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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
2章 わたしに何ができるかな?
33/1125

第33話 買い出し

本日投稿する3/3話目です。

 今日は町に買い出しに行く。速度と体力の問題で、父さまに抱っこしてもらっている。


 町に着くと、途中で会う子供たちや大人は元気な母さまを見て、よかったねと声をかけてくれる。町にいる子供たちとほぼわたしたちは顔見知りで、兄さまとロビ兄は泊まりにきたこともあって大人たちとも声をかけあったりするので、父さまは面食らっていた。


 道すがら簡単に、媒体を特定するときの話をすると、聞いてないぞと睨まれた。父さまは昨日も町の人々に肉をありがとうと言われ困惑していたみたいだ。話の流れで兄さまたちが泊まりに来た時にお土産としてお肉を渡したんだろうぐらいに思っていたようだ。


 お叱りは後で受けることにして、早速市場まで行く。

 とにかく片っ端から買っていった。ミルクやバター、乳製品は多めにね。ポケットあるからもう腐らせないからね! 胡椒もちょっとだけ。味のアクセントになるんだよ。米、醤油、味噌、酢はこの町にはなかった。柿や梅があれば種酢を作れるけど、他果物は酢になる菌がついてるか知らないしなぁ。


 雑貨屋で瓶の元を手に入れた。まとめて50個買って値段をまけてもらった。石鹸も買ったよ。割と高い。1000ギルもする。でも大きいし、1日で使い切るわけじゃないし、そう考えればそこまででもないか。もふさま用のブラシも買った。子馬用のだ。ちょっと硬い毛のブラシだけど平気かな? でもこれしかないしね。

 とても綺麗な木の櫛があった。何かでお金を稼げたら、母さまにプレゼントしよう。ウチには2カ所歯が折れている櫛しかないから。

 布屋さんに行って、鞄の材料を見繕う。ひとつは売り物の見本にする予定だからいい布で。

 みんなのバッグは汚れが目立たず丈夫そうなのがいいだろう。柄物ってないんだな。

 いつかダンジョン産にするバッグは黒い普遍的なやつで。それぞれに適した糸と、針を少し買っておく。レース編みのような繊細な糸、毛糸に似たフォバルの糸もあったので、そちらも購入。


「フォバルの糸で何をするの?」


 もうすぐ同じ5歳のミニーに聞かれた。サロの妹で、家の手伝いをしているようだ。


「編んでみようと思って」


「編み物、できるの?」


「……母さまが」


「しゅ……す、ごい。貴族は編み物、できるのね」


 母さまは何も言わず、うふふと笑っている。編み棒とかかぎ針が売ってないんだけど、兄さまたちに作ってもらえばいっか。

 布だけですごい量になったが、父さまが全部持ってくれた。

 裏道で、ダミーの袋をいくつか残してあとはわたしのポケットに収納!


 母さまたちは引き続き買い物をするから、少し遊んできていいと言われて、ビリーたちを誘って遊ぶことにした。カールがどうしてもかくれんぼをやってみたいと言うので、もう一度説明をし、わたしを抜かした総勢13人+1匹でかくれんぼをすることになった。わたしはまだ土地勘が働かないので、見ていることにする。ただのかくれんぼだと緊張感がないかと思って、ポコペンに似た、オニが探しに行っているときに、隠れている人が決めた場所にタッチしたらご破算で、オニはもう一度オニになるルールにしたら、俄然盛り上がった。もふさまのオニが一番笑えた。一瞬でみんなみつかったから! 匂いか? 最短ルートで13人を捕獲したからね(口で服を引っ張った)。もふさまも楽しそうだった。途中から見にきた子もやりたそうにしていた。わたし? わたしは見ているだけでいい。そんないっぱい歩くのはごめんだ。


 帰り道では、魔道具屋さんを見てみたいとねだった。この町にはないようだ。

 魔道具の本も読みたがったし、ウチには実物もないのになんで知っていると訝しんでいたけれど、わたしの記憶で知り得たと思ったんだろう。隣の領地イダボアは大きくなんでも揃っているだろうから、連れてってくれると言った。季節は春になるかもしれないそうだが。

 魔道具を見られて、そういうのが存在する知識を得られれば、わたしは付け足して近い何かを作れると思うんだよね。ギルドがあったのもイダボアみたいだから、行ってみたいな。


 家が見えると、双子が駆け出す。


「リディー、明日から父さんは3日間、留守にする」


「どこ行くの?」


「市場の先に村が2つある。町長とそちらの村に挨拶に行ってくる」


 緊張しているのが伝わってくる。


「買い物前に、なんで言わない?」


「え?」


「ビリーから聞いた。状態よくない?」


「……ああ、そうみたいだ」


「だったら、何か持って行かなきゃ」


 父さまたちの食料は当然として、何が足りてないのかはわからないけど、持って行かないと。前領主を憎んでいるはずだから、風当たりはきついだろう。


「持っていくっていったって、多くは持てないぞ」


「収納鞄、作る」


「リディア、それは危険だ」


「先祖代々あったいえばいい」


 父さまと母さまは顔を見合わせている。


「母さま、古い袋、ある?」


「あるわ」


「それにつける」


「リディー……」


「我が家に受け継がれてきた宝とかなんとかいえばいい」


「私は、反対する」


 兄さま?


「……父さま、ビリーから聞いた。土壌がダメになったって。村の人も相当怒っていると思う。収納鞄って売ったら高いよね? 持っていたら、それを売って土地をダメにしたお金を払えぐらい言う人がいると思う」


「そっか……。鞄売るいいけど、賠償金払ったら、多分、みんなもっと挫けて、働けなくなっちゃう思う。だから土地を一緒に生かそう、話持ってこう?」


 父さまが苦笑する。


「お前たちの方が領主のようだな」


「父さまには父さまの考えがあるんだから、あなたたちが口を出すことではありませんよ」


 母さまに嗜められた。


「父さまも母さまも、お前たちがもちろん父さまのために思って言ってくれているのはわかっているよ」


 父さまのフォローが入る。


「ごめんなさい」


 兄さまが謝った。


「ごめんなさい……」


 わたしも謝る。大人の記憶もあるけれど、果たしてわたしは大人になれていたのか。歳だけ重ねたことを大人と呼んでいいならそうだけど。

 立場ある考えや、大事にしてきた土地が買収され変な薬を撒かれ、作物が一切育たなくなる。そのときの気持ちは計り知れない。




 家に帰ってきてから、わたしは古い袋をもらって、それに収納ポケットをつけた。そんなに大きくしなかったので、魔力の使用量も自分のを作ったときより半分以下しか使ってない。そこにもふさまがくれるとオッケーをもらった燻製肉や干し肉を入れていく。乾燥させた野菜なども入れて、今日収穫した、マルネギとニンジも入れた。ミルクやバターも入れておく。それからスープとパンにベーコンもどきを挟んだもの。

 父さまに持っていくと、とりあえず受け取ってくれた。


 父さまは仕事中で手にしていたのは分布図だったので、これが領地なのか尋ねた。

 父さまは後ろの棚から何やら取り出して、地図を見せてくれた。

 このあたりの地図だそうだ。


「ここが、シュタイン領だ。その左隣がモロール、右隣がイダボアだ。このシュタイン領を拡大したのがこれだよ。ここが町。ウチは町外れ、ここらへんだ」


 こうもりが羽を広げたような形のシュタイン領には、町がひとつと村が2つある。村は大きいのと、こじんまりした小さいのがあり、小さい村は隅っこにあった。町と大きい村の間に市場がたつみたいだ。


「父さま、土地を生き返らせる方法、ある?」


「状態を見ないとなんともいえない。父さまの土魔法でわかればいいんだがな」


「鑑定できる人、いる?」


「鑑定か! ……おじいさまができるぞ、覚えてないか?」


 え? おじいさまが? 曽おじいさま、まだ60代で身体も鍛えてるから細マッチョ。眼光が鋭くて、見るからに厳しそうな方だった。鑑定しているとこ見たことあるかな?


「冬が本格的になる前におじいさまがいらっしゃるぞ」


 鑑定は是非、知っておきたい。鑑定するところを見せてもらおう!

 地図も〝見た〟し。これで探索を〝知る〟ことができたらなぁ。


「冬前におじいさま、来る?」


 再度確認してしまう。


「ああ、シヴァと一緒にな」


「シヴァ来る!?」


 わたしは飛び上がっていた。なんじゃそりゃ。自分の動きに慄く。


「あはは、リディーはシヴァが大好きだな。兄さまたちが妬くぞ」


 シヴァと聞いただけで、ものすごく盛り上がってるよ、わたし。

 条件反射のように飛び上がっているが、シヴァって?と思い出そうとする。

 おじいさまからの信頼も厚いまだ若い武人だ。


 寡黙なタイプだがわたしを〝お嬢〟と呼び、可愛がってくれた。兄さまたちは子供にしてはかなりできている方だと思うけれど、シヴァと比べればそりゃあ子供だからね。特に双子はわたしをみつけると手をつかんで駆けずり回るから、その前にシヴァに抱き上げてもらうのがベストだったんだ。シヴァのどっしりした安心感、安定感が好きなんだと思う。うん。

明日から2章は1日2話アップとなります。

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