表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ決定】プラス的 異世界の過ごし方  作者: kyo
19章 レベルアップと北の聖域

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1208/1208

第1208話 気がかり

 レオン先生は今日退職されるというので、わたしは学園に行くと言った。

 父さまも母さまも呪詛のことがわかってないからと渋っていたけれど、最後は気をつけるんだよと送り出してくれた。

 王都の家行き、制服に着替える。馬車を出してもらう。

 アダムがついてきてくれた。

 もふさまをしきりに撫でていると


「君のせいだと思ってる?」


 とアダムに尋ねられる。


「……手を取ってわたしが手すりの上に登らなければ、何かが違ったかもしれないとは思ってる」


「君が一番気がかりだ」


「え?」


「なんでもかんでも背負い込もうとするから。でも同時にそれが君なんだろうとも思う」


 アダムは微かに笑った。


「なにを言ってもそう思えないだろうけど、君のせいじゃない。そう思う人が多数だってことを忘れないで」


 じんわりと心に沁みる言葉だった。ゆっくりとうなずいていた。


「もうすぐ課外授業だ」


「うん」


「守りの薄い外に出る」


「うん」


「その後はガゴチの件がある。僕は先にやることがあるから〝執事〟を少し休むよ」


「そうなの?」


「家の方は大丈夫だと思うけど、君のことが少し心配だから、僕の仲間を君につける」


 アダムの仲間?


「あ、いつか言ってた、影の仲間? 一緒に仕事をしていくかもしれないっていう?」


 アダムが驚く。


「よく覚えてたね」


 どんだけ人の頭を鳥アタマと思っているのか。いや、間違いないけど。


「緊急のとき僕の名前を呼べば反応して現れる」


「その人の名前は?」


「覚えなくていい」


 投げやりだったので、なんだか笑ってしまった。

 馬車が止まる。


「リディア嬢、これだけは覚えておいて」


 馬車のドアが開く。


「これだけは誓う。何があっても僕は君が傷つくようなことは決してしない」


 アダムはささっと降りて、わたしに手を差し伸べる。

 その手を逃げないようにつかむ。


「どこに行くの?」


「僕を信じてくれる? そしたら違えないでいられるんだ」


 アダムはとっておきに微笑む。

 そして、つかんだわたしの手に恭しく口を寄せた。


「行ってらっしゃいませ、お嬢さま」


 見事に送り出され、門へと入ろうとしていた生徒たちが、完璧で美しい執事に見惚れていた。男女関係なく。


「レオン先生は今日退職されるんですよ、急がないと……」


 止まってアダムを見ていると急かされる。


「信じるかなんて今更聞かないで。信じきってるわよ。今までも、これからも」


 アダムの目に衝撃が走る。

 失礼ね。なんでわたしがアダムのことを信じてないとか思うわけ?


「課外授業が終わったら、またお会いしましょう。それまで気をつけて」


「あなたもね」


 レオン先生は朝のホームルームで子供たちにお別れして、それを最後にするという。アダムのこともなんか気になるけど。アダムは強いから。信じるから。

 わたしは気持ち急いで、もふさまと歩き出す。

 少し振り返って、アダムに手を振ると、アダムは胸に手をやりきれいなお辞儀をした。みんな目を奪われている。


 えっと、1のBの教室は……。学園のマップを呼び出して教室に向かった。

 チャイムが鳴って、朝のホームルームが始まる。

 レオン先生ともう一人の教師が、クラスの中に入っていくところだった。

 もう一人の先生が、レオン先生が辞めることになり、挨拶をするとぶっきらぼうに告げた。


「皆さん、おはようございます。最後に出席をとらせてください」


 そう澄んだ声が聞こえて、ひとりひとりの名前を呼び、それに答える生徒の声が聞こえた。


「1年B組。全員揃ってますね。皆さんが元気に今日を始めることができ、嬉しいです。

 先生は皆さんに今日謝りに来ました。

 ごめんなさい。先生は学園を辞めることになりました」


「なんで?」

「どうしてですか?」

「何があったんですか?」


 一瞬の静けさの後、ざわざわとしだす。


「先生は教師として、してはいけないことをしました。

 心から良くなかった、申し訳ないと反省しています。

 皆さんの成長を預かるものなのに、先生の心は弱かった。逃げようとして、いけないことをしました。

 皆さんの成長を見守り一緒に感じていきたかったのだけれど、罰としてその一番望むこと、皆さんを見守る立場を辞めることになりました。

 私の勝手な思いで途中で辞めることになり、本当にごめんなさい。

 でもせめても先生は立ち直って、みんなの担任であったと言えるように、しっかりしたいと思います」


 子供たちから啜り泣く声が。


「本当にごめんなさい」


 チャイムが鳴った。

 先生は自分で子供たちに伝えたいと言ったそうだ。

 いけないことをしたら罰を受けること。それを最後に教えたいから、と。



 レオン先生だ。


「先生!」


 先生が廊下にいたわたしに気づく。


「ああ、無事だとは聞いていたけれど、顔を見られてよかった」


 目の赤い先生は笑う。完全に吹っ切れた顔だった。


「先生、わたしのせいで」


 先生はしっかりと首を横に振る。


「あなたが思い出させてくれた。私が何になりたかったかを。だから、ありがとう。あそこに立たせてしまったのは私。あそこに上がったのも私。あなたが無事で本当によかった」


 先生にぎゅっと抱き締められる。


「私からあなたへの最初で最後の授業。覚えておいて。あなたは何者にでもなれるわ。大丈夫よ。時がきたら自分の心が教えてくれる。何がしたくて何がやりたいのか。何が楽しくて、何に突き動かされるのか。

 あなたの中に全てはあるの。元気でね。遠くからあなたの活躍を見守っているから」


 先生はわたしをそっと離し、微笑んでから踵を返した。


 教室の中のすすり泣きが途絶えたと思ったら、椅子を引きずる音がして、1年生が一人飛び出てきた。皮切りに生徒たちが廊下に走りでる。


「レオン先生!」


 先生が振り返る。

 先生に子供たちが一人、また一人と抱きつく。


「先生の嘘つき! 卒業するまで一緒って言ったのに」


「ごめんね」


「先生、辞めないで」


「……ごめんねっ」


「先生、行っちゃやだ!」

「先生辞めないでください」

「先生」

「先生!」


「みんな覚えてるかな? 先生が担任になる時に言ったこと。

 先生は半人前です。皆さんと一緒に学んで先生として一人前になりたいのです。だから一緒に頑張りましょう。

 先生には、生徒のみんなが先生なの。

 ……先生はいけないことをしたので、二度とそんな弱い心に負けないように、自分を罰します。

 みんなの先生だったと胸を張れるように。また一から先生を始めます。学びます。

 場所は違ってしまうけど、先生は皆さんのことを遠くから見ています。

 一緒に頑張ってくれる?」


 泣きながら生徒たちがうなずく。

 たまらなくなって、わたしはその場から退いた。

 大声で泣きたくなったけれど、その感情は何がどうしてと明確に説明するのは難しい。もふさまやもふもふ軍団に慰められながら心を落ち着かせた。


いつもお読みくださりありがとうございます。

19章途中ではありますが、後半に入る前に更新のお休みをいただこうと思います。ここまでで19章が69話かな。100超えしそうです。

後半は課外授業からの、ガゴチ案件からの、北の聖域特定って感じになると思います。

ここまで読み続けていただき、ありがとうございます。

また再開しましたら、続きもお読みいただけたら嬉しいです。


ほんっと、読んでいただいていること、プラスしてのアクションなどに支えられております。最新話にPVをみますと、1200話以上お読みいただいた時間をいただいてると予想でき、うわーーーー、嬉しい、ありがとうございます///////////

となってます。

皆さまお身体には気をつけてお過ごしくださいませ。

seo

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
リディアはなんだかんだで強運だから大丈夫だろうけどアダムはわりと心配。仲間との関係が良好そうなのは良かった。 ほぼ100パー騒動があるのが分かってるのに離脱して先に片付けなきゃいけないことがあるって相…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ