第239話 一触即発
すみません;
236話「寮の1日目」の後、237話を投稿するところを
237話から246話をすっ飛ばして、247話「家族の時間」を投稿していました;
ですので、正しい続きの237話「学園マップ」〜246話「真夜中の相談」まで一気にアップします。
作業中、247話が最新話として後ろにずれていくと思います;
2023.11.30 0時〜2時間ぐらい作業します。
ごめんなさいm(_ _)m
アイリス嬢も殿下にカーテシーをする。
「校内では普通に接してくれて構わないよ」
ロサは食堂内にいる、みんなに呼びかけた。
「リディアさま、先日はお会いできなくて残念でしたわ」
「アイボリーさま、わたしもです。でも、今日こうしてお会いできて嬉しいです」
そう告げればギュッと抱きつかれる。
おお、お胸が成長している。
アイボリー令嬢も美人度に磨きがかかっていた。体も大人になりかけていて危ういセクシーさを醸し出していた。男の子たちがぼーっと見ている。
「私たちとても親しいので、カートライト男爵令嬢はお気になさらないで」
「あら、それを決めるのはリディアさまですわ」
何、このふたり仲悪いの?
見比べていると、ロサが咳払いをした。
「ここは食事をするところだ。リディア嬢たちも食事のようだし、ここにいては邪魔になる」
「そうですわね。こちらのお食事はなかなかですのよ、リディアさま楽しまれてね」
そう言って移動して行った。
アイリス嬢もまだ何か話したそうだったが、取り巻きたちに囲われるようにして行った。
ほっとする。
そこに料理が運ばれてくる。
わたしのお肉のA定食にプラスしたものたち。兄さまとアラ兄の魚のB定食、ロビ兄はお肉と魚の欲張りC定食だ。
気を取り直し、みんなで食前のお祈りをしていただきますだ。
先にココアを一口いただく。熱いから、食事が終わる頃飲みやすくなりそうだ。
1日ぶりのお肉。塩をしたステーキ。丸ネギとかに漬け込んでおいたのかお肉が柔らかい。パンを一口。おお、ふわふわパンのレシピを買ってくれたんだね。3年前に商品登録した天然酵母を使ったパンのレシピは、今も莫大な利益を生み出してくれている。みんなが作れるようになれば領地で売り出したパンは売れなくなっていくだろうなと思っていたんだけど、わたしが作るパンはおいしいと評価は高いし(自慢)、菓子パンなど新作を出せば未だに列ができるほど買いに来てくれる(自慢!)。
「ここが一番、リディーのご飯の味に近いと思う」
兄さまがこっそり教えてくれた。
食堂の中では、東棟にある東食堂が一番格式が高い。伯爵家以上しか使わないそうだ。
次が中央にある、ここ。誰でも使っていいが平民はほぼこない。
西にあるのが平民が主に使う食堂で、屋台飯みたいなものも日替わりで現れるらしい。北にあるのが味よりもおしゃれを意識した女子の需要の高い北食堂。
南にあるのが量重視の南食堂で、いつも混んでいるが、食べる速度もみな早いので回転率はいいそうだ。
アラ兄から時間割を見せてと言われて見せると、週の真ん中、〝土曜日〟のお昼ご飯は家族で取ろうということになった。
「他の日も一緒に食べる人がいない時は私を誘ってね。リディーからのお誘いならいくらでも空けるからね」
と兄さまが言えば、張り合うようにアラ兄もロビ兄も、一緒に食事をと言ってくれた。
兄さまたちのポイントでとても満ち足りたご飯になった。
「リディー、心配事はない?」
兄さまに目を探られる。
「……手に負えない時は相談するから力になって」
と言えば、3人は少しだけがっかりした表情になったけど、頷いた。
探索マップで教室に無事たどり着けば、重たい空気が淀んでいた。
「何かあったの?」
キャシーに尋ねてみる。
食堂でC組の貴族にバカにされ喧嘩となったらしい。
「貴族って、ほんと最悪だ!」
机の上に腰掛けていた青い髪の男の子が、わたしを睨みつけてきた。
「喧嘩した相手はわたしではないでしょう?」
「貴族って同じだろ。お前も、そいつも!」
そいつと目を遣った先にはオスカー・ボビーがいた。金髪に碧眼の男爵、わたしと同じ貴族でD組。オスカーは喧嘩を売られてもスイ〜っと視線を外した。
「同じクラスなんだから、敵意を向けないでよ」
そう告げればそっぽを向く。
「あなた、貴族だからってイシュメルに気安く話しかけないで」
ん?
なぜか見た瞬間、猫が思い浮かんだ。少しつり上がり気味の目が、猫目のように思えたのかもしれない。茶色の髪を長く伸ばし、瞳は茶色い。
文句を言われたのはわたしの方なのだが。話しかけたわけではないのだが。
「お前に名前を呼ばれる筋合いはねぇ」
「イシュメルったら照れちゃって」
彼女は両頬に手をやって恥ずかしがっている。クセの強いのがいるなぁ。
「シュタインさま」
その時、廊下側にいた子から声をかけられた。
「呼んでいる人がいるよ」
お礼を言って廊下に出れば、少女たちが集まっていた。
「リディア・シュタイン、さま?」
中央の暗い髪の色の子に凄まれたので、〝ええ〟と頷く。
「あなた、氷の君、フランツ・シュタイン・ランディラカさまと婚約しているって本当ですの?」
氷の君? 兄さま、そんな風に呼ばれてるの?
「……ええ、そうですけど?」
教室の中からもなぜか声が上がる。
「嘘よ、〝アイスブルーの冴え冴えるお方〟とあなたは不釣り合いだもの」
……アイスブルーのなんだって?
兄さまの異名に気持ちがいってしまったが、今、それを突っ込むところではない。
それにしても真っ向から〝不釣り合い〟と言われたのは初めてだ。
「そうよ、解消しなさいよ」
〝解消しろ〟ときたか。
「学園内では身分は関係ありませんが、そういった個人的なお話をなさるなら話は別です。何かあるのなら〝家〟に話を通していただけます? きちんとした理由があるのなら。それからわたしの名前はご存知でしたわね。あなたはどちらの家門のご令嬢ですか?」
「と、とにかく忠告しましたからね!」
令嬢軍団は言い捨てて行ってしまった。
面倒ごとがひとつ増えたな。