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【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
13章 いざ尋常に勝負

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第539話 ペネロペ裁判(前編)

 本格的にコートが必要になった頃、ペネロペとの裁判が始まった。

 ほとんどはおじいさまが主導だけど、わたしは証人として出廷する。

 兄さまは相変わらず、わたしが証人として裁判に出ることに反対なようだ。

 確かにこの短い間にも、わたしは何度か被害に遭いそうになった。

 学園から出て寮へと戻るその数メートルの間に、拐われそうになったり、危害をくわえられたりしそうになった。あちらの主張の証人でもあるのに、とにかくおかしなことをするなよっていう脅しなんだろう。

 もふさまのおかげで、何もなかったけどね。


 セインとホッテリヤには世界議会からの監査が入った。

 セインはワーウィッツだけでなく、いくつかの国に争いごとの火種を撒いていたようだ。ホッテリヤは密輸入をやっていたようで国際法を侵したらしい。

 2つの国に同時に監査が入ったことは、稀なことらしい。何か繋がりがあると囁かれ、それはワーウィッツに関係していると、まことしやかに噂が流れた。セイン国がワーウィッツの王女と婚約破棄をしたのは事実だから、簡単に関連付けられたのだろう。そしてただの噂はいつの間にか、真実に近づいていった。


 セインとホッテリヤは手を組み、ワーウィッツを乗っ取る気だった。神聖国を興させるよう仕向けたと。自分たちで興せばいいのにという意見が聞こえた後に、ワーウィッツしかできないことだったからだと、後追いで噂が流れた。

 ワーウィッツの王族しか会うことのできないシュシュ族しか、女王を立てることができないのだと。

 今生きているわたしたちが知っている神聖国は国王が治めていた。そもそもそれが間違っていたのだと。夏にあった誘拐事件でも、さらわれたのが女子だったため、そういうことかと説得力があったらしい。


 アダムとロサの読み通りに、ワーウィッツはセインからの脅威から免れた。同時にセインとの甘味の取り引きもなくなったけど、それはユオブリアが引き継いだ。

 けれどその神聖国を興せる唯一の種族であるシュシュ族を、ワーウィッツが狩り尽くしたとわかり、評判が最悪だ。取り引き相手は甘味のユオブリアだけとなったので、へーこらするしかないらしい。


 メロディー嬢は、罰せられることはなかった。

 使者が口を割らずじまいだったので、はっきりしたことは何もなかったのだ。ただその者はわたしが女王の素質を持っていると進言した。でも嘘だったって可能性もあるわけだ。シュシュ族のことを知っていたかもわからない。

 メロディー嬢は名を勝手に使われていただけと言ったそうだ。

 ただ、ミーア姫をロサの婚約者候補に勧めたということをロサは確かめ、それは認めたという。ミーア王女のことを気に入っていて、ロサの伴侶にぴったりだと思ったのだという。はっきり聞いたわけじゃないけど、身分の高い爵位の人が、外国にそれをやるのは良くないことらしい。それでメロディー家の評判もガタ落ちした。

 ワーウィッツはシュシュ族という人型にもなれる狐と知っていて狩り、それを襟巻きにしていた国というイメージがついてしまったので、婚約者候補から外されたようだ。


 ロサの婚約者を決めるのは、引き延ばされているらしい。

 聖女が誕生したら……という思いが、ロサの中にあるのかもしれない。


 シュシュ族は今はノベリア山脈にいる。寒さと険しさがちょうどいいらしい。バンデス山と似ているとか。領地の外れ付近までくればミラーハウスに行けるよう手配したし、ノベリア山脈とサブハウスとミラーダンジョンを好きに行き来してもらうことにした。領地では子供が狩りを好むから気をつけてとは言っておいたけど、結構素早いから、ああいうタイプの獣なら大丈夫かなと思っている。子供はもっぱら罠を仕掛けての狩りだからね。領地の大人が狩るのは今はほぼ魔物だしね。



「さ、リディア行こうか」


 わざわざ父さまが、裁判へ一緒に行ってくれることになっている。

 兄さまや双子の兄たちも一緒に行くと言ったけれど、父さまは許可しなかった。

 平日なので、学園を休むことになるからだ。

 向かう馬車の中では、たわいのないことを父さまと話せて楽しかった。


 裁判というと、5歳の時に出廷した記憶があったので、同じものを想像していたのだけれど、趣きが違うらしく、こじんまりした部屋で傍聴人も少人数のものだった。裁判のスタッフも第一書記官、発起人と弁護人、それから書記の方がひとりずつだ。

 裁判はペネロペがうちの商品のぬいぐるみを危険なものであると訴えたものだ。

 

 カタカナの〝コ〟型に机と椅子が並べられていて、みんな着席している。教室で会議をするような感じで裁判は始まった。一応わたしたちは傍聴席側にいる。もふさまは部屋の外だ。お遣いさまということで建物の中までは許されたけど、この部屋の中はダメだった。


 第一書記官さまが淡々と、訴えられたことを述べられていく。

 ぬいぐるみの中のふわふわのものに危険なものを使って売っている。ぬいぐるみの販売禁止と危険なものと知って売っているのが恐ろしい。2度と商売ができないようにしてくれと言っている。

 その危険なものとは鑑定すると〝雪くらげの住処〟なるもので、雪くらげに毒があるのだと。毒のあるものを使って、主に子供が手にするぬいぐるみに使うとは言語道断、厳正なる処分をということらしい。


 さて。第一書記官さまは、訴えられている、現在のウチの商会のトップになってもらっているウッドのおじいさまに確かめる。


「今の書状に間違いありませんか?」


と。


「うちの商品で危険なものは一切ありません。その根拠のない言いがかりで、うちの商会に不利益をもたらした請求をしたいと思います」


 相手側の雪くらげの住処が危険物という根拠はというところで、雪くらげに毒があるからですと言った時は思わず笑いそうになってしまった。


 もちろん、こちらは第一級鑑定士、裁判などでも通用する方を呼んでおいた。

 そこで実際の雪くらげを鑑定してもらい、毒はありませんと鑑定された。

 雪くらげの住処も見てもらったが、やはり毒はありませんとの鑑定だ。

 そして再び、何を根拠に毒があると?と話は戻ってきた。

いつもお読みくださり、ありがとうございます。

7月31日までに、キリのいいところまでをアップしたいので、

2024.06.15〜06.30まで1日4話UPします。

8時、12時、17時、21時更新。最新話にご注意くださいませ。

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