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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
16章 ゴールデン・ロード

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第720話 デビュタント⑧派手だね

「次々となんだ、お前は誰だ?」


「俺はガイン・キャンベル・ガゴチ。リディア嬢に婚姻を申し込んでいる者だ。未来の婚約者を貶めることを言ったな。謝罪を要求する」


「ガ、ガゴチ?」


 モーリッツ・ヴェルナー氏は目を見開く。


「……侯爵さまも人が悪い。14歳の落ちこぼれというから引き受けてもいいと思ったが、こんな幼くしてすでに男を複数たらし込んでいるとは! とんだ出来損ないを引き受けるところだった!」


 モーリッツ・ヴェルナー氏は憤慨している。


「あんたみたいのに大事なリーは絶対やらない。あんたにやるぐらいなら、おれがリーと結婚して一生守る!」


「はー? お前は兄だろ? 何言ってやがる」


 胸をそらしていったモーリッツ・ヴェルナー氏をロビ兄は鼻で笑った。


「シュタイン家から出て、養子になる。そうすれば、おれはリーと結婚できる」


 手続き上は可能だ。


「そんなの許されるわけがないだろう?」


「あんたに許してもらう必要なんかない。リーが幸せであればそれでいいんだ。あんなのと一緒にいるより、おれとの方がいいよな、リー」


 まあそれはそうなので頷く。


「ちょっと待った。そのおじさんと一緒になる必要はないと思うけど、兄妹より、俺が相手の方が断然いいだろ?」


「リーは再三、断っている」


 なんかロビ兄とガインの言い争いになってきた。


「俺ならリディア嬢を権力からも守れるし、彼女の能力を遺憾なく発揮させることもできる」


「おれがお前とリーの婚姻に反対する理由は、お前がガゴチの若君だからじゃない。お前はリーを〝使う〟ことしか頭にないからだ」


「……それは誤解だ。彼女の生き方を尊重するだけだ」


「いいや、お前は頭の中で計算している。誰だってそういうところはあるけれど、お前は頭が良すぎるから完璧になって、いずれリーを動かすようになっていくだろう。お前が望むのは〝使えるリー〟だ。それはリーの幸せにはならない。だからおれは反対する!」


 ロビ兄はそんなふうに考えてくれてたんだ。

 ガインは口を開きかけたけど、沈黙した。

 ロビ兄は兄さまをキッと見上げた。


「兄さま、おれは兄さまだから、リーを預けてもいいと思ったんだ。それがなんだよ。侯爵家の事情なんか知らねーよ。けど、兄さまがもたもたしてるから、リーがこんな理不尽な目に遭うんだろ? 男なら腹くくれよ。できないなら、リーを欲しがるな!」


 兄さまはロビ兄に向かって手を胸に当て、首を垂れた。

 そしてわたしに向き直る。


「本当にそうだね。君のお兄さんのいう通りだ」


 兄さま……。

 兄さまはわたしの前で跪いた。そしてわたしの手を取る。


「リディア嬢、私はあなたが好きです。強いところも弱いところも、あなたの全てが愛おしく、愛しています。

 私は今は侯爵の地位を賜っていますが、いずれ当主を降りるつもりで、その後のことは決まっていません。私が何者になるかは決まっていません。ただひとつわかるのは、私が何者になってもあなたを愛し続けることだけです。今までどんなことがあっても、それだけは変わらなかったように。

 こんな私ですが、あなたとこれから一緒に時を刻みたい。そうするためのできることはなんでもします。

 どうか、私と婚姻を結んでください」


「いいの? 一緒に歩んでいくのが、本当にわたしでいいの?」


 兄さまは、わたしの爪の先に口を寄せた。


「私が何より望むことです」


「わたしも兄さまと一緒に、時を刻みたいです」


 兄さまが立ち上がり、わたしを抱きしめた。

 わたしもギュッと抱きついた。本気で。


 ……と拍手が聞こえた。拍手に包まれる。

 演奏よりも大きな音となって。

 え?

 と我に返る。ここは王宮のパーティー会場!

 デビュタントの真っ只中!


「おめでとう」

「おめでとうございます!」


 会場からお祝いの言葉が届く。

 これって、公開プロポーズであり、それを受けたことになる?


「全くお前たちは派手だなー」


 そう言いながら、笑ったのはイザークで、


「おめでとう」


 ロサが華やかな笑顔で祝福してくれる。


「ありがとうございます」


 兄さまはわたしと手を繋いだまま、皆さまにお礼を返した。

 みんなの前で兄さまに抱きついちゃった。

 と視線をあげれば、父さまが泣きそうな笑顔でいた。

 親戚の皆さまも温かい笑みを浮かべている。


 ガインとお付きの人はいなくなっていて、モーリッツ・ヴェルナーも姿が見当たらなかった。


「ロビ兄、ありがとう」


 こっそりお礼を言えば、ティアラを気にしながら頭を撫でられる。


「リーが幸せならいいんだ」


 というから、わたしは言った。


「ロビ兄も幸せでいてくれないと、わたしは幸せじゃない」


「ふっ。リーが幸せであるのが、おれの幸せなんだ」


 そう言って、父さまのほうへ歩いていった。


「後で、皆さまに正式にご挨拶するよ」


 兄さまに言われて、わたしも頷く。


「わたしも兄さまの親戚にご挨拶に行かなくちゃね」


 そう笑いかければ、兄さまも笑った。

 と、なんでもないフリをしているが、せっかくきれいにお化粧したのに顔は茹でたこだと思うし、気持ちがうわっついている。

 嬉しいのと、少し恥ずかしいのと、やっぱりすっごく嬉しいのとで、ふわふわしている。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 双子兄は実子として籍に入れてた気がするけどユオブリアの法だと同父同母の兄でも他家に養子に出せば近親婚出来るんですか? [一言] ガインは図星だったのかな リディア良かったね。こんなに…
[一言] ロビンの言葉、ガインには結構刺さったようですね。 何か焦りみたいなのも感じるので少し冷静になって欲しいです。 約束の期間には少し早いけどプロポーズ大成功! このままだとリディアは侯爵家入り…
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