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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
4章 飛べない翼
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第163話 茶会のテーマ

「新しく孤児院を作るのは反対」


 そういうとアラ兄とロビ兄が泣きそうな顔になった。


「子供自立支援団体ぐらいがいいんじゃないかな。孤児院があるって、安易な考えの人が増えたら困るから」


 今まであったのならやぶさかではないが、新しく作るとなると躊躇する。そういう境遇におちいった子供に居場所ができるのは素晴らしいことだとは思うんだけどね。


「子供自立?」

「支援?」

「団体?」


 繰り返すビリーとカールとサロに頷く。


「これから自分たちの足で生きていくのを支援する、そういう機関があってもいいと思う。支援は仕事の斡旋……手配だね。手配する代わりに、報酬の何%かは手数料としてもらって、その手数料を団体の資金とする」


 アラ兄に抱きつかれる。


「リーは凄い!」


 凄いのはみんなの方だとこっそりと思う。

 わたしみたいに後から理屈をこねるのではなく、感情のままに手を差し伸べることができるのだから。

 その方が、何倍もスゴイことだ。


 ふと目をやると、ペルシャが揺れるもふさまの尻尾をつかもうとしていた。マレクとキール、ドゴとペルシャはもふさまが気になって仕方ないみたい。もふさまもそれをわかっていて、4人のそばで尻尾を揺らしてくれている。


「最初の資金はどうするんだ?」


 穏やかに、だけれど頭の中では死角がないか、理屈の通らないところはないかチェックしているのだろう兄さまに答える。


「チャリティーのお茶会にしようかと思って」


「チャリティー?」


「慈善事業のこと。貴族が好きそうでしょ」


 それまで多分みんなの言い出すことがわかっていながら、様式美のように聞いていた兄さまの顔が、本当に驚いているので一本取れたようで嬉しい。


「お茶会でお菓子を食べてもらって、その後に販売して高く買ってもらうの。そのお金は子供自立支援団体を設立しますとして。お菓子としては高くても、同時に寄付することにもなるなら、お財布も緩むよ」


 お茶会のテーマ、本当何にしようか全然ピンとくるものがなかったんだけど。ここに来て、焦点があった。


「よ、よくそんなこと思いつくな」


 ビリーが恐ろしげに言う。


「お金はあるところに出させる、それが基本」


「リディー、悪い顔してるよ」


 アラ兄に窘められる。


「おれの妹、かわいいけど、そういう悪い顔もカッコ良くて。うん、かわいくて、かっこいい!」


 そうロビ兄が言えば、町の子とセズは何も言わずにわたしから目を逸らした。


「で、どうする?」


「ロサにチャリティーにしていいか確認とる。承認されればモロールに何か言われても、殿下を巻き込んだ大事(オオゴト)になってるって逃げられると思う」


 多分、父さまが恐ろしく怒ると思うけど。

 双子が父さまに問題を持ち込みたくなかったのもわかる。母さまのつわりが始まって、父さまもそれで参っているから。わたしの時はかなり早い段階からながーくあったので、今回はつわりがないかもって思ったみたいなんだよね。それがまた急に辛いのが来たもんだから、母さまは憔悴している。

 そんな時だから、余計に言いにくかったはずだ。


「わかった。じゃあ、このことはこれから私が責任を持つ。セズ、少しの間人目につかないよう暮らしてもらう。モロールに帰らなくていい算段がついたところでシュタインの領主と話してもらうことになる。それでいい?」


「う、うん」


「よし、それなら、アラン、ロビン、森の中に小屋を作れ。なんで燻小屋に住まわせたんだ」


「これでいいってセズたちがいうから」


 あっという間に目立たない小屋を双子が作り上げ、わたしはそっと魔石を結界石にして、埋め込んだ。ここらへんに獣は降りてこないとは思うけど、念のため。

 中にテーブルを作り、クロアオーンの毛皮を敷いた。そして温石といくつかも毛皮を置いておく。わたしの作業着を出していく。値下げされたのを買っておいてよかった。テーブルにはハリーさんのところで買ったおにぎりを人数分出しておく。急にいっぱい食べるとお腹がびっくりするかもしれないからギリの量だ。

 外では少し離れたところに、トイレスペースを作っていた。


 川原でカマドを石で作りスープをこしらえる。ビリーたちが持ってきた食べ物を煮込んだ。

 セズのサイズがないので申し訳ないが、他の子たちが服を着替えるとそれだけで少し暖かそうに見えた。スープは見る間になくなる。あったかくておいしかったみたいだ、よかった。


 また明日来ると帰ろうとすると呼び止められて


「ありがとう」


 セズが泣き笑いの顔で言った。今までの突っぱねるような雰囲気はもうない。一番お姉さんだからみんなを守らなくちゃいけなくて気を張っていたんだね。


 みんなと別れて、家に向かっていると、父さまが後ろからケインでやってきた。

 あっぶなー。


「今日は森で遊んでたのか?」


「うん、そう」


 あははと笑っておく。

 父さまが訝しんでいるのを感じて慌てていう。


「父さま、お茶会のテーマ決めた。ロサに手紙送りたい」


「ああ、そうなのか。今日中に手紙を書きなさい。明日アルノルトに送らせよう」



 ケインの世話をした。今日はワラで最後に体を擦る。ブラッシングよりもこれの方が喜ぶ。リンゴンも好きなので、今日はリンゴンにした。

 家に入る時間をずらして、畑から野菜をいろいろ収穫する。セズはちょっとした料理ができるようだったから、野菜と肉を渡しておこう。



 お風呂を挟んで、夕飯まで魔具作りをする。


『マスター、ちょっといいですか?』


「はい、なんでしょう?」


『マスターの魔力を増やすのにいくつかのことをしてみたんですが、もうこれ以上は同期でもしないと増やせないようなのです』


 ん? ハウスさんはわたしの魔力を増やそうとしていたの?

 よくよく聞いてみると、サブハウスを作るのに、わたしの魔力がギリだそうなのだ。それでね、少しでも増やせないかとなんやかやとやっていてくれたらしい。そしてその同期をするにしても、今のわたしのレベルだとそう大して増やせないらしい。


「ステータスオープン」


 もふさまもステータスを覗き込む。ダンジョンも通っていたし、それなりにアップしたと思ったんだけどな。いつも幸運値までは見ていたんだけど、そこより下は見ていなかった。ちゃんと見たら、スキルがいくつか追加されていた。

 だけど、そのスキルが意味不明。



名前:リディア・シュタイン(5) 人族 

性別:女

レベル:1

職業:???

HP:51/58

MP:2363/5593

力:15

敏捷性:15

知力:77

精神:92

攻撃:16

防御:16

回避:90

幸運:85

スキル:生活魔法(火A・水A・土S・風A・光S・無SS)

    自動地図作成(レベル6)

    探索(レベル5)

    仮想補佐(タボ・レベル17)

    隠蔽(レベル3)

    付与(レベル5)

    鑑定(レベル3)

    翻訳(レベル2)

    仮想補佐網・創造(ハウス・レベル73)

    厨房の責任者

    村人の叡智

    言の葉師

    路地裏の歌姫

    照明の達人

    六花のマイスター

    開拓魂

ギフト:+

特記:サブハウス・サブルーム所有     


(ちょこちょこ上がっていたレベル・95話よりアップしたところ)

HP  +1

MP  +456

力  +2

知力 +2

精神 +15

攻撃 +1

防御 +1

幸運 +3

生活魔法(土)  レベルアップ

自動地図作成   レベルアップ

探索       レベルアップ

仮想補佐     レベルアップ

隠蔽       レベルアップ

付与       レベルアップ

鑑定       レベルアップ

翻訳       レベルアップ

仮想補佐網・創造 レベルアップ

スキル追加:厨房の責任者

      村人の叡智

      言の葉師

      路地裏の歌姫

      照明の達人

      六花のマイスター

      開拓魂

サブハウス・サブルーム所有


 厨房の責任者はわかる気がする。料理系だろう。村人の叡智って……叡智って言葉はいい感じだけど、村人ってところが下っ端感を醸し出している。言の葉師? 言の葉は言葉のことだろうけど……? 歌姫ってトカゲ系の方々に歌って寝かせたから? アリとクイの子守唄にもなったみたいだけど……それにしても〝路地裏〟ってところが、レベル低っ。照明の達人ってライトのこと? 六花のマイスターはさっぱり。開拓魂、なぁに、領地をよくしようってスキルになるの??

 まあ、考えてもわからないから放っておくしかない。

 どうしたらレベル2になれるんだろう? 兄さまたちはレベル12まではすぐに上がったって言ってたけど。

 わたしは同じくダンジョンに行っていたのに、レベル1のままなんですけど。

 とにかくレベル2になれるまで魔物を倒しまくろう。

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