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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
6章 楽しい学園生活のハズ
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第235話 ドーン寮

 1年D組。ヒンデルマン先生の後ろをぞろぞろ歩いていく。


 机と椅子が並んでいた。好きに座っていいと言われたので、窓際の後ろの席についた。みんな席についたがわたしの隣だけ空いている。35人みんな返事をしていたと思うけど?

 首を傾げていると、先生が言った。

 新入生は35人だが、体が弱くて留年した生徒が1人いる。入園式なので今日は来ていないそうだ。体が弱いのか、可哀想に。



 先生は緑色の黒板に白いチョークのようなもので自分の名前を書いた。

 担当する教科は、一般教養と魔法学の2と3だそうだ。前期では一般教養と教育という授業を担当することになるという。


 クラスの中では貴族と平民の分け隔てはなく接するからそのつもりでいるように言われた。ただ、AからCまでのクラスは毎年そう言っても区別をつけたがる者もいるから気をつけるように、と。

 意味ないじゃんとこそっと思う。


 細々としたガイダンスを受け、頭はいっぱいいっぱいだ。

 そして自己紹介なるものをすることになった。同じクラスだし、寮も同じだから、最初は肝心。そう思うと緊張してきた。

 廊下側の子から自己紹介が始まった。みんな名前を言って、一言、二言言葉を足し座り直した。

 わたしの番になる。


「リディア・シュタインです。食いしん坊です」


 特化して言えることがなかったので、食に興味があることを伝えておいた。


「リディア・シュタイン。口の中が真っ青なようだが、学園の公共物を無断で取ったわけではないよな?」


 先生はアルネイラの実を食べたことがあるんだね。


「自由落下を受け止めました」


 先生の目が訝しんでいる。


「……わたしじゃありませんが」


 そう伝えれば納得したようだ。え、そこで納得、おかしくない?




 ひとまず待機するように言われる。

 この後、最後に保護者と話す時間があり、そこから男女で別れて入寮するようだ。涙ぐんでいる子もいる。遠くから来ていれば、次に会えるのは冬休みになるからだろう。

 このクラスは仕事が休めなかった保護者が多かったんだと思う。晴れ姿を見に来ている人は少ないようだ。

 3日後に会えると思っていてもこんなに淋しくなるのに。


 父さまたちに言葉少なにクラスの報告をする。


「大丈夫か?」


 父さまに尋ねられて、もちろんと頷いた。

 元気に手を振って、自分を奮い立たせた。





 寮の感想は〝ひでぇ〟に尽きた。

 出迎えてくれたのは寮母だというミス・スコッティ。30代半ばのツンケンした意地の悪そうな人だった。寮長は5年生のガネット。学園内では身分差はないと言われているけれど、それは幻想だから早く夢を捨てること。寮で問題は起こさないようにと注意があった。


 ちなみに寮にはそれぞれちなんだ名前があり、dから始まるウチの寮は〝Dawnドーン〟古代語で夜明けとか物事の始まりを意味する名前が付いているそうだ。それを聞いたとき素敵! と思ったのだけれど、一歩中に入り、嫌なものを感じ、部屋に入ってからはおいおいとツッコミを入れていた。


 兄さまもアラ兄、ロビ兄は当然のことながらAクラスで、寮も問題なく快適に暮らせているようだったので、なんの心配もしていなかったのだが。



 ドーン寮で貴族は稀だからだろう。2つと絞られた貴族部屋はやたら広い。どちらを使ってもいいと言われたので、窓がいっぱいある方を選んだ。

 まずしたことは窓を全開に開けた。風を通し、掃除をしてくれたにしては、汚すぎる部屋を見てため息が出る。部屋の隅には埃が吹き溜まっているし、人以外の何かが住んでいてもおかしくない感じだ。


 食事もかなり劣悪だった。育ち盛りの子供には圧倒的に少ないし。硬いパンに野菜のかけらが浮いたスープと切れ端をよくこれだけ集められたなと思えるサラダだった。全てうすい塩味。先輩たちはものの3分で食事を終え、部屋に戻っていく。それも無理はないと思う。


 掃除だって業者が入ると聞いていたが、公共部は1年生の持ち回りできれいにするんだと聞いて驚いた。1年生15人を5人ずつ3班に分けた。

 わたしの班は初っ端、明日が当番で6時半に寮の玄関に集合と言われた。

 おかしいな。いくらDクラスだって、寮の予算は変わらないはずだ。兄さまたちから掃除したなんて話聞いたことないんだけど。



 共同のシャワーがある。18時から21時まで使うことができるそうだ。わたしは部屋にある。トイレも。

 収納箱持ちなことを感謝した。箒も、ちりとりも雑巾も持っている。クリーンを後でかけるつもりだけど、それは風を使ったことにしようと思う。

 作業着に着替え、簡易ハタキを作り、ホコリを落とし、箒で履いてゴミを取る。濡らした雑巾で清めていく。わたし自身埃まみれになった。


 わたしの個室はシャワールームがついているから助かった。狭いが湯船らしきものもある。シャワーしか使わないよう注意があったが、わたしは湯船にお湯を溜めてお風呂に入った。もちろん学園の水、お湯、火は、シャワーを浴びる時しか使わない。最低限の魔法しか使わないよう、全ては魔具を使い、湯船で使ったお湯は収納箱に入れる。湯船を使わないよう言われているのに、使ったのがバレたら問題になるかもしれないからね。


 カーテンは明日洗おう。今日は取ってしまったから、朝っぱらから陽が入り込んでくるに違いない。ベッドの上の布団も総入れ替えだ。もちろんウチの商品である、敷布団と掛け布団。枕も収納箱に入れておいたものを。持ち込んだもので揃えていくと、自分の部屋って気がしてくる。


 驚くことは多かったが、掃除をして体を動かしたのでしっかり眠れそうだ。そのまま寝ようとしていると、なんか変な音が聞こえる。

 体の向きを変えて耳を塞いだが、音が伝わってくる。

 うう、眠れない。

 まさか、幽霊とかの類じゃないよね? わたし、そういうの好きじゃないのよ。

 ダメだ気になって眠れない。

 わたしはガウンを羽織って部屋の外へとでた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 寮の状況がなかなかに酷い。 リディーが自活できる女の子でなかったら初日でアウトですよ。 これも入学試験の時のように誰かの企みなんでしょうか? 続きを楽しみにしています。
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