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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
14章 君の味方

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第563話 記念パーティーの準備

「奥さま、リディアお嬢さまには黄色いリボンです!」


「セズってばわかってないわね、姉さまの瞳と同じ明るい翠にするべきだわ」


「母さまは白がいいと思うわ。フランツのタイと白で揃えるの!」


 想像しているのか、セズの瞳が上に動く。


「翠も白も捨てがたいですねっ。お嬢さま、お嬢さまはどれがよろしいですか?」


 うっ。母さまも、エリンも、セズも。みんなめちゃくちゃ自分の案がいいよねと期待に満ちた目で見てくる。

 わたしはどれもいいと思うが、選ベば角がたつ。


「に、兄さま。兄さまは、どれがいいと思う?」


「どれも似合うと思うけど、……柔らかい帽子のような飾りをリディーは気に入っていなかったかい?」


 ああ、あれ、ボンネットタイプのね。横にお花がついていて、かわいかったんだよね。レースもふんだんに使われていた。


「ああ、なるほど! 奥さま、エリンお嬢さま、私考えてみたんですけど、こういうのはいかがでしょう?」


 セズが紙にさささっと描きつける。

 おお、バックカチューシャみたいのだ。

 帽子だとパーティの時は外さなければいけなくなったりするけど、このバックカチューシャ型なら外さなくてもいいし、布製でレースも使ってお花も散りばめて。全部の色を使える。


「そして大きな揺れるイヤリングをしていただくのはいかがでしょう?」


 大きな、そして揺れるタイプのものは、今流行っているそうだ。


「セズ、天才だわ! すっごく姉さまに合うと思う」


「髪には黄色い花を咲かせ、胸のリボンは私のタイと合わせて白くし、リディーの瞳の色と同じ宝石で止めましょう」


 何気に兄さまも参加し、想像したのか、うっとりしたような表情を浮かべ、みんなそれはいいと鼻息を荒くしている。


 基本のドレスはおばあさまたちが見繕ってくださって、顔まわりはウチで担当することになっているから、めっちゃ盛り上がっている。

 セズは貴族の家のメイドとして何年も働いてきた。どのお屋敷でも引き止められていたけれど、子供自立支援団体に生かしてもらったからと、シュタイン領にいつも帰ってきてくれる。キートン夫人と一緒になって、次世代のメイドを育ててくれているし。2年後の化粧品を売り出していくパートナースタッフはセズだ。

 わたしのデビュタントの全てを任せるつもりでもある。

 美容関係のこともセズにはアドバイスをもらったりするのに、よくきてもらっていて、エリンや母さまとも仲良しだ。

 今回は年明けのパーティのことを聞きつけて、わたしのバックアップに余念がない。ありがたいけど、みんなの熱量にはわたしを10人足しても、届かない気がするよ。



 いくつもの年明けのパーティーに誘われた。でもそれは全て断った。わたしの単独参加は認められないとのことだったのでね。

 でもその代わり、おじいさまたちが主催してパーティーを開いてくれることになった。その年明けのお披露目パーティー用のドレスの相談だ。


 ふふふ実は。

 学園祭で朗読を聞いてくれたフォークリング社の人に、物語を本にしてもらえることになったのだ!

 フォークリング社は新聞を作っている会社で、そのほか芸術系に関する本も出している。本を管轄としている部署の責任者であるポーカーさんは、部長とユキ先輩の作品をとりあげようと、学園祭に来たそうだ。そこでたまたまわたしの朗読を聞き、本にして出版したいと思ってくれたらしい! それでお話をいただいた。

 まーね、親の七光っていうか、親戚の後ろ盾をみてマイナスにはならないというところで声をかけてくれたのはわかっている。けど、嬉しかったし、いっぱいの人に読んでもらえたらそれはいいなと思って、わたしも乗り気になった。そしてそれを足ががりにして、いつかしていきたいことの思惑もある。


 これには芸術のライラック家が、我が一族から新たな門が開いたと大喜び。

 で、親戚の方々がウチより大盛り上がりをみせ、全盛期にパーティー好きだったことも手伝って、親戚と友達と本を作るのに携わってくれた人たちを招いて、わたしが主役のパーティーをしてくれることになった。

 パーティーといったらわたしの装い!と女性陣に火がつき、連日このありさまだ。ありがたいんだけどね!

 雪が深いので冬の移動は考えられないのが例年であるのに、転移のおじいさまがいらっしゃるから、わたしたちは王都と領地を好きなように移動できる。ルームで移動しても怪しまれない特典付き!

 ノエルも転移のスキルを磨いていて、5人ぐらいまでなら一緒に行けるようになった。かなり、すごい才能だと思う。



 わたしは一気に忙しくなった。

 領地に帰ってきて、ホリーさんにご挨拶に行った。

 ペネロペの件で外国との窓口にもなり、仕事を一気に増やしてしまった。もちろん、人を雇ってくれとは言ってあるけど、ホリーさんへの負担が大きいことには変わりない。それで増えた仕事の振り分けや、それらに対しての対価、どうするのが一番いいか、ホリーさんと話し合いに。

 ホリーさんが既に考えてくれていた、体制も人の采配などもまさにベストなもので、口を挟むようなことはひとつもない。そしてそれぞれのお給料アップと、裁判でのあれこれのボーナス。そして特にホリーさんに欲しいものを尋ねたところ。

 ホリーさんは目を輝かせて言った。

 新しい商品が欲しいです! あっと驚くような世間を騒がせるようなものを!、と。

 忙しくて目が回っているはずなのに、それより次の商品をと欲するところ、本当にホリーさんは根っからの商人だ。

 わたしは少し前から考え始めていた新事業はどうだろうと思い話してみると、ホリーさんは顔を紅潮させ、涙ぐんだ。

 え。

 テーブルの上に置いていた手を取られる。


「お嬢さま、素晴らしいです!」


 最初は目くじらを立てられていた、足を出すような服。

 もちろんそれだって、大して短くない。ふくらはぎが隠れるようなものなんだもの。

 それがだんだんかわいいと認識され出して、身分の高いお嬢さまたちも着るようになってきた。セローリア公爵令嬢が婚約者候補の顔合わせでもそんなドレスをチョイスしてきたことで、世間が丈の短い服に親しんできたことも立証されている。

 そこに参入しようと思う。ドレスのデザインもだけど、わたしは子供服に力を入れたい。幼女たちの転ぶ回数を減らすために!

 そしてハイソックスやブーツ、合わせて力を入れたい。

 実は目をつけているデザイナーさんと子供服の商会がある。そことコラボして作っていけないかなーと思っていた。

 簡単なものだけど、それらを文書にしておいてよかった。見せるとホリーさんはすぐにでも始められそうだと喜んだ。

 わたしはホリーさんも、そして従業員の方々にもオーバーワークにならないようにと、くれぐれもお願いした。

 働いてくれているみんなの様子を聞くと、お給金やらボーナスでモチベーションが続いているし、十分だという。でもみんなお給金アップより、シュタイン領のお菓子を購入できる何かの方が欲しいと言っているそうだ。


 ありがたいことに、シュタイン領のお菓子は、午前中に毎日完売になってしまう。工場にてお菓子は作っているので、人員を増やし、作る量を多くすることは可能だけど……。レシピを売ったりしているのもあるし。類似商品はどこででも出ている。だからそこまで爆発的に買われることもないだろうしと、量は2年前から据置だ。類似品だったり、公開レシピにしているものでも、やっぱり売れているので、もうちょっと増やしてもいいのかもしれない。

 従業員さんには、カフェの無料の回数券とかどうかな。

 ホリーさんに持ちかけると、それはいいですねと言ってもらえた。

 しばらくはカフェの特典ということにしよう。

 ほぼ要所は考えていたことなので、これはホリーさんにお任せすることができた。そして、母さまにも、このことでわたしは忙しいと思わせることができる。

 わたしはリーム領で知ったことを、早く行動に移したかった。


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