表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
14章 君の味方

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

587/1171

第587話 ある意味モテ期⑨トカゲ出会う

 茶色のトカゲについて行くと、ある部屋の天井に隙間があって、そこからさらに上にあがっていった。光の入らない天井裏は薄暗かったのに、下の方にいくつもの光があってビクッとする。

 近づいていくと、それはトカゲたちの目ということがわかった。


「ぴー」

「キュー」

「ピッ」


 ヤバイ、トカゲいっぱいいた!

 いっぱい鳴いている、けど、何を言っているかはわからない。

 トカゲたちの間ではわかっている感じだ。


 前の方にいたトカゲたちもどんどん振り返って、すっごい見られている気がする。

 みんなは茶色いトカゲだから、わたしだけ色違うしね。


 多分助けてくれた濃い目の茶色のトカゲと、細長の目のトカゲがわたしに近づいてくる。


「助けてくれて、ありがとうございました」


 わたしは大きな声で告げた。

 副音声のように少しズレて、ぴーってわたしの鳴き声が耳に届く。


「ピュッピュ」

「キュー」


「すみません、なんて言っているのかわかりません」


 そう告げると、顔を見合わせている。

 そしてなんか会議が始まった。

 言葉があるのかはわからないけれど、なんか鳴きあっている。


「あのぉ、わたし仲間のところに戻りますね。ありがとうございました!」


 そう振り返ると、濃い茶色がわたしの前にサッと来た。

 そしてみんなになんかを言うと、ついて来いとでも言うように、わたしの前を走った。濃い茶色は時々振り返って待っていてくれた。わたしは走るのがあまりうまくない。

 濃い茶色は、わたしが同じルートを辿れなくて戸惑っていると、戻ってきてくれて、わたしでも行けそうなルートに変更してくれる、親切なトカゲだった。

 ただついて行ってしまったけど、いくつかの部屋を通り過ぎると、そこはわたしたちが拠点としていた部屋の天井裏にたどり着いた。

 そこを降りれば着くだろと言いたげにひと鳴きすると、トカゲは去って行った。


「ありがとう」


 背中に呼びかける。

 すると下から


『リディアか?』


 ともふさまの声がした。

 わたしはもふさま目掛けてダイブした。

 壁を伝って降りるより、よっぽど早い。


『ボイラー室にいたんじゃないのか?』


 ここは3階だ。ボイラー室は1階なのに上から降りてきたから不思議に思ったんだろう。

 レオに聞かれて、わたしはあったことを話した。


『だから大掃除が始まったのか』


 アリの言葉に首を傾げる。


「大掃除?」


『農場全体で掃除が始まったよ。生き物がいたら、その巣穴を探せって息巻いてる』


 げっ。わたしが見つかったせいで、ここに住む生物に迷惑を掛けてる!

 そう嘆くとアオ が慰めてくれる。


「みんな素早いから大丈夫でちよ。見つかる鈍臭いのは、リディアぐらいでち」


 うっ。その通りだけど、容赦ない。


『アオ、真実は人を傷つけるらしいぞ』


 レオは突っ走りがちなところはあるけれど、心の機微には敏感だ。


「え? リディア、ごめんでち。傷ついたでちか?」


「いや、いいんだよ。本当のことだから」


『それはそうとして、そのジャックってのが魔力高かったやつだろうなー。ここの倉庫に仕事の何かが残っているんだな? それは手掛かりになるんじゃないか?』


 レオの言う通りだ。


『カザエルってのは恐れられているようだな。何か知っているか?』


 もふさまに尋ねられて、わたしは首を横に振った。

 国か地域の名前だと思うけどと推測を言う。

 とりあえず、その大掃除が終わってから、倉庫を探ってみようということになった。でも、その倉庫もどこにあるかはわからない。用途のはっきりしない部屋を、全部チェックすることにしたけれど、そうなるとすっごい時間がかかりそうだ。時間はいっぱいあるからいいんだけどね。

 ってな話をしている時だった。

 みんながピクッとして天井を見つめる。


「どうしたの?」


 もふさまにピタリとくっついたまま、わたしは尋ねる。

 ポトっと音がしたかと思うと、前に2匹のトカゲがいて、こちらに向かって頭を下げた。


「ピュー、キキキキキぃー」


「話がしたいって言ってるでち」


『アオはその者たちが言ってることがわかるのか?』


 レオが尋ねる。


「なんとなくでちけど、わかるでち」


 アオ、すごい!


『それじゃあ通訳してくれ』


「わかったでち。おいら通訳するでち」


 アオがトカゲたちに向かって言うと、彼らも頷いた。


「アオ、さっきはありがとうございましたって伝えてくれる? この方たちが、さっき危ないところを助けてくれたの」


 アオがトカゲたちに通訳してくれている間に、この者たちかと言って、みんなもお礼を次々に口にする。


 彼らは同じトカゲが人族に追いかけられていたので、わたしを助けてくれたようだ。

 話があるとは……彼らは怯えていた。

 あなたたちは少し前もここに来ていましたよね?、と。

 トカゲになってわたしもわかったから、獣は人よりも鋭く、相手の強さっていうのがわかるのだろう。

 だからレオたちもふもふ軍団がこの農場に来た時、何が目的?と怯えながら隠れていたようだ。

 しばらく住んでいたが、自分たちには何もすることなく、人族を探っているような印象を受けた。

 そして彼らは出て行った。胸を撫で下ろしていたが、今度は違うメンツでやってきた。さらにもっと強いのがいる。

 その中でひとりだけ、弱っちぃのがいた。わたしだ。

 それは変わった色の同種族。弱いだけでなく、動作もとろいし鈍臭い。

 ボイラー室でよく眠っているのを、チェックされていたようだ。

 絶対人に見つかるぞと思っていると、案の定見つかって捕まりそうになっていた……というのがあらまし。


 それで聞きたかったことは、ここにこのまま住むつもりなの?、前に来たときは様子見で、今度は本格的に引っ越してきたのか?と尋ねにきたのだという。


 仲間のわたしでも、もふもふ軍団の強さは怖く思えるから、敵対していなくてもいるだけで恐怖になるんだろう。


 それでわたしたちは、ここへは探りにきただけで、住むつもりはないと伝え安心させたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[一言] トカゲたち、感覚が鋭いならジャックのことも認識出来てそうだし倉庫の場所も知ってそうですね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ