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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
2章 わたしに何ができるかな?
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第41話 小さい村④遊んで覚えて

本日投稿する2/2話目です。

 仮家に帰って、土間で兄さまたちにご飯作りの指導をしていると、仲良くなった子供たちが親と一緒にやってきた。みんな話し合って決めたわけではなく、この村は宿などないから食べるものに困るだろうと、自分たちが食べていくのも大変なのに、何かしらを分けてくれようとそれぞれが持ってきてくれた。


 いっぱいご飯を作って〝厄介になります、よろしく〟とみんなに声をかける予定だったので、来てくれて都合がいい。みんなにお願いして、村の人たちにご飯を食べに来てと伝えてもらった。

 最初は曲がりなりにも貴族なので、母さまと一緒にご飯作りをするのはとためらっていたお母さんたちも、量が量なので今はもう手伝ってくれている。


 お肉は町の子供たちが山で獲ってきたのを持っていってと渡されたと告げると涙ぐんでいた。塩漬けしたお肉を村に持っていこうと思っていたんだって。わたしたちが先に行くので早いほうがいいから持っていってと言われたのだ。


 塩漬けしたお肉からいい味が出ている。塩抜きする時間が短かったので、ちょっとしょっぱめであるけれど、動いて汗をかいたからか、ちょうどよく感じる。

 スープにも少し入れたので、クズ野菜とのいい出汁になりお腹に優しい味になる。最初は声をかけられ仕方なく来た人たちも、お腹が落ち着いたからか隣り合わせた人とおしゃべりをするようになった。


 子供たちに明日は森に罠を仕掛けにいこうと誘った。わたしたちも町の子供たちに教わったばかりなのだといえば、それで大丈夫なのかよという顔になった。


 いつの間にか、大人たちは男性のグループと女性のグループに別れ熱心に何かを話し、時々笑い声も聞こえる。

 わたしたち子供は、指立てゲームをした。数字がわかったり、簡単な計算もできたほうがいいからそのとっかかりになると思ったのだ。これも前世でやったことのある馴染みのやつ。

 親指はしまわずにグーにして、両手を前に出す。〝いっせいのせ〟の掛け声で、各自、親指を立てずにいるか、一本立てるか、両方立てるかを選ぶ。最後の〝せ〟でチャレンジャーは親指の上がった数を推測して言う。言った数と親指の立ち上がった数が一緒なら、チャレンジャーは片手を引っ込めることができる。次に当てれば〝あがり〟で一抜けだ。チャレンジャーは、時計回りに巡らせて、指立ての数を当てた人から、片手、もう片方と抜けていき、取り残された人が〝負け〟となる、アレだ。


 もふさまもやりたいと言うので、わたしの片手分を尻尾でやってもらう。

 最初だけ、今9人だから、親指をみんなあげたとして最高が18。0から18までの数しか意味ないからねというと、それでなんとか意味がわかったみたいだ。

 一番に兄さまが抜けた。チャレンジャーの時に「18」といって、みんなの親指ともふさまの尻尾が立っていたのを見たときはなんか笑えた。

 最後はロビ兄とビーの勝負となり。ビーがチャレンジャーで、二人ともリーチだった。

 ビーは自分の親指を上げていながら「ゼロ」と言ったので、大爆笑となった。




 次の日約束通り森に入った。ただ獣の足跡をみつけられなかったので、罠をしてもかからないかもなと話し合った。もふさまにこっそり聞いて見たら、やはり獣の気配がないそうだ。

 でも獣に食べられないからか、いろんなものが実っていた。次々に収穫して、この冬の保存食にするための指導をする。それにしてもこちら側にレアワームは渡ってこなかったのは幸いだった。獣はいないみたいだけど、この実りは小さい村の食卓を豊かにしてくれる。


 心配になって、もふさまにこっそり尋ねる。森に異変があった時、もふさまはわかるのかどうか。だいたいのことはわかるそうだ。それなら近くの森にはレアワームは渡ってないのだろうから良かったねと告げると、もふさまは可愛い眉をかすかに寄せていた。



 午前中だけの探索で村に帰ると、ビリーとカールとサロとヤスとマールが来ていた。

 フッタたちが肉をありがとうなとお礼を言った。ビリーたちはこそばゆいというように笑った。


 土地のことを聞かれ、村長からあった話をフッタが伝えた。

 そんなと言う顔をしたが、そう誰よりも思っているのは村の人たちだろうと思ったんだろう、そっかとおし黙る。


「町に働きに行くことになるかも。そん時は頼むぜ!」


 と雰囲気を明るくしようとしてかフッタが言った。でも誰もそれには何て言っていいのかわからなくて、慌てたサロが何して遊んでたんだ?と尋ねてきた。かくれんぼはしたか?と言われて、村の子が首を横に振る。それではと、かくれんぼ大会になってしまった。


 わたしはかくれんぼ中に昼寝に入ってしまったらしい。どこでも寝ちゃダメと母さまからすっごく怒られた。午後は特にお昼寝をしてからしか遊びにいってはいけませんと規制がつく。そんなぁ。うなだれると見かねて、もふさまが我が一緒にいれば連れ帰ると言ってくれたので、もふさまと一緒にいれば外に出てもいいことになった。

 体力の差が憎い。双子とはひとつ違いだ。男女の違いがあると言っても、幼い時は逆に女の子のほうが成長が早いと言われるぐらいなのに、双子に比べてできることは少なく、体力も力もない。



 外に出れば、座り込んで指立てゲームをしていた。


「起きたか」


「あんなところで眠れるのはすごいな」


 と歓迎を受ける。ふふ、そう言うことにしておこう。


「リディア、なんだよ、文字の歌って。オレたちにも教えろよ」


 律儀にわたしに教わったからと、歌ってみせなかったようだ。


「文字を歌にしただけだよ。覚えるのに」


 テストだといって、フッタたちに歌うようにいってみる。歌詞カードを渡したといっても、まだ読めないだろうに、驚くことに全員が声を合わせて歌った。

 覚えたんだ! 思わず拍手しちゃった。


 まさかカンペはあってないようなものなのに、1日で覚えられると思っていなかった。耳コピーしただけで覚えられたってすごくない? 意味があればまだいいけど、ただの文字の羅列だよ、すごい!


 すでに歌は覚え、文字を覚えるのも挑戦したみたいだ。でもフッタたちは、文字を横列では覚えているかもしれないけれど、どの音と文字が対応するかは覚えていない気がするという。

 だったらと、文字ゲームをすることをお勧めしてみた。

 みんなで丸くなり、始まりの人を決める。歌に合わせて文字を書き、好きなところで隣りの人に枝を渡しバトンタッチする。

 町の子は歌を覚えるのに夢中だ。

 なぜかわからないが、〝つーずこ、らべさ〟にウケまくっている。


「これはリディーが考えたの?」


 兄さまに尋ねられる。


「表はアラ兄が作ったの」


「オレは文字が全部でいくつあるか聞かれて、並べていっただけだよ」


「数えやすいように、10個、まとめてた」


 そうかといって兄さまから頭を撫でられた。アラ兄の頭も撫でている。アラ兄と顔を見合わせて、にっと笑いあった。


 サロは文字が読めたみたいで、突っかかるところで教えに入っている。


「これってさ、妹に教えてもいい?」


「ミニーに? 誰にでもいいよ。みんな知ってること」


「いや、この表とか歌にするの、覚えやすくていい。文字は読めてもこの方法は知らないよ」


「なら、みんなで覚えよ」


 好きなことなら覚えやすいけど、苦手なことって時間かかるよね。それで余計に苦手意識が強まるんだ。簡単で知識が増えていくならそれに越したことはない。

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