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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
16章 ゴールデン・ロード

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第789話 敵影③あってはいけないこと

 子供たちに指示を出し、アオたちに子供たちを守るようにお願いする。


 フォンは切り、そして次にblackのシゲさんにケータイをかける。

 闇仕事人の相手をするとなると、blackの人たちが最適という気がした。

 わたしは事情を話し、彼らを助け出したいんだと相談する。


「若から、嬢ちゃんの依頼は最優先してくれって言われてるからな。嬢ちゃんは現場に来ないでくれ。俺たちが殺されるから」


 え、兄さまってば、blackに何を言ってるの?


「王都の家に連れて行けばいいんだな? 子供は5人、心得た」


 そんなわたしの心の葛藤に気づかず、シゲさんは快く引き受けてくれた。

 連絡を入れておいてくれた、兄さまにも感謝だ。


 続けてアルノルトに。明日子供5人が行くから、裁判まで匿うことをお願いする。

 あとは父さまと相談だね。


 忙しいのはわかっているけど、ハウスさんに頼んでルームに来てもらった。

 父さまにヴェルナーについてわかったこと、それからこれから起こるだろう推測できることを話した。

 途中から父さまは腕を組み眉根を寄せながら聞いていた。


「リディー、ここからは父さまに任せてくれるか?」


「父さま、わたしは領地で無敵よ。町にいたい」


「駄目だ。リディーは町外れの家にいなさい」


「ヴェルナーはどんなふうに仕掛けてくるかわからない。町にいればわたしが抑えられる」


「リディアにはやることがあるだろう? 北の聖域で待つとグレナンの生き残りに布告してある。リディアはそちらに全力であたりなさい。

 それから、魔具の威力を微々たるものにしたのは上出来だ」


 父さまに頭を撫でられた。

 でも、わたしが町にいるのは許されなかった。


 気持ちを切り替える。

 ヴェルナーの企みについては、父さまたちに任せよう。

 わたしは、いつでもナムルの考える〝聖域〟に行けるようにしていたし、ハウスさんにも領地に気をつけてもらっていた。




 次の日、アオから連絡が入る。

 ヴェルナーが闇ギルドを訪れ、子供たちの作った魔法玉を持ち帰った。

 それを確認したblackがギルドに入り、子供たちを連れ出す。アオとクイは子供たちと一緒に回収。王都の家へと運ばれた。

 ベアは、レオとアリに合流し、ヴェルナーの動向を見ていてくれる。


 blackは子供たちを保護したところで、騎士にあそこの地下で悪いことやってますと通報してくれた。例の山崩れを起こした魔具はあそこで作られたようだと。

 騎士たちは魔石の数々と、男たち数人を捕まえた。

 もちろんそれだけで、山崩れの証拠としてはなり得ないが、これからヴェルナーが同じ出どころの物を使ってウチを攻撃してきた場合、今回の攻撃、そして山崩れのことへの立証につながると思っている。


 ヴェルナーは速配を頼んだ。その先がフォルガードだというから、わたしは急いで、父さま、ウッドのおじいさまに連絡をした。それからロサに頼んでフォルガードの第5王子・ラストレッド殿下に連絡を取ってもらい、現地のわたしの店への警護などをお願いした。


 領地に仕掛けてくると思っていたのに、ヴェルナーが魔石を送ったのはフォルガードだった。フォルガードにはRの店がある。威力は抑えたものにしてあるとはいっても、店で玉がブレイクしたら、従業員やお客さんが怪我をするかもしれない。危険物が送られた可能性があると店のマネージャーに伝えたので、開けたりはしないけど。遠くから操作されてブレイクしたら困るので、魔法士の対応をお願いした。

 打てる布石は打った。

 あとはどう仕掛けてくるか、ヴェルナー次第。


 ヴェルナーが動き出した。〝北〟に向かいだしたという。

 ヴェルナーがこちらに向かっているとして、到着するのは早くて8日後だ。

 他の人を動かし、自分の手は汚さないイメージがあったので、変だとは思ってた。ただヴェルナーは最低でも8日は来ることはないと思っていたから、多少の油断はあったかもしれない。


 ハウスさんからミニーが来たと報告を受け、わたしは家から飛び出した。

 わたしが町に行くのは普通にあることだけど、ミニーがここまで来るのはなかなかないことだからだ。


「ミニー!」


 走り寄る。ミニーは泣きそうな顔をしている。


「ミニー、どうしたの?」


「リディア、どうしよう。あたし、どうしたらいいのかわからないの」


「落ち着いて、お茶を用意するわ」


「リディア、外で話を聞いて。誰にも言わないで」


 わたしはミニーを安心させるために、うんと頷く。


「どうしたの、ミニー?」


「リディア、見られているの。ゆっくり、何もないように歩いて」


 !

 探索を使う。近くに知らない人の点があるが、赤い点ではなかった。


「アプリコットが人質に取られてる。あたしはリディアを呼んで来いって言われたの。ごめん」


「どこに?」


「川の近くにある小屋」


 探索の範囲を広くすると、川原に知っている人、知らない人の点が現れた。

 ミニー以外に3人の人がいる。


「ミニー、もふさまを抱っこして」


「え? ええ」


 ミニーは立ち止まってもふさまを抱っこした。

 わたしは心の中で呼びかける。


ーーハウスさん、聞こえる?


『マスター、聞こえます』


ーー川岸にある小屋に、人が何人いるかわかる?


『…………ふたりです。ひとりは成人した男性。ひとりは少女、シュタイン領のアプリコットです』


 ハウスさんはさすがだ。知っている人なら、誰だかもわかる。


ーーどんな状態? アプリコットは縛られたりしてる? 男性はアプリコットの近くにいる?


『男性は小屋の中を歩き回っています。アプリコットは手足を縛られて椅子に座っています。マスター、3時の方向の木の影に男が潜んでいます。マスターたちの様子を見ています』


ーー父さまに連絡を取って、この状況を伝えて。それからレオに連絡を取って、ヴェルナーが今どこにいるかを探ってちょうだい。


『YES、マスター』


「ミニーどうしたっていうのよ? そんな焦らなくても、小屋は逃げないわ」


 そうよ、ヴェルナーは自分の手を汚さない人。

 なんで彼が来ると思ってしまったんだろう?

 彼は全てをなかったことにしようとする人だ。

 男2人の制圧と、アプリコットの救出。どちらもハウスさんだけで十分足りるけど、何か奥の手を持っているかもしれない。

 うかつに動けない。


 レオがケータイをすぐ取れるといいんだけど……。


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― 新着の感想 ―
まあ、取るよね人質。 このしょっちゅう言っちゃう無敵発言いつか痛い目見そう
リディアが領地で無敵となるとやっぱり周りから攻めて来るんですね。 もしかしてこれまでにも似たようなことはあったりしたけど未然に防いでいたりしたのかな?
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