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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
1章 ここがわたしの生きる場所
24/1125

第24話 儀式

本日投稿する3/3話目です。

 教会は厳かな雰囲気に包まれていた。

 父さまの手を握り、新しいワンピースで扉を潜る。

 あんなに疲れている父さまに、家から町の教会まで抱っこで運ばせてしまった。あの距離を自分では歩けないと思うし、わたしの速度ならどれだけ時間がかかるかわからないから、そうしてもらう以外選択肢はないのだけれど。


 母さまとアラ兄に送り出してもらった。

 兄さまとロビ兄ともふさまに町で会えるかと思ったが、とりあえず教会に直行してきたので、顔を見ていない。父さまはわたしの調子が良ければ、帰りにビリーのお家に挨拶に行くと言った。


 シスターに取り次いでもらい、神父さまがやってきた。

 父さまは領主になったこと、それから挨拶が遅くなったことを詫び、今日は末娘の魔を通す祝福をお願いしますと頭を下げた。

 優しそうなおじいちゃんは、わたしの頭を撫でた。かなりご高齢で、動作が緩やかだ。

 父さまに挨拶をし、この町をよろしくお願いしますと頭を下げた。


 住民登録みたいのは教会が受け持つことなのか、その問いかけが続く。

 子供が生まれ3歳になったら届けを出すようだ。わたしも北部、おじいさまの領地の教会で登録をしているらしい。


「第三子、リディア・シュタインさまでよろしいですね?」


 父さまは頷いた。第三子? わたしは4人目なのに、双子はまとめるのかしら? 変なの。


「リディア、足」


 父さまの隣で足をぶらぶらさせていたら怒られた。

 たったかやって欲しい。こういう待ち時間って要らぬことを考えてしまって不安が膨れ上がるから。


 魔力がなかったり、属性がないとか、ギフトがないとか。それも怖いし。

 逆に魔力がいっぱいだとか、属性が多いとかバレるのは避けたいし。

 人と違いすぎて目立つのは嫌だ。けれど聖職者の祝福を受けないと魔力の解放ができないみたいなので仕方ない。もふさまの言うようにわたしに光魔法があれば母さまをなんとかできるかもしれないんだもん。とにかく、魔を通してもらわないと!


「緊張しなくて大丈夫だよ。痛くもなんともないからね」


 シワだらけのおじいちゃん神父さまはそう優しく微笑んだ。

 水晶玉みたいなものをわたしに差し出す。ジェスチャーに従い、わたしは上に手をかざした。

 水晶の中央が赤くなり、青くなり、茶色になり、ぐるぐると渦を巻き、光って瞬いた。

 落ち着いたかと思うと、カシャン、カシャン、カシャン、カシャン、チーンと音を立てた。

 何事!?


 おじいちゃんは水晶に顔を近づける。


「ふむ、属性は水と風のようですな」


 ええ?

 光、ない?

 媒体をみつけられたとしても、光魔法を使える人がいなかったら。目の前が真っ暗になる。


「魔力量は007……」


 007? 魔力って100が最高値なの? 

 おじいちゃんはわたしの頭を撫でる。


「5歳だから、これからきっと増えてくるよ」


 100分の7しかないって、魔力少ないよね、間違いなく……。もふさまの見立てとかなり違う。


「では、祝福を授けます。魔を通しますよ」


 ギフトに望みをかける。呪いを解くとか、母さまを助けられる何かだといい。

 母さまが言っていた。ギフトのできることも言葉も内容も、その人の一番響く形で伝わると。それは神様からのたったひとりに贈られるメッセージ。

 もふさまの打診との温度差が激しくてダメージを受けているが、どうぞ神様からの〝気づき〟がちゃんとわかりますように。


 おじいちゃんが聖水をわたしに振りまく。そしてわたしの額に人差し指を置いた。

 そして古代語と呼ばれる不思議な言葉を音にのせた。

 指の置かれた額が熱くなる。徐々に全身が熱くなった。


『汝に授ける力は…』


 声?が頭に響く。そして視界に大きく文字が現れた。


『十』


 漢数字? 10? 十って何? なんで日本語?

 母さまはその人が〝わかる何か〟で伝えられるって言った。

 数だよね?

 ……10個に増やせる力ってこと?

 考え込んでいるうちに、祝福の儀式は終わっていたようだ。


「リディー、属性はなんだった? 父さまにこっそり教えてくれるか?」


 耳をわたしの口元に寄せてくる。


「……風と水、魔力は7だって」


 父さまは目を大きくした。驚いたようだ。

 わたしの頭を撫でる。


「そうか。父さまの風と水を受け継いだんだな」


 わたしががっかりしないようにしてくれている。


「帰ってから、ちゃんと話す」


「わかった。気分は悪くないか?」


 わたしは頷く。


 さて。父さまに抱っこされながら、わたしはちょっと恥ずかしいことをしようと思う。

 異世界にきたら、きっと誰もが試す。ただし、現れなかったら、恥ずかしさで悶絶案件だ。でも、わたしは知りたい。いや、すがりたい。もふさまの見立てを。


 小さい声で呟く。


「ステータス」


「ん? 何か言ったか?」


 首を横に振る。

 心に痛手を負わずにすんだ。

 わたしの目の前に透明のiPadのスクリーンみたいなものが現れた。




名前:リディア・シュタイン(4) 人族 

性別:女

レベル:0

職業:???

HP:57/57

MP:5007/5007

力:13

敏捷性:15

知力:75

精神:77

攻撃:15

防御:15

回避:90

幸運:82

スキル:生活魔法(火・水・土・風・光・無)

ギフト:+


 いいのか悪いのかはわからないけれど、もふさまが言った通りなことがわかった。

 おじいちゃん神父さま、千の位が見えなかったのね。って言うか、あの水晶まずいんじゃない?

 生活魔法は全部あるし、5属性なはずだけど最後の無ってなんだろう?

 光属性あった。これで母さまにかけられた呪いを解除できる。

 そのほかは基準がわからないからどれくらいのものなのか判断がつかない。

 あとは早いとこ、魔法やギフトを使えるようになろう。



 あれ? なんだかクラクラする。


「父さま」


「ん、どうした」


「なんか変」


「あ、魔力酔いが始まったか。早いな。魔力を解放すると、体は初めてのことだから酔ったようになることが多いんだ」


 なんか熱いし息苦しい。


 父さまの手がおでこに添えられる。


「熱も出てきた。辛いな。でもだんだん慣れてくるからな。できるだけ眠るんだ。さ、家に帰ろうな」

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