えない。アダムの後ろにまわり、短剣で攻撃。

 ゲッ。こいつ動きにくいだろうに、水玉をつけたまま蹴りをしてきた。

 蹴りを飛んでかわして、リボンを使う。攻撃用のリボンだ。マントの肩に通しておいたやつだけど、今は短剣にくっつけといた。

 アダムは急に現れて、自分を縛ろうとしたリボンに驚いたようだけど、慌てず騒がず、剣でその戒めを解く。

 水を解いて、風の渦巻の中に閉じ込める。

 お、表情が変わった。


 え?

 わたしは吹っ飛んだ。尻餅をつく。

 嘘、風の渦巻きをパワーだけで切り裂いた?


「風ってこうして使うんだよ?」


 風の渦巻きだ。わたしと違う中央まで風を通してない渦巻。それはわたしが息を普通にできるということ。風の渦巻きは上に吹き上がる。どこまでも。

 円の中で戦う規定はあるけど、天地の上下の枠は指定されなかったものね。

 上へ上へ。こ、降参するまで上にあげるつもり?


 後のことを考えず、思わず剣で風を裂こうとしたけれど、風は渦を巻き上を目指し、どうにもならない。

 わたしは1メートルの大きな水玉を作り出して、それを目測でアダムのところに落とす。

 風は緩まない。

 となれば捨て鉢だ。

 反対方向の渦巻きをアダムの渦巻きと反対方向に作り出す。

 魔法が拮抗したんだろう。風の渦巻がなくなった。

 風の魔法で押し上げられていたわけだから、それがなくなればわたしは落ちる。ただかなり上に飛ばされていたから、落下速度は早かったものの間に合った。

 地面に激突する前に風の逆噴射。と、地面に穴が掘られていた。

 焦った顔のアダム。

 ……土属性使えるの秘密にしているのに、使ったんだ。

 わたしを怪我させないために。


「降参」


 アダムが言ったところで、先生の終了の合図があった。


「え、なんでアダムが降参なの?」


 わたしが言おうと思ったのに。


「魔法を使ったら、降参と決めてたんだ」


 アダムはにっこりと笑う。

 手を差し伸べて立たせてもらう。


「君は実践を経て、学び取るんだね。もっと強くなれる。レベルアップってそういうこと?」


「含まれるけど、ちょっと違う。

 けど、予想外だわ、褒めてもらえたのは」


 アダムからもっと強くなれると言われたぞ。実践で学び取るとも。

 捨て鉢攻撃だったんだけど、それが強くなる秘訣かな? うーむ。

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― 新着の感想 ―
アダムやっぱりスペックが違うなー、パワーだけで渦巻きを引き裂くとは… こんな人前で土属性使っちゃって大丈夫なんだろうか? ダンジョンに行って強くなるぞって言ってたから実戦でレベル上げする話かと思って…
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