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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
1章 ここがわたしの生きる場所
25/1124

第25話 ステータス

本日投稿する1/3話目です。

 わたしが次に目覚めたのは2日後だった。熱はなかなか下がらなかったらしい。病気や悪いところがあるわけでなく、体と魔力が馴染もうとしているだけだから、光魔法でなんとかなるものでもない。それでも、もふさまが聖域のお水を飲ませてくれて、軽い症状にしてくれたそうだ。7しかない魔力でこれだけ酔うとはと、父さまはわたしの魔力はわたしの体を蝕むのではないかと心配したようだ。

 熱を出し切ったのか、目覚めはすっきりだ。

 母さまは具合が悪そうだったけれど、間に合って、ほっとした。聖水を浴びに行く頻度は上がっているみたいだ。もう少しだけ、魔法を使えるようになるまで、待って。


「父さま、魔法の使い方、教えて」


「リディー、気持ちはわかるけれど、まだ体がついていけてないんだ、そうだな、あと1週間ぐらいは待ちなさい」


 わたしは首を横に振る。


「兄さま、道具は?」


「もふさまが見た」


『我が確認した』


 わたしはベッドの上で、話が長くなるので母さまには座ってと頼んだ。

 お腹がギュルっとなって、食べてから聞くと言われたが、わたしは先に聞いて欲しいとお願いした。


 わたしはまず神父さまに伝えられたことを述べた。


『そんなバカな! 属性は全部あるし、魔力だって低くない』


 と、もふさまが憤慨する。


「うん、だから、わたしステータス見た」


「すてぇたぁ?」


 ロビ兄が首を傾げる。


「数値化したもの。みんな言ってみて、ステータスって。目の前にボードでる?」


 百聞は一見に如かず。

 みんなぶつぶつと呟き、視線が目の前の何かに釘付けになり、目を大きくしている。

 見えたようで、やっぱりステータスのこと知らなかったんだ。


「これは鑑定?」


 これを鑑定というってことは、鑑定のスキルがあるんだね、この世界には。


「違う。自分、ステータス」


「確かにオレの名前」


「なんだってリディーなこんなこと、あ、記憶か」


 わたしはそういうことにしておく。小説の中にあった記述だけど。


「母さま、状態異常、出てる?」


 母さまは頷いた。


「ええ、状態異常で、呪術と出ているわ」


 やっぱり!



「ステータス、確認した。わたし、全属性ある。光、ある。だから母さまの解呪できる」


 みんなが小さく口を開けてわたしを見る。


「魔力、神父さま007言った。ステータスの魔力5007。神父さま、千の位、見なかったと思う」


 父さまの顔が歪んで持ち直す。


「魔力が5007?」


 アラ兄が放心状態だ。


「だから、わたし、できる。光魔法、使う。教えて」


 母さまにギュッと抱きしめられる。


「母さまは大丈夫だから、まず、ご飯を食べましょうね。魔法はゆっくり使えるようになればいいわ。ありがとうね」


 とにかく今日は絶対に魔法を使ってはいけないと禁止令が出た。

 そんな、悠長にしている場合でないのに!

 魔法だって、すぐに使えるかどうかわからない。とにかくやってみなければわからないのに!


 着替えてご飯を食べた。ひとりにしたらわたしがこっそり魔法を使うだろうと、見張りがついた。魔力酔いが酷かったことで体に負担がかかりすぎていると判断されたみたいだ。それに最初にみんな魔法を試して魔力切れで倒れがちで、殊更心配しているみたい。


 病み上がりで外に出るのも禁止されたので、兄さまたちから話を聞かせてもらう。


「道具、なんだった? すぐみつかった?」




~兄さまとロビ兄ともふさまが、道具をみつけたときの話~


 もふさまのジェスチャー(仕草?)で、最初にビリーの家に挨拶に行ったそうだ。お肉を貢いでおく。もちろんカールにもお駄賃代わりに渡す。

 そしてトネルの家である居酒屋に、お近づきの印に町の人たちで食べてくれと大量のお肉を持っていった。親父さんは喜んで調理すると請け負ってくれて、トネルに今日は宴会だと触れ回るように言った。

 目論見通り、居酒屋がメインに大宴会となる。

 宿屋に泊まった、ほとんどが顔見知りの商品をおろしに来ている商人たちも宴会に参加した。この町に初めてきた身なりのいい女性も居酒屋で夕食をとった。

 トネルとカールが居酒屋の見張り番となり、ロビ兄は伝達係。ビリーとカトレアが宿の見張り番で、もふさまと兄さまが女性の泊まった部屋に入った。もふさまが持ち物の鞄などに鼻を近づけたが、媒体はみつけられなかった。

 そこにカトレアがやってきて、女性が戻ってくるという。すぐに部屋を出て一階へと下りた。ビリーと居酒屋から走ってきて息を整えているロビ兄に部屋にはなかった旨を告げる。そこに女性が帰ってきた。もふさまは素早く身を隠した。

「あら、夜遅くにこんなところで何をしているの?」

 女性は上機嫌で子供たちに声をかけてきた。

「明日の相談です」

 10歳のカトレアは恙なく答えた。

 もふさまは、微かな呪術の匂いを彼女から感じ、身に媒体を持っていると確信した。もふさまは伝えることができないが、なんとか知らせようと、兄さまの足にパンチを入れた。兄さまは女性を引き留める必要があると感じた。

 兄さまは女性の装いを、この辺りでは見ない洒落たものですねと褒めた。

 10歳未満の子供がおべっかを言うわけない、素直な称賛と受け取り、女性は気分がよくなったようだ。女性は自分がモロールから来て、モロールでは刺繍をした服や小物が流行っていると話した。刺繍といっても絵柄の一部を立体的に飛び出させたもので、ハンカチを見せてくれた。なるほど、花弁の1枚1枚が飛び出る立体的な形で刺繍されていた。ハンカチを仕舞い込むときに、匂い袋のような小さな何かが落ちた。もふさまが飛び出してきて、それを咥えて走る。

 女性は悲鳴をあげた。

 兄さまが追いかけると、もふさまは満足したようにそれを返した。

 戻るとカトレアが女性を慰めていた。

「お客さまのもの取り返せた?」

 兄さまは頷いて、それを返した。

 カトレアが受け取り

「お客さま、大切なものを、猫がとっていって申し訳ありませんでした」

 と謝った。

「猫? 犬ではなかった?」

「いえ、鼠取りの猫でございます」

「ね、ネズミ? この宿にはネズミがいるの?」

「いえ、猫が獲るので鼠は1匹もおりません。それでも小さい何かを見ると猫は鼠が出てきたのかと喜んでああやって咥えていってしまうんです」

 カトレアがいうと、本当にここには猫がいて、小さい何かが現れると鼠と勘違いして小さいハンターの顔を表すのだと真実のように聞こえた。

「そ、そう。戻ってきたから別にいいわ」

 コトを大きくする必要はないと思ったのか、女性はそれ以上小言を言うこともなく部屋に戻って行き、兄さまたちは大きく息をついた。女性はカトレアの両親にこのコトを言うこともなかったようだ。

 兄さまがもふさまに、あれが道具だったのか尋ねると、一度、ニャアと鳴いた。



「もふさま、にゃあって言ってみて」


『にゃぁー』


 う、すっごい上手。そしてかわいい。

 わたしは撫でる手を止めて、もふさまの背中に顔を埋める。

 あれ、怒らない。

 じろじろ見ていると


『病み上がりだから、今日は特別に頬擦りを許してやる』


 わたしはもう一度もふさまの背中に顔を埋めた。

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