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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
17章 わたしに何ができたかな?

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第902話 忍びきれなかった悪意⑨禁断の書

 ……………………。


「わたし記憶をなくしていて、いろんな人にとてもよくしてもらったの。みんなにもだけど」


 深呼吸をする。


「はっきり言ってみんな好ましいわ。恋とはまた違うのかもしれないけど。

 貴族の結婚は家がするものだと聞いたから、恋かはわからないけど、アダムなら楽しく暮らしていけそうだと思った。でも婚約者ではないみたい」


 答えとなったかな?


「婚約者のこと、教えてもらってないの?」


 声に驚きが含まれている。


「そのうちわかると言われてる」


 みんな顔を見合わせて、おし黙った。静けさが舞い降りる。


「それは……言わない理由があるのだろうけど、もどかしいね。

 でもアダムはリディアのこと大切に思ってるよね」


「「「「「「「「「「「「「「「うん」」」」」」」」」」」」」」」


 ジョセフィンが言うと、彼女とわたしを抜かしたみんなに頷かれた。


 場がまたまたシーンとする。


「そういえば、チャドはA組のハミルトンさんに告ったみたいだよ」


 え?


「それはまた高嶺の花に……」


「で? どうだったの?」


「気持ちは嬉しいとしながらお断りされたっぽい」


「だろうねーーーー」


 と失礼なコメントが入る。


「アイデラは?」


「何よ、今年も告白してイシュメルに振られたわよ、文句ある?」


「いや、ないけど。なんでー? そんなイシュメルいい? 他の人にも目を向けてみたら?」


「卒業するまでに振り向かせるんだから!」


 とクッションにパンチを入れた。気合が入っている。

 みんな引いている。


「レニータは、スコットとどうなの?」


「どうって?」


「学園祭実行委員3度目じゃない」


「スコットはなんとも思ってないと思う」


「ってことはレニータは?」


「いいヤツだと思ってる。話しやすいし、足りないところ補ってくれるし。けどこれから卒業までギクシャクるのは辛いから、このままでいたいと思ってる」


「実行委員のC組の令嬢が、スコットをいいなって言ってたってよ? ギクシャクするのが嫌なのもすっごくわかるけど、そのままお嬢さまとうまくいっちゃってもいいの?」


 ジョセフィンが言って、レニータはハッとして唇をかみしめた。

 レニータの視線が下を向く。


「あー、私アマディスに告って振られた」


 挙手をし、潔くアンナが言う。


「えーー」


 なんかみんながジュースの入ったピッチャーをアンナに持っていき、注いであげてる。アイデラの時とずいぶん違う対応だ。初めてとそうでない差?


「勇気出して偉い!」


 クラリベルがアンナの頭を撫でる。

 アンナの顔がくしゃっと歪む。

 みんなで肩を叩きながら、また話を変える。


「オスカーは2年生に告白されてたよ。くるくるの巻げのお嬢さまに」


「アダムもお姉さま方からも後輩からも告白されてたよ。女の子たちリディアのこと睨んでた」


 え。


「私も見た。だからさっき聞いたのよ。リディアはどう思ってるのかと思って」


 忠誠を君に。そうわたしを見上げたアダムを思い出す。

 わたしはアダムをどう思っているんだろう?


「思うっていえば、ニコラスってダリアのこと好きだよね? 告白されなかった?」


「え、ニコラスはキャシーを好きなんじゃないの」


「え? ニコラスはロレッタじゃないの?」

 

 言われてダリアとキャシーとロレッタが顔を見合わせてる。

 そう言われても困るよね。当人から言われたわけじゃないし。


「ニコラス、気が多すぎ!」


 とケイトが笑ったので、みんなも笑った。

 いや、本当のところニコラスが誰かを好きなのかも知らないけどさ。

 一通り気になっていたことを言い合ったのか、口を開くより、お菓子に集中し出した。

 夕ご飯もいただいたし、チョコフォンデュもボリューミーだから、お腹いっぱいなのに、みんなと一緒という魔法がかかるのか食べてしまう。手が止まらない。


「そういえば、ライラとケイトは何を慌ててたの?」


「その上着で隠しているのは何?」


 目敏くマリンが尋ねる。


「実はね、私たち掃除をしている時に見つけちゃったの」


「見つけたって何を?」


「〝禁断の書〟を」


「禁断の書?」


「5年生が卒業する前に4年生にだけ時間をとって教えることがあるんですって。その手引書を見つけてしまったの!」


「読んだの?」


「最初のページだけね。みんなも興味あるかと思って、持ってきたの!」


「どう? 興味あるでしょ?」


 禁断と言われたら、そりゃ知りたくなるのが人情ってものだろう。

 興味がないといえば嘘になる。


「気になるといえば気になるけど」


「そうでしょ? ほら、みんなで見ましょう!」


 ジョセフィンと目があった。

 これは〝怒られる時はみんなで〟作戦だね。と瞳で通じ合う。


「で、禁断ってなんのことが書いてあるのよ?」


ねやの作法ですって」


「閨の作法?」


 ダリアが首を傾げる。


「夜のことよ」


 と言ったのはチェルシー。


「だから、子供の作り方ってことよ」


 マリンがズバリ言った。


「ドーン寮に伝わってるのよね? 貴族じゃないのに、子供の作り方に作法があるの?」


「さぁ? 読めばわかるんじゃない?」


 そう言われて、みんなで一冊の本を覗き込むようにした。

 ライラがページをめくる。

 本当だ、〝禁断の書〟とタイトルがあり、閨の作法とサブタイトルがある。

 その下に、子供の書いたような文字。


 D組女子に贈る指示書。5年生は卒業する前に4年生へと引き継ぐこと。と書かれている。


 次のページだ。

 猫足バスに女性がくつろいでいるイラストが描かれている。


 ページをめくる。


 お風呂に入る前に済ませること

・爪は短く切りそろえる

・無駄毛は処理する

・うぶ毛を剃る

 いちいちイラスト入りで解説してある。


 次はお風呂だ。

 隅から隅まできれいにすること、とある。

 もちろんイラストと解説入りで、わたしたちは言葉を失くす。


 お風呂を出てから。

 香油を塗り、肌に艶を出す。

 体が火照った時に香るぐらいのものがちょうどいい。

 お化粧は汗などで崩れないように。又はお化粧自体をしないこと。

 爪はやすりをかけて、引っ掻いても傷つけることがないようしておくこと。


 ?


 下着は新しいもの。

 着飾る。

 相手の好みに合わせると尚いい。

 イラスト付きで、細かに解説があり、なかなか親切だ。


 挨拶、それから軽い食事と、難解な指示。

 ある適度に気の利いた会話をするよう書かれていて。ボディータッチをしてこちらはいつでもオッケーよとさりげなく伝えることをいいとしている。

 なんじゃそりゃ。

 おお、やっとベッドの項目に辿り着いた。


 次のページからだ。

 誰かの喉がなった。

 


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― 新着の感想 ―
ニコラス、女性に優しいだけかもしれないのにこの言われよう。 平民だと経験済みの子もいるんじゃ?と思ったけどフランツも緩そうな発言してたし貴族もいるのか?13歳だけど…
リディア視点だとたしかになんじゃそりゃとなるかもですが純粋培養された貴族の女の子からすれば赤面ものなのでは。 とはいえDクラスは平民も多いですし大半は笑って読んでいそうですね。
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