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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
17章 わたしに何ができたかな?

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第887話 忍び寄る悪意⑩心当たり

 ロビンお兄さまが心配なので、家族と魔導騎士クラブの控室に行くことにした。アランお兄さまはクラスの当番とのことで、控室にいく前に別れる。


「お兄さま!」


 お兄さまは爽やかな笑顔。みんな揃ってどうした?って感じだ。


「ロビン、怪我はない?」


 お母さまがお兄さまの手をとる。


「これくらい大丈夫」


 お兄さまはニッと笑う。


「無事でよかったが、心当たりは?」


 お父さまの問いかけに、ロビンお兄さまは微妙な顔をする。


「アランは?」


 それには答えず、さっきまで一緒だったよな?と確かめられる。

 クラスの当番で別れたといえば、表情が固くなった。


「父さま、ちょっといい? みんなは座っててくれる?」


 と少し離れたところで、お父さまと話し出した。


 演武は文句なくカッコ良かった。侵入者がいらなすぎたけど、逃げていったら、そこから続けようとしたロビンお兄さまが、さらにカッコ良かったという話をした。クラブには5年生もいるだろう。5年生にとっては最後のクラブ活動の見せ場だ。それを侵入者により、中途半端なところで演武をやめてたら、悔やんでも悔やみきれない。

 でもアクシデントを乗り越えて、みんな最高の演武だった。ほんと素晴らしかったと思う。


 お父さまは、ロビンお兄さまと学園に話すことがあるからと踵を返した。

 急いでいるみたい。言葉はそれだけで、説明はなしだ。

 残されたわたしたちは顔を見合わせる。

 お母さまが、では見たいところ、行きたいところに行きましょうとわたしたちを促す。喉が渇いたのでカフェみたいのに行きたいねと話が流れた。


 わたしはクラスの当番の時間まで、お母さま、エリンちゃん、ノエルくん、そしてアダムと一緒に生徒会のカフェに、その道すがら見られる各クラスの出し物を見て回ることにした。

 カフェではエリーがウエイトレスをしていたので、お母さまに紹介することができた。王都の家に何度も、エリーは来てくれたことがあるみたいだ。お母さまは領地にいることになっているので、会うのは初めてだとか。下の双子も紹介する。家族っぽい気がして、なんか嬉しい。


 わたしはクラスの当番に向かうため、そこで別れた。ちょっと早めだったけど、浴衣にも着替えないとだし。

 それにしてもあんなことがあったのに、何事もなかったように学園祭が続行されていることに驚きだ。昨日のも侵入者といえば侵入者だったけど、声をかけられただけだ。ロビンお兄さまは剣で攻撃。誰が何をするつもりだったのか。

 お父さまやお兄さまは何か思うことがあるみたい。後で聞きたい。教えてもらえなかったので消化不良だ。


「アダム、どうかした?」


 口数が少ない。


「ん? 狙いが外れたのかと思ってね。いいことなのか、よくないのか……」


 アダムは腕を組み、ため息を落とす。


「何言ってるか、さっぱりわからないんだけど」


 この上アダムにまでわからないことを言われると、消化不良どころじゃなくてお腹を壊しそう。

 わたしはわからないと言ったのに、アダムは笑顔になる。


「リディア嬢。姿が見えなくても、僕は近くにいるから心配ないよ」


 耳にこそっと呟く。

 え?


「お遣いさま」


 もふもふに視線を移し、ペコっとする。


「気になることがあるから、ちょっと外すよ。その後、教室に向かうから」


「? わかった」


 アダムに手を振る。

 どういうことだろう。近くにいる。でも教室で合流すると言って離れて行った。

 誰かにわたしと離れたとみせるため?


「もふもふ」


 不安になって手を出すと、もふもふが胸に飛び込んできた。

 あったかい白いもふもふを、ぎゅっとして匂いを嗅ぐ。

 おひさまの匂いだ。あったかい日向の匂い。外に干して乾いた洗濯物の匂い。

 ここは学園。わたしの魔力が馴染んでいる。人だっていっぱいいるし。もふもふがいる。ガーシたちだって近くで守ってくれてる。


 歩き出す。

 廊下は左側通行だ。人の流れもそうなっている。

 なんとなく前の人たちが端に寄ってる。っていうか、向こうからくる何かを軽く避けている感じ。

 その避けられている何かが見えた。4年B組のならずものだ。ロビンお兄さまに対処してもらった人たち。


 わたしの前で、お兄さまに飛び蹴りされた人だけが止まった。他のつるんでた人たちはそのまま歩いていく。


「昨日は悪かったな」


 極まり悪げに言って、もふもふを抱えるわたしの手に何かを押し付ける。

 え?

 耳飾り?


「アランのだ。ひとりで来てくれ」


 声を小さくして、すがるようにわたしを見る。

 ガーシとシモーネが、わたしの後ろに立ったのを感じる。


「謝りたかったんだ。許してくれるなら、少しでいい一緒に歩いてくれないか。仲直りしたとみんなにわかるように」


 これ、脅迫だよね? アランお兄さまを預かっている。ひとりでついて来いっていう。

 アランお兄さまは頭脳派だけど、ちゃんと強い。ダンジョンに行った時、魔物を難なく倒していた。そのアランお兄さまが捕まっているのに、わたしひとりでどうにかできるもの?

 近くにいる……アダムの言葉が蘇る。


『我がいる。恐るな。それに学園内でお前は誰より強くなれる』


 もふもふが尻尾をわたしの腕に沿わせてくる。

 大丈夫だ。みんないる。わたしはひとりじゃない。

 わたしはガーシたちに向き直る。


「少しだけ一緒に歩く」


 ガーシとシモーネは、4年生にチラッと目を走らせてから、手を胸にやって首を垂れた。


「何が目的?」


 わたしは進行方向を見ながら、隣を歩く4年生に尋ねた。

 


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― 新着の感想 ―
記憶のないリディアは仕方がないとして、ロビンも前将軍たちに会ったこと伝えてなかったのか…もしかしてアランにも伝えてない?お爺さんの行動力が早いにしても遭遇後急いで会いに行くなり伝言頼むなり時間あったた…
アランの方を人質にとってきましたか。 この男子も何か耳心地がいいことを言われて手を貸しているんでしょうけど貴族なんだから後々のことを考えて行動して欲しいですね。
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