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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
16章 ゴールデン・ロード

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第751話 冒険者の仲間入り②天賦

 ん、でもなんか変。もしかして。

 わたしはもふさまを抱き上げた。耳に小さい声で尋ねる。


「もふさま、わたしたちって誰かにつけられていた?」


 探索で近くにガーシ以外、赤い点も他の色の点もはなかったけど。

 もふさまは頷く。


『ああ、護衛たちがこのごろ片付けてるな。リディアが気づく前に』


 なんですとー?

 それも()()()()って言った。

 ひょっとして、シモーネの訓練ってそれ?


「探索、壊れちゃったのかな? 点は近くに見えなかったけど」


『かなり離れた場所で狩ってるからじゃないか?』


 え、そうなの?

 わたしはガーシを見上げる。


「父さまの指示?」


 と尋ねると、思い当たったのだろう、彼はポリポリと頭をかいた。


「まったく勘がいいんだから」


 そっぽを向いて、そう呟く。


「ジュレミーからは護衛しか任されてない。俺の考えだ。いち姫は知らない方がいいと思った」


「それはわたしが弱いから?」


 ガーシがしゃがんで、わたしと目の高さを合わせる。


「なぁ、姫さん。俺はいち姫が弱いとは思っていない。けど、いち姫は13歳の伯爵令嬢だ。できるだけ、何もない方がいいと思わないか? それが事故で、思いもよらず起こったことなら、仕方ないと思う。けどよー、今いち姫に注目している(やから)はそうじゃない。いち姫を傷つけようとは思っていないけれど、どれだけコマになるか、いち姫が守ろうとするものは何か、探る目的の奴が多い。そんなのといち姫がいちいちやりあわなくていい。いち姫は俺らの大将なんだから」


「わたし、……大将なの?」


「姫っつったら(かしら)じゃねーか」


 もふもふ軍団だけでなく、ここでも頭なのか。


「だからな、リディア姫、大将らしく雑魚のことは、下のもんに任しとけ。そのかわり、俺らでも止められないような強いのの相手は、いち姫がすることになるんだ。心しとけ!」


「じゃあ、大将として言わせてもらう。怪我しないで。もし怪我をしたら絶対わたしに言うこと。母さまに治してもらうから」


 母さまに一緒にいてもらって、わたしが治す。

 わたしを守るために、していることだから。

 ガーシはわたしに頷いた。


「御意」


 御意って何よ、全く。


「いち姫、肩車してやろうか?」


「いいです。いくつだと思ってるのよ、わたしのこと?」


 ガーシとやり合っていると、あっという間に順番が来た。

 ガーシがカードを見せて、わたしも今日は冒険者カードを見せた。

 犯罪歴がないかを魔具にて検査をし、簡単なやりとりでモロールに入る。


「屋台で買って広場で食べましょうか」


 ガーシの提案に頷く。

 串焼きはマストだ。サラダとスープ。パンは持っているのから出そうかな。

 いっぱい買って、広場で広げる。

 周りに誰もいないから、もふもふ軍団も解禁だ。

 ガーシは周りに目を配りながらも、もふもふ軍団の様子を楽しそうに見て、自分も食事を取っている。


「ガーシから見て、アラ兄やロビ兄は護衛ができそうなの?」


「腕っぷしに関してはいいところまでいくと思いますが、相手が人となった時にどこまで真剣でやりあえるかは、おふたりの心次第ってとこですかね。まあでも本能がありますから、自分がやられる前に、相手を攻撃すると思いますよ。なんですか? 護衛に行ったふたりが心配ですか?」


「……ガーシたちは、わたし目的で近づいてくる人たちを排除してくれてるのよね? そういう人がいるのなら、兄たちにも寄ってくる人がいてもおかしくないと思って」


「それは護衛自体が、おびき寄せられているとお思いで?」


 わたしは上目遣いにガーシを見た。

 ガーシは頭をかいた。


「ギルドには、長期の依頼をしてありますから、目を光らせています。だから大丈夫です」


「それって」


「事情を話してあります。ギルドからのお達しで、いち姫の加護のことは元々知っていたようですし、それに付け足しただけです。

 その加護を知ろうとして、周りのものを攻撃する輩が出てくるかもしれないとね」


「わたし、いるだけで周りに迷惑をかけて、ガッチガチに守ってもらっているんだね」


 そしてそんな無茶ができたのも、わたしが貴族に生まれついた娘だから。


「あんな、いち姫。俺は生きるってことは天賦の役割を(まっと)うすることだと思う。俺は身体能力が少しは高いし、その力で何かを守ることができると思っている。だから俺は俺の守れるものを守る。

 いち姫に与えられた天賦はもう少し大きなものなんだろう。大きなものを守ることができる。でもそれは誰も代わってやれない。だからな、いち姫も申し訳なく思うんじゃなくて、自分の守るべきものを守れ。

 いち姫が倒すべきものは、いち姫しか渡り合えないんだから」


 もふさまやもふもふ軍団もガーシを見つめていた。


「わかった。そうする。ありがとう」


「よし、じゃあ、討伐に行くか」


 ランチのために広げたものを片づけ、モロールからでる。西の森に入っていく。


「いち姫、あれじゃないか?」


 森の中の少し開けたところに、もこもこした山型に盛り上がった草がぽこぽこある。

 わたしは鑑定ができるけど、一応ギルド内にある図書室で魔物図鑑を見てきた。

 もっとシュッとした感じで花が咲いてる絵だったぞ。このもこもこが育つとそうなるのかな? その絵の感じでは、ツルを伸ばしてくるというのがわかる感じだったけど、今目の前のそれは〝ちまっ〟と丸まっていて、これがツルを伸ばしてくるとは思えなかった。

 せいぜい膝下だもの。これが植物じゃなくて魔物だなんて。


「図鑑で見たのと違うわ」


「へ? でもこれ植物じゃなくて魔物だぞ?」


 わたしには草にしか見えないけど、ガーシはこれが魔物だってことはわかるのね。依頼のあった西の森で数体の植物の魔物。だからこれがカモミンだとガーシは結論づけたのだろう。


 鑑定。


ーーカモミン:植物の魔物。花に擬態し、近づいてきた獣や鳥、人などがくるとツルを伸ばして巻きついて動けなくし、養分にする。球根が急所。幼体の時点で刈入れ、乾燥させると柔らかい繊維となる。


 花に擬態してないけど? きっとこれ、幼体なのね。

 ま、いいや。


「さて、どうする?」


 ガーシがニヤニヤしながらわたしを見た。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 探索はまだ弄らないのかな?シモーヌたちがマップ外で対応してるってことは相手側もリディアの探索範囲外から監視したり手を出せる術がありそう。 [一言] トラブル体質だからリディアを一人にす…
[一言] ちょっとネガティブモード入りそうだったけどガーシがナイスフォロー。 リディアにはリディアのやるべきことがありますからもっと周りを頼ったほうがいいですね。 カモミン、幼体は繊維として使えるみ…
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