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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
15章 あなたとわたし

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第642話 協力者と思惑③同一犯?

 兄さまは少し考え込んだ。


「そうですね。芝居により、民衆の間ではメロディー嬢の好感度があがっています。こんなことは言いたくありませんが、もしお嬢さまが猫のまま自身の潔白を証明できない場合、大衆はメロディー嬢を陥れられた令嬢と捉え、第1王子の婚約者に返り咲くこともあるやもしれません」


「不正をしたのに?」


「金銭は返しているし、陥れられたとすれば、そんな計略に乗ってしまった愚かさはありますが、令嬢自身は悪い心根の持ち主ではないと思って、民衆は応援するでしょう。ましてや嫁ぎ先は、2年後に幽閉される王子。お互いを思いあっていて、だから起きた不祥事だとすれば、ふたりを引き裂くべくではないという考えが強くなり、そうなるかもしれません。

 でもこうしてお嬢さまが生きていることを伝えた今、次は人型に戻れることを知らしめ、あんな噂は事実無根だと証明すれば、そんな噂はすぐに消えます」


 兄さまをクラウスさまと結びつけることは、罪を着せたり、いくつかの思惑が考えられてくるから、利を得る人も複数考えられるけど。

 わたしが呪われた場合の利は、探すのが難しく、なんていうか、兄さまでも無理やり出したような、メロディー嬢のことしか思い浮かばないようだ。


 そうなると、わたしがいなくなることで得をするのは、やっぱりメロディー嬢? でもメロディー嬢は、アダムのことが特に好きではなかったと思うんだけど……。堂々巡りだ。


 ……兄さまがクラウスさまだと言われた時、最初はわたし、メロディー嬢が何か仕掛けたんだと思った。

 わたしが兄さまの婚約者になったから。彼女の居場所を取ったから、それで憎まれていたのだと思った。だから、その兄さまを取り上げるために、クラウス・バイエルンだと証明したのだと。


 ……けれど。

 彼女は最後に、わたしに学園に来て欲しくなかったと言った。会えば憎んでしまうとわかっているから、と。なんで会う前に憎んでしまうとわかったのかを尋ねれば、わたしがメロディー嬢の大切なものを奪ったからと言っていた。

 奪ったとは、兄さまというメロディー嬢の最初の婚約者のことかと思ったけど、どうやらロサのことのようだった。ロサを奪ったりもしていないが、ロサがメロディー嬢の唯一の光だったのは、その通りだったのかと思う。


 ロサはその前までメロディー嬢を思っていたと思うけど、きっと大きくなるにつれて、彼女が義兄の婚約者であることを理解したんだと思う。

 それでメロディー嬢が大切なのは変わらないけれど……、その変化はメロディー嬢にとって、絶望的なことだったのだろう。そしてそう心が動いたのは、わたしのせいだと思ったということだ。そのあたりから、領地を潤す約束をして、定期的に会っていた。もちろん兄さまたち込みだけど、メロディー嬢はわたしが肝だと思ったんだろう。


 彼女は忘れないでと、にっこり笑った。


ーー同じことが起こっても同じ行動を選ばない人だけが、その行動をした人を責めることができるのです。あなたが私と同じ道を選ばないことを、心からお祈り申し上げますわーー


 同じこと、わたしは商会が潰れたことだと思った。商売がうまくいかなくて、その原因と思われるわたしを叩きたかったのだと。わたしの商売がうまくいかなかった時、その原因であることを叩かないでいたら、初めてメロディー嬢とわたしの選ぶ道が違うといえると、そう言われているのだと思った。


 だけど、仮定が違ったのかもしれない。メロディー嬢は婚約破棄のことを言っていたのかもしれない。婚約破棄をされてもその原因をわたしが憎まずにいられるのなら、初めてわたしはメロディー嬢と同じ立場になり、責めることができるのだと。

 ねぇ、メロディー嬢、あなたはそう言いたかったの?

 わたしが婚約破棄をされて、原因を責めずにいられるかどうか、確かめたかったの?



「……私たちの敵が、同じ可能性も出てきましたね」


 兄さまは調理器具を洗い終えると、ため息と共に言った。


 そう、その可能性も出てきた。

 キリアン伯とバイエルン侯が乱入してきて、兄さまがクラウスだとかましてきた。あれは別物だと思っていた。

 パーティーはウチの親戚が浮かれて決めたことだし。クラウス疑惑はメロディー嬢のような過去にクラウスさまと親しかった人しか、気がついても言い出すようなことではないからだ。それをいい機会だと利用されたのだと思っていた。


 けれど、フォークリング社のオファーから目をつけられていたのだとしたら、パーティーのアレから仕組まれていたと認識を変えた方がいいだろう。

 土地買い=兄さまを犯人に、の人たちと、わたしを亡き者にしようとした呪術師を含んだ集団、これは別物だと思っていた。目的が2つだと思ったから。

 でももしかしたら、目標はひとつなのかもしれない。

 わたしを亡き者にするか、兄さまを罪人にするか。その過程でどちらかが巻き込まれたのかもしれない。あのパーティー、わたしの物語を本にするオファーがあったところから仕組まれていたのだとしたら、……わたしを呪うことが本命だったのかな?


 そしてその黒幕がメロディー嬢? まさか。

 敵のことは何度も何度も考えてきた。フォークリング社も敵だったという新たな情報を踏まえて、もう一度考えてみたけれど、決め手になるような考えは浮かばなかった。


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― 新着の感想 ―
[一言] コーデリアはリディアに生きたまま苦しんでほしいタイプだと思うから呪いとは別口っぽいと思うな。 それぞれ本命の思惑は別にあるけど繋がってるパターンかな?
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