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プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
4章 飛べない翼
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第154話 小さい村を発展させたい

 おまるの許可が下りなかったので、当面はケインが家にいるときは兄さまにケインで連れて行ってもらい、ケインが町の家にいるときは、町までもふさまで、そこからはケインで移動することになった。


 兄さまにケインで小さい村に連れて行ってもらった。修行と言って双子が走ってついてくる。馬の速度と、そして結構な距離なのに、走ってついてこられる意味がわからない!

 さすがに小さい村に着いたときは息切れしてへたり込んだけど。兄さまも所々で休憩を入れる以外は速度を緩めないし、後ろを振り返らずに走っていた。兄さまも双子なら走りきれると確信していたようだ。


 邪魔にならなさそうなところで、ケインに水と野菜をあげる。


「坊ちゃんに、嬢ちゃんじゃありませんか。子供だけで来られたんですか?」


 知らせがいったのか、村長さんが駆けつけてくれた。

 わたしたちが頷けば、領主さまは知っているのかと確認を取られた。

 もちろんと言って、村長さんに尋ねたいことがあってきたのだと話した。


「私にですか?」


 わたしはマルサトウを〝見せ収納袋〟から出す。

 ダンジョンでマルサトウを実らせているやつではなく、ウチの畑に植えて増えたわたしの腰ぐらいまで育ったマルサトウだ。どれが種だったのか未だにわからないんだけど、根付いた穂の周りに新しい芽がでた。それが着実に成長してきた。うちの庭もダンジョンよりは成長は遅いけれど、一度収穫までいくとそのままずっと実り続けるので、穂になる前で収穫しておいたのだ。


「ええと、これは?」


 穂に砂糖を包んだ実った方も出して、穂から砂糖をとってもらう。


「こ、これは……」


「マルサトウっていいます。これを育てるのは可能ですか?」


「これは上等な砂糖ですね……。これを村で?」


 わたしたちは頷く。村長さんの表情があまり良くない。


「難しいですか?」


「甘いモノは土の良さで出来がかなり変わるんです。それに虫を呼び寄せる……」


 あ、養分もいるし、甘い分虫がきたりするのか……。


「レアワームのことで土壌を休ませることになりましたが、全体的に土に栄養が足りていません。リンゴンの味が落ちているのでね……。試してみてもいいですか? ただ虫がついたり異変があったら引っこ抜きます。その苗をダメにしてしまいます」


 考えてみたが、一度試して欲しいのでお願いすることにした。そして、肥料はどうしているのかを聞いてみた。肥料はやってなかったようだ。

 今まではリンゴンの果実園以外、野菜と花を植えるところと休ませるところを順繰りに回していたようだ。

 牧場やアンバーさんのところの馬の糞尿を発酵させワラと混ぜた堆肥を撒いてみてはどうかと言ってみた。

 村長さんは不思議そうな顔をしたが、貝の粉が土にいい影響を及ぼしたことを思い出したのか、やってみると言ってくれた。

 ダンジョンの土とウチの庭の土を持ってきてみればよかったと後悔した。

 ウチの庭の畑こそ、肥料も何も撒いてないからね。ただ魔法の水を撒いて……。

 あ、魔法の水も良かったりするのかな?


 水魔法が使える人がいるかを尋ねると、何人かは使えるという。もしかしたら魔法の水をあげると育ちが良くなるかもしれないから、例えば一本のリンゴンの木にだけ魔法の水をあげ続けて、効果が出るかどうかみて欲しいとお願いしてみた。村長さんは盛んに瞬きをしながらも頷いてくれた。


「あの、最初に領主さまがいらしたとき、村に野菜を植えていかれたんです」


 村長さんが言った。

 最初に、ああ、そういえばウチで育った野菜を父さまの荷物に忍び込ませたっけ。


「あの野菜はどこで買われたんでしょうかね? いやね、育ちが早いし、枯れた農地でも十分においしく実ってくれるんですよ」


 なんですと?

 わたしはそれはウチの野菜ですと、いくつか入れておいた野菜を出した。

 野菜そのままだけど、農業のプロフェッショナルだ、実の部分だったり、種から育ててもらえるかと思って。


「そうでしたか! これをいただいていいんで?」


「はい、どんどん作ってください」


 売れるようになったら生活が楽になるもんね。

 砂糖が芳しくない様子だったな。そうしたら次の手を考えなくちゃ。



 何かの工場的なものを作るか、お風呂もね、やっぱり町にも大きな村にも小さな村にも共同のものでもあったほうがいいと思う。そっか、その共同風呂を領主が経営すればいいんだ。お風呂の掃除だとか管理する人で人も雇えるし。

 工場といえば、オイルが欲しいな。菜種とかオリーブの畑を作って、その油を抽出できるようにすれば、本物の唐揚げを躊躇なくできる。〝もどき〟から卒業できる。

 待てよ、実際、種や苗があれば、ダンジョンで増やせる。ダンジョンや庭で増やすことは可能だ。それのどれかは村でも育てることができるかもしれない。

 ダンジョンにみんなが行くことができればな。収穫してもらえればなー。

 よし、家に帰って作戦会議だ!


 帰りも走るつもりだった双子がいささかげんなりしている。


『いつ泣きつくかと思ったが、なかなか根性がある。どれ、我が乗せて行ってやろう』


 もふさまが市場あたりまで双子を乗せて行ってくれることになった。

 ケインともふさまが並走して、市場まで戻る。

 そこから双子は元気に走り出した。

 町からは父さまと一緒に帰ることにしたので、町の家で会議をすることにした。




わたし「今日の議題です」


ロビ兄「議題って何?」


わたし「会議の題材ってことです」


アラ兄「何を話し合うのかってことだよ」


ロビ兄「そうか、わかった」


わたし「今日の議題は、やりたいことがいっぱいあります。実現可能かどうかの判断をお願いします」


 わたしはアラ兄を書記に任命した。


わたし「思いついたこと言っていくからね。ええと、各村と、町にお風呂作る。菜種、オリーブ、ごま育てる。近くに抽出所作る」


アラ兄「抽出って何になるの?」


わたし「オイル」


兄さま「オイル?」


わたし「うん、オイル欲しい。いっぱい。そしたら揚げ物や天ぷらできる!」


ロビ兄「揚げ物?」


わたし「フライドポテトもどきを、もどきじゃなくてフライドポテト食べれる!」


 兄さまたちは顔を見合わせた。


「畑の肥料開発。コッコとか、各村にいるといいかも。土壌良くなる。もし村で砂糖、オイルになる植物育たないなら、ダンジョンで育てたい。ダンジョンで育てて、収穫して市場に乗せて不自然でない方法ないかな?」


 あのダンジョンなら何でも育つ!


「いっそのこと、領地にダンジョンがあればいいのに」


 わたしがため息をつきながらいうと、兄さまが言いにくそうに言った。


「でも、ミラーダンジョンでもないならば、それは申告しないとだよ」


 そうだよね、申告すれば全ての人に知られることになるのだ。


「あとね、ソリすべり会場! トランポリン、あれもらえないかな? ハイドラの皮、ゴムみたいにできないかなと思っている」


 興奮して一気にいうと、兄さまたちの顔にはハテナが浮かんでいた。


「風呂か……それは無料にするのか?」


 書類に書きつける音がしないなと思ったら父さまが話に入ってきた。


「うーうん、領民は1年分でパスポートとかにして割安で買えるとかはどうかな? もちろん1年分が嫌なら入るときに払えばいい。ただまとめて買うなら安くなるの」


「パスポート?」


「それを見せればお金を払っていることがわかるカードを作る。ギルドのカードみたいなものかな? 払ったかどうかがわかるもの。飛び込みで入る人はお金を払ってもらうようにね。1回300ギルぐらいがいいかな?」


 お風呂を掃除したり、管理したりする人を雇えるしというと、父さまは顎を触り出した。

 父さまに聞いてもらえるチャンスだと思ってお店の話をした。兄さまたちが考えてくれた、物品制度のことを。


「お店はどこでやるつもりだ?」


「最初はこの家の庭で屋台を出すみたいにしてでいいかと思っている」


「庭で?」


「領主の家でなら文句いう人を防げそうでしょ?」


 すぐに逃げ込めるしね。


「人を呼び込むにはどうするんだ?」


「イダボアでお茶会開く。その時に宣伝しようと思う」


「なるほどな」


 10歳以下に働かすというところがネックになっているようだが、みんなもそれを望んでいて、お礼という形でちょっといい品を渡すのはいいんじゃないかなーということになった。お手伝いのお礼はもちろん売り買い禁止にしてね。

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